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階段を上がるたび、心臓がどんどんうるさくなる。
たった五分。
それだけなのに、会いたくて仕方なかった。
屋上の扉を開けると、少し強い風が吹く。
フェンスの近くに立っていた彼が、振り返った。
目が合った瞬間、ぱっと表情が柔らかくなる。
pr「……来てくれた」
その声が嬉しそうで、胸が熱くなる。
ak「五分だけだからね」
pr「十分や」
彼は笑いながら近づいてくる。
昼休みの屋上は静かだった。
ほとんど人が来ない場所だから、周りを気にしなくていい。
それだけで少し安心する。
彼はすぐ隣まで来ると、小さく息を吐いた。
pr「……やっとちゃんと話せた」
ak「朝からずっと話してたじゃん」
pr「友達おる前やと落ち着かへんねん」
そう言って、少し困ったように笑う。
風で髪が揺れる。
その横顔を見ていたら、昨日よりもっと好きになってる気がして、なんだか悔しい。
pr「なに笑ってんの」
ak「別に」
pr「絶対なんか考えとるやん」
じっと覗き込まれて、慌てて目を逸らす。
すると彼は小さく笑って、
誰もいないのを確認するみたいに周りを見た。
pr「……手、出して」
ak「え?」
pr「ちょっとだけ」
言われるままに手を出すと、
彼はそっと指先を絡めてきた。
ほんの少しだけ。
すぐ離せるくらいの触れ方。
なのに、昨日よりずっとドキドキする。
pr「……学校で繋げた」
嬉しそうに呟く声。
ak「大げさ」
pr「大げさちゃうって」
pr「朝からずっと触りたかってんもん」
真顔で言うから、心臓が耐えられない。
ak「そういうこと普通に言うのやめて」
pr「なんで?」
ak「照れるから!」
すると彼は、一瞬きょとんとしてから、
堪えきれないみたいに笑い出した。
pr「ほんま可愛いなぁ」
ak「うるさい……」
顔を隠そうとすると、彼がそっと手首を掴む。
pr「隠さんで」
優しい声だった。
風の音だけが静かに響く。
彼は少しだけ真面目な顔になると、
繋いだ指を軽く握り直した。
pr「……好き」