お父様(マージル・アビュラル)視点
僕達双子が生まれ、性別が分かった途端、私とエルファは頭を抱え込んだ。
母「あぁ…なんてことなの…2人とも女の子だなんて…陛下になんと仰れば……」
我が妻エルファが真っ青な顔を覆って震える。
父「エルファ…仕方ない、こうなったら先に生まれた方を…男として育てよう」
母「まぁ貴方!?何を言ってるの!?」
「「!?」」
私の言葉にエルファと部屋に居た2人使用人が驚倒して私を見る。
母「あ、貴方!?そんなことをしてバレてしまったら一族全員処刑されるわ!!そ、そうだわ、養子を迎え入れるのは…」
父「それはダメだ」
母「なっどうして!?」
父「王宮へ送る従者は家の血を引いている者でなければならないのだ」
母「そんな…」
エルファの顔色が青を通り越して蒼白(そうはく)になる。
従者は王宮に入る際に血魔法を使用して血を調べられる。※現代のDNA的なやつ
そのため偽る事が出来ない。
だが、先祖代々繋げて来た歴史をここで途切れさせる訳には行かない。
我が家は4家の中でも最も期待されているのだ。
此処で送り出しせなければ周囲への威厳が下がってしまう。いや、周囲への威厳が下がる程度ならどうだっていい。
______1番大切なのは家族なのだから。
だが現実はそうはいかない。
きっと周囲への威厳が下がると今まで以上に私の家族はあることないことを囁かれるだろう。
いざとなったら責任は全て私が負うようにするが私1人で全て背負えるかは分からない。
今の私にはこれ以外の選択が思いつかない。
…………すまない。我が娘よ。
女として生まれた子供を家の事情で男として育てるのは子供の意見を無視してしまうため私はあまり好かない。
やりたく無い…が、今はこの方法しか思いつかない。
だから、彼女の願いはなんでも叶えよう。
この決断は彼女の人生を制限させるのだから、少しでも幸せになって欲しい。
たとえ火の中だろうと私は愛する家族を守って見せる。
窮屈(きゅうくつ)な思いをさせてしまうかもしれないが、どうかダメな私を許してくれ……。
父「我が娘には悪いが、今はこの方法以外に思いつかない。心苦しいがこれから男としてこの子を育てる。このことは私とエルファお前達2人だけの密事だ。分かったらエルファ以外はさがれ」
「「……はい」」
侍女のメルテルと執事のフルードが一礼をして席を外した。
私は席を立ちエルファのところへ行き名前を委ねる。
父「エルファ、この子達の名前を決めてくれないか?」
母「そう…ね……お姉ちゃんはレーヌ、妹はレルフィリア…なんてどうかしら?」
父「嗚呼、いい名だ。じゃあ男の名前も…」
母「男の時の名前は貴方が決めて頂戴」
父「…いや、私は…」
母「私ばかりが決めてしまうのは貴方に悪いわ。貴方だけ責任を負う必要は無いのよ」
その言葉に私は目を見開く。
何故、分かったのだろうか…
そう思っているとまるで、私の心を見透かしたように
母「あら、私は貴方の妻で公爵家の女主人ですのよ?愛しい旦那様のことならすぐに分かるわ」
父「はは、やはり君には敵わないな…」
いつから気付いていたのたろうか…
まるであの日初めて出会った日々を思い出すな……
父「ありがとう、エルファ」
そう言うとエルファは微笑む。
父「この子の名前は…リースだ」
そして、僕はリース・アビュラル(男)として生きることになった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!