コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
小さく笑ったその顔に、頬が一気に赤らんでくる。
天然なのかとも思えば、一方ではあだっぽく微笑んで見せる彼に、今までは知ることもなかった本当の姿を、改めて目の当たりにしたようにも感じた。
──今日の彼は、普段よりもラフなグレイッシュブルーのスーツに、いつもはきっちりと締めているネクタイを首元に緩めていて、中に着込んだオフホワイトのシャツのボタンを二つ三つ外し、胸を無造作にはだけていた。
はだけられたシャツの合間から見える、意外に男性らしい筋肉の張った体つきに目を奪われそうにもなって、
「……今日は、どこに行かれるんですか?」
どぎまぎと視線を外して尋ねると、
「湖に…」
と、彼から答えが返った。
「湖…?」
「ええ、そこで船に乗ろうかと」
「船、ですか…」
彼が一体どんなデートプランを考えているのかは想像もつかなかったけれど、”湖”に”船”というワードに、そこはかとなく期待感が湧くようにも感じた……。