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31番――佐藤の顔から血の気が引いていく。
スマホを持つ手が震えていた。
「……嘘だろ。」
画面には、はっきりと表示されている。
**【参加者番号31を登録しました。】**
その下には、新しい通知。
**【初回案件は本日23時にお知らせします。】**
「俺……まだ何もしてないぞ……。」
佐藤がかすれた声でつぶやく。
「応募しただけだ。」
その言葉に、胸が締めつけられた。
俺も同じだった。
応募しただけ。
荷物を運ぶだけ。
簡単な仕事だと思っていた。
「美咲。」
俺は振り向く。
「まだ間に合うよな?」
美咲はすぐには答えなかった。
その沈黙が、何より重かった。
「……正直に言う。」
小さく息を吐く。
「かなり厳しい。」
佐藤がうつむく。
「そんな……。」
「でも。」
美咲は続けた。
「終わったわけじゃない。」
俺は顔を上げる。
「組織は応募した人をすぐには信用しない。」
「最初は様子を見る。」
「逃げる人もいるから。」
「だから最初の数日だけは、まだ隙がある。」
その言葉に希望が見えた。
「じゃあ!」
俺は思わず声を上げる。
「助けられる!」
美咲はゆっくりとうなずいた。
「ただし、一度でも指示に従えば……。」
その先は言わなかった。
言わなくても分かる。
俺は、その”一歩”を踏み出してしまった人間だから。
「家に戻ろう。」
美咲が佐藤に言う。
「今日は誰が来ても出ないで。」
「知らない番号から電話が来ても出ない。」
「住所を聞かれても答えない。」
佐藤は何度も頷いた。
「分かった。」
「本当にありがとう。」
その笑顔はまだぎこちなかった。
でも、少しだけ安心したように見えた。
俺たちは佐藤と別れ、住宅街を歩き始める。
夕焼けが街を赤く染めていた。
しばらく沈黙が続く。
「ねぇ。」
美咲がぽつりと言う。
「悠真。」
「何?」
「今日のこと。」
「組織は全部見てると思う。」
俺は苦笑した。
「もう慣れたよ。」
「違う。」
美咲は立ち止まる。
「今日は……監視じゃない。」
「え?」
美咲の視線は電柱の上を向いていた。
小さな防犯カメラ。
その横。
見慣れない黒い箱が取り付けられている。
「あれ。」
「組織の機材じゃない。」
「……じゃあ誰の?」
美咲は首を横に振る。
「分からない。」
その時だった。
二人のスマホが同時に震えた。
例のアカウントではない。
知らない送信元。
本文は一行だけ。
**『31番の保護、確認しました。次はあなたたちを保護します。』**
送り主の名前は――
**『R』**
俺と美咲は顔を見合わせる。
組織じゃない。
でも味方とも限らない。
「R……。」
その正体は、まだ誰にも分からなかった。
(第二十七話へ続く)
コメント
1件
第26話読み終わったよ〜!😭💦 佐藤くん、まさか誤って応募完了しちゃうとか…あの血の気引く感じ、めっちゃ伝わってきた…。美咲の「まだ隙はある」って言葉が一瞬の希望になったけど「一度従ったら終わり」ってのも重すぎる…。そして最後の『R』からの「保護します」メッセージ、敵か味方か分からなくて逆に怖い!続きが気になりすぎるよ…!😣✨