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「オ……………マ……エ…………モウ………ウゴケナイ……」

「ケド………ソノテイドデ……わたしが……許すト?」

「はぁ………。動けるに決まってんだろ!俺はテメェに仮を返しに来たんだよ!その為にこんな地獄を生き抜いてきたんだ!」

「その足………もう……ツカイモノニナラナイ…………」

「ソレ…………ドコムイテル?」

その言葉の通り男の足は、本来曲がっては行けない方向にと曲がっていた

「こんなことで、俺は……。俺はァァァ!!」

一連の流れをただ眺めるしかできなかったラズリ

この惨状を見て言葉を漏らす…

「ねぇラピス……。貴方はそれで良かったのかな…。それで本当に母さんは報われるのかな……」

男の怒りの叫びも虚しく、ラピスは無情にも彼の頭部を握りつぶした。

「コレデ……オワリ」

「………。ラピス。お疲れ……て言いたいとこだけど貴方はほんとにこれでよかったの?」

「…イミが分からない」

「貴方はこれで仇を討った。そのつもりだけど母さんはそんなの望んでないんじゃないかな。きっと最後まで私達が平穏に暮らせるようにって願ってたんじゃないかな……」

「……。分かってる。分かってる…だけど!

どうしても、どうしても許せなかった。あのとき私にこんな力があったらきっと今頃ママとパパと楽しく暮らせてたって……

そう思った時、それを壊したアイツが…元凶が目の前に現れたから耐えられなかった。

もちろんこんなことしてママもパパも喜ぶとは思えないし、元凶が消えても二人が帰ってくるとは思ってないけど……」

明らかに感情が高ぶっているのが分かる。

ラズリでさえもあの男を目の前にした時怒りが憎しみがふつふつと湧き上がっていたのも事実。

けど、ラピスは自分以上に怒りを覚えていた。

事を終えたラピスの瞳には涙が浮かんでそして溢れ出していた。

「やっぱり……。頭では分かっていても気持ち的には許せなかったんだよな…」

「なぁ、ラピス…」

「なに……」

「お前は私と違うことを気にしてたよな」

「うん。私は内気でラズリはその逆で活発な子。私はそれを気にしてて…。なんか私の存在って必要ないような気がしてね。だって、ラズリは私が居なくてもみんなと仲良くできる。だから私は……」

「ラピスあなたは勘違いしてる」

「え?」

「確かに私は元気な女の子。でも、それはあくまで演じた姿に過ぎないの」

「私が言いたいのは見た目や性格そんなのを越してあなた自身の内側にある言わば根っこみたいな所のことを指してる」

「やっぱり、私には理解できない」

「いや、出来るさ。ラピスは母さんが殺されてアイツを仇討ちとして殺った。私も我慢ができない方だけれどもラピスは正直私よりも我慢は出来ない」

「けど、共通点っていうのは存在する」

「……。ママを殺されたことに対しての怒り?」

「そうだ。私だって悔しかった。何も出来ないただ逃げるだけだった私は悔しかった」

「でもラピス…お前は違う。あの時お前は大人に立ち向かったのだ。私はその記憶に蓋をしていたが……」

「その時の記憶はあまり記憶にないけど、ただママが殺されて、それでその男を恨み憎んだのはある」

「ラピスと私は違うようでそうでは無い。むしろ私の方が内気なまである。」

「あの時だって私は逃げようとした。私はただ逃げる道を探してる。でもラピスは常に前を向いている」

「…………。」

「今回は前を見てると言うよりただの復讐ではあったけどね。まぁ何が言いたいかと問われればラピス、お前は内気なやつじゃない」

「でも、やっぱり初対面の人とかあんまり関わらない人とかだと、ちょっとごもごも話しちゃう癖がある。」

「それは誰だってそうなんだよ。私はグイグイ行ってるけどもそれはラピス、”お前に笑って欲しい”そんな願いで行動してるんだよ」

「私に笑って欲しい?」

「あの事件で心を閉ざしたお前は私にとってあれは、とても辛いことだった。私たち双子はいつだって笑っていて、楽しいことばかりだった。でも、母さんが亡くなってお前は笑うことをやめた。私はもう一度、もう一度でいい。その宝石のように輝かしい笑顔を見たかった。だから、今もこうして元気な女の子を演じ続けてる」

「ラズリはどうしてそこまでして私に笑って欲しいの?どうしてそこまでしてくれるの?」

「決まってる。それはラピスが私の唯一の”家族”で一生の宝だからだよ。」

「………。やっぱりラズリは私とは違うよ。でも私新しい目標生まれたよ」

「どうな目標だ?」

「ラズリを超えた元気で明るく活発な女の子になる。それが、ラズリの望む夢なら。私の夢は変わらない。だって、私たちは唯一の家族だもんね」

「まぁ、無理はしなくていいぞ」

「その目標自体を否定はしないが、無理してその姿を得るくらいなら自然体、つまりは今のラピスのままでも問題は無い。」

「なら、そうする」

そういい彼女は笑った。その笑顔はいつか見たあの宝石のような輝かしい笑顔であった。

魔王勇者 〜ジュエリーボックス〜

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