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3 - 交渉 (暴力、嘔吐あり)

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2024年03月14日

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「ここ…だったよな。確か。」

少し古びた大きな扉の前で足を止める。

「すぅーーっ、はぁーーー。」

ゆっくりと、大きく深呼吸をする。

きっと大丈夫。 そう信じてノックをする。

__コンコン

「誰だ?」

扉の向こうから、 何度も叱られた、聞くだけで身体が震えるような、重たい声が聞こえる。

「お久しぶりです。主様。アズサです。」

できるだけ、慎重に、丁寧に挨拶をする。

すると、ガチャリと扉が開いた。

「久しぶりだなぁ、アズサ。入れ。」

僕は「ありがとうございます」と感謝を述べて部屋に入った。

「高校生活はどうだ?上手くいってるか?」

珍しい。主様がそんなお話をなさるなんて。

「え、あ、はい。多分、それなりには…。」

やべ。戸惑いが隠せてない。

「ハハハ。俺がこんな事を聞くのは珍しいもんな。なぁに。お前は俺の子供みてぇなもんだから、ちょっと気になっただけだ。

それに、次の任務はお前の高校の生徒だしな。」

その言葉に少しドキッとした。

まるで、僕の思考が読まれているように感じた。

それでも、僕は勇気を振り絞って「あの…」と本題を切り出した。

「その任務の事なんですが、却下させて頂けないでしょうか。」

言えた。しかし、 やけに心音が大きい。速い。

「………ほう?」

やめろ。その反応。殴るならさっさと殴れよ…。

「理由を聞かせてもらっても?」

息が上がる。頭がズキズキする。気持ち悪い。

「理由、は……言、え、ません……。」

怖い。苦しい。怖い。気持ち悪い。痛い。

「なるほど。つまりお前は、個人的理由で、植村圭一を殺したくない。そういう事だな?」

何か喋ろうと思っても、何も言えない。

主様の言っていることは間違ってないし、何より、口を開けばいよいよ息ができなくなる。

「黙ってるっつーこたぁ、肯定だな。」

主様が「はぁ」とため息をつかれる。

「このやり方からは、そろそろ手を引けるかと思ってたんだがな。」

”“ドゴッ””

鈍い音と同時に体に強い衝撃が走る。僕は殴られたのだ。

「お前のことは殴らなくても大丈夫なほど、しっかりと躾をしたつもりだったんだが…。 」

主様がそう告げられる。

”“ドスッ”“ ”“ボゴッ””

「かはっ…ひゅ、ゲホッゲホゴホっ」

肺が勝手に喘ぐ。主様の一撃はすごく重たい。

「昔は、俺が言ったこと全て受け入れてくれた。それなのに、なんだ?今のお前は。」

”““ドガッ!”“”

「あ゛っ…が、ゲホッゔっ、お゛ぇ゛っ…」

体が衝撃に耐えきれず、嘔吐する。

目の前がグルグル回る。また殴られる。痛い。苦しい。嫌だ。やめて。殴らないで。

主様が「なぁ、梓、」と僕に 話しかける。

「お前は、1番従順な俺の犬だったはずだろう。どうしてそうなった?誰がそうした?答えろ。 」

やめて。何も聞かないで。言ってしまうから。

「梓。say(言え)」

その言葉が脳に響く。言ってはいけないのに、口が勝手に動く。

「圭、一…。植村圭一です…。」

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