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結局、海底を泳いでいる魚を含めて、僕の腕では捕まえるのは無理だった。
というか、文明先輩はどういう腕をしているのだろう。
あの一覧表の『勝負勘はピカイチ』というのが、よくわかった。
そして。
「そろそろ本気でおかずを捕まえないと、昼食が醤油御飯とか味噌御飯ですよ」
小暮先生がはっぱをかける。
確かに太陽がだいぶ上に来ている。
もうお昼も近い。
仕方ない、銛は諦めよう。
という事で、沖から戻ってきた所有者に銛を返す。
「やっぱり難しいですね、これ」
「慣れだよ、慣れ」
文明先輩はそう言って、持っていた袋を見せてくれた。
僕が逃がしたのと同じくらいのベラ、掌よりちょい大きいタカノハダイ、イトヒキハゼが入っている。
「この銛でも、何とか工夫すれば獲れるけれどな。斜め上から、銛の下1本に力がかかるようにゴムを伸ばして当てれば」
わかった。理解した。これはもう、文明先輩の特技だ。
真似は無理。
そんな訳で、僕は少し先にいた未亜さんに近づいて、声をかける。
「どう、案配は」
「駄目駄目なのですよ。そろそろ別の手を考えないとまずいのです。昼飯が具無しみそ汁と御飯なのです」
「いや、具になる貝は、彩香さんとそこそこ数採ってきたけれど」
「なら野草でも頑張って探すのです。という事で、美洋は……」
姿が見えない。
「そう言えば、泳ぎすぎてバテて、家の中で休んでいるのでした」
確かに駄目駄目だ。
「あと、彩香さんはどこだろう」
「さっき岩場に行くと言ってたのです。貝とかを追加するそうなのです」
「なら、取り敢えずこっちは野草かな」
「そうですね」
そういう事で。
未亜さんと陸に上がり、サンダルに履き替えて砂浜の上部へ。
探すまでも無く、ツルナが生えていた。
「取り敢えず昼は、これで誤魔化すのですよ」
「そうだな」
それが確実だろう。