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stpl 水赤 様
誤字脱字注意
日本語おかしい
赤視点
その日の夜。
一人で配信のアーカイブを見返していた。
コメント欄は盛り上がってる。
「くにおと相性いいね」
「このまま固定でもよくない?」
笑いながら言ってるのは分かる。
悪意じゃないのも分かる。
でも。
胸が、ざわざわする。
俺はリーダーで。
最年少で。
可愛いって言われる枠で。
……あいつの隣にいるのは、俺じゃなくてもいいんじゃないかって。
ぽろっと、涙が落ちた。
「……なんで泣いてんだよ俺」
情けない。
そのとき、スマホが鳴る。
『如月ゆう』
出た瞬間、甘いショタボイス。
「こえくん、今ひとり?」
「……うん」
一瞬でバレた。
「泣いてるでしょ」
「泣いてない」
「声、震えてる」
優しい。
ほんとに優しい。
「俺さ……」
言葉が詰まる。
「俺がいなくても、れる平気なんじゃないかなって」
静かな沈黙。
それから、少し真面目な声。
「ねぇこえくん」
「うん」
「今日、れるちがどんな顔で見てたか知ってる?」
「……知らない」
「取られたくない顔」
胸が止まる。
「ゆさんたち、三人で付き合ってるけどさ」
背景でくにおとこったんの声がする。
「好きな人が他の人と仲良くしてたら、普通に焦るよ」
くにおの落ち着いた声。
「でも不安って、自分でぶつけなきゃ伝わらない」
こったんの低い声。
「……ぶつけるって」
「好きなら、ちゃんと好きって言えばいい」
ゆうくんが優しく言う。
「両想いなのに、意地張ってるだけだよ」
涙が、また落ちた。
「……怖い」
「うん、わかる」
「嫌われたらどうしよ」
「嫌われるわけないじゃん」
少し笑って。
「だってれるち、こえくんの話になると声柔らかくなるもん」
「……ほんと?」
「ほんと」
こったんが言う。
「今日ね、れるち俺らに相談してきたんだ」
「え」
「“取られたら無理や”って」
心臓が、ぎゅっと掴まれる。
「ほら、両想い」
くにおが微笑んでる気配。
「背中押してあげよっか?」
ゆうくんの声が、少し悪戯っぽい。
翌日。
スタジオ。
俺はまだ目が腫れてる。
あいつが気付かないわけない。
「……また泣いたやろ」
「泣いてない」
「嘘や」
いつも通りのやり取り。
でも今日は、逃げない。
ゆうくんたちが、奥でにやにやしてるのが見える。
「ちょっと二人で話してきたら?」
くにおがさらっと言う。
「は?」
「個室空いてるよ」
こったんが背中を押す。
物理的に。
「ちょ、ちょっと!」
気付けば、個室。
ドアが閉まる音。
二人きり。
沈黙。
「……なんや」
れるが少し警戒した声。
俺は拳を握る。
怖い。
でも。
「昨日、泣いた」
正直に言う。
あいつの目が揺れる。
「……なんで」
「俺がいなくても、れるは平気なんじゃないかって思って」
一瞬で、空気が変わる。
「は?」
低い声。
「誰がそんなこと言うた」
「コメントで、くにおと相性いいって」
「それ仕事やろ」
「分かってるけど!」
涙が溢れる。
「俺、れるの隣じゃないと嫌なんだよ……!」
言ってしまった。
止まらない。
「俺が一番最初に頼るのはれるだし、弱いとこ見せるのもれるだし、」
声が震える。
「好きなんだよ……!」
静寂。
次の瞬間。
強く、抱き締められた。
「……アホ」
低く震える声。
「なんでれるが平気や思うねん」
ぎゅっと、さらに強く。
「昨日な、ほんま焦った」
耳元で囁かれる。
「取られるんちゃうかって、本気で怖かった」
鼓動が重なる。
「れるな」
少しだけ体を離して、目を見られる。
真っ直ぐ。
逃げない。
「こえのこと、めちゃくちゃ好きや」
涙が止まらない。
「でもお前が泣くの、れるのせいやったら嫌や」
優しい。
ずるい。
「……じゃあ、泣かせないで」
そう言ったら。
一瞬、理性が揺れた顔をした。
指が、俺の頬の涙を拭う。
そのまま、親指が唇の端に触れる。
「……今、キスしたら止まらん」
低い声。
熱い視線。
俺の心臓が爆発しそう。
「……止めなくていい」
小さく言った。
あいつが息を呑む。
でも。
額を軽くぶつけて、笑った。
「今日はあかん」
「なんで」
「ちゃんと付き合ってからにする」
真っ赤になる。
「……告白したやん」
「まだ正式ちゃう」
ずるい。
でも嬉しい。
「こえ」
名前を優しく呼ばれる。
「れると、ちゃんと付き合ってくれる?」
涙でぐしゃぐしゃのまま、笑う。
「……うん」
やっと。
やっと、言えた。
ドアの外。
ゆうが小声で。
「成功?」
くにが微笑む。
「たぶんね」
こったろが腕を組む。
「泣き虫リーダー、可愛いな」
ゆうが頬を膨らませる。
「俺も可愛いでしょ?」
「当たり前」
くにがキスを落とす。
こったろも後ろから抱き寄せる。
「俺らも帰ったら続きするか」
「っ……も、もう」
三人の甘い空気。
安定して、深くて、少し色っぽい。
そして俺は。
まだ知らない。
付き合ったら、あいつがどれだけ独占欲強いか。
それを知るのは、もう少し先。
続く。
コメント
3件
急にすみません、いつも愛読させていただいております……! 卯月めあさんの書かれるお話全部好きなんですが、今回特に心つかまれました……!! 甘いのに独占欲強くて最高です 主様の言い回し、見てるこっち側がどきどきするのにあったかくて本当に大好きです これからもいっぱい読みます、素敵な作品をありがとうございます;;