テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「うん。きっと私達には見せない苦労がたくさんあったと思う」
「それでも、みんなといるとすごく楽しくて、琴音への想いもどんどん強くなっていった。よくわからないけど、このままみんなとずっと一緒にいられるような気がしてた」
「わかるよ。私もずっとみんなと一緒にいられるって思ってた。龍聖君ともずっと一緒だって」
本当に、そう思えるほど私達は仲が良かった。
最高の仲間だったから。
「そうだな。でも、実際はみんな進路は別々。一緒にはいられない現実を思い知った」
「うん……」
「そのうちに海外での修行が決まって。琴音のことが好きなのに、お前を幸せにできるなんてどうしても思えなかった。忙し過ぎる毎日で、いつかは愛想つかされてしまうとか、琴音にはもっと良いやつがいて、俺なんかといない方が幸せになるとか考えて……。だから何も言えずにいた。何もかもに自信を持てなかった」
「そんな……」
自信が無いのは私の方。
龍聖君には、他の誰にも持つことができないオーラやエネルギーやパワーが溢れていた。だから、いつだって輝いていたんだ。
「せっかく琴音と再会できて嬉しかったのに、それでもまだ自分には何かが足りないと思ってた。俺には琴音を幸せにはできないって、ずっとずっといつまでも逃げ続けてたんだ。『最後の思い出』も『契約結婚』も、素直になれなかった俺のバカな考えだ」
私は、首を横に何度も振った。
「龍聖君と同じだよ。私もずっと好きだったくせに、鳳条グループの御曹司と自分じゃ、見た目も身分も全然釣り合わないとか勝手に落ち込んで、自分の気持ちを龍聖君に伝えるなんて『悪』だって思ってた」
「……俺達、ずいぶん遠回りしたな」
「うん……すごくすごく」
「遠回り」、本当にその言葉がぴったりだ。
いっぱい回り道をして、だけど……
今、ようやく想いを伝え合うことができた。