朝会が終わって。
教室に戻ったクラスメイト達は各自授業の準備をするものもいれば
うるさくはしゃいでいる人もいる。
「おーいぺいんとー! 」
ぺいんとさんは遠くから声をかけられる。
それはクラスメイトの気が強い男子軍団だった。
pn「おっ、行ってくるわ!」
sn「…はい!」
彼が何されているかは僕は知っている。
…いじめだ。
…けれど、彼は一言も弱音を吐かない。
ただ笑顔で、そこに行く。
それを見ていることしかできない僕は、
その時ほど、無力だと思う時はないだろう。
…………………………
4限目の終わり。
詳しく言えば昼休憩に入った頃、
ぺいんとさんは帰ってきた。
pn「…はぁ!疲れたー!」
sn「ふはは…」
愛想笑いしかできない僕は、弱い。
…ぺいんとさんは、毎日のようにいじめられている。
でも、なぜ4限目までいないのかは分からない。
pn「なーなー!今度数学教えてくれ!!」
sn「…はい!いいですよ!」
彼はこんなにも我慢していると思うと、胸が痛くなる。
だからこそ、僕は何も口を出しちゃいけないと思ってしまう。
話し合った方がいいのか、わからない。
でも…もし、話し合った後。
もし気まずい空気になったら?
僕が直さなくちゃいけないのに声かけできなかったら?
ぺいんとさんに迷惑かけたら?
…そんなことを思うと、怖くて無理だ。
だから僕は、何も言わない。
何も言えない。何もできない。
…ただ、無力な人間だ。
だから、僕がこの気持ちを心の中に仕舞えばいいだけの話なのだ。
kr「…ちょっと。」
後ろから生徒会長に声をかけられる。
sn「…は、はい…?」
pn「………。」
kr「しにがみくん、後で男子更衣室に来てね。”1人で”。」
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