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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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いきなりだが、僕は今、サバイバーになってしまっている。

理由は簡単。

僕が余りにも生存者を全滅出来なかった罰。

だからあの邪神にキラーの僕がサバイバーに変えられてしまった。


《生存者を全滅させる頻度が余りにも少なすぎる。貴様より後に入ってきたネメシスは全滅回数を二桁は迎えているぞ?》



「はい…ごめんなさい…」



《謝るくらいなら、いっそサバイバーになってしまえ》



「はい……え?」



《私が今一度、お前の役目は何かを叩き直してやる。たまには見る世界を変えるのもいいかもしれない。それで少しの役になればいいだろう。》



突然僕の周りに黒い霧が立ち上がる。



「ま、待ってくれ!!もう一度チャンスを…!」



《言っただろう?お前の役目はなんだったのか叩き直すと。いっそ貴様を跡形もなく殺してやりたいところだが、それじゃ面白くない。私の優しさだと思え。》


ふざけるな…!邪神に優しさもクソもあるか!!

嫌だ!この僕があの無意味な行動を繰り返す奴らの仲間になるなんて…!!


「ふざけるな…!」



闇に包まれる中、僕は目を閉じてしまった。

次に目を開くと、そこはサバイバーのいる焚き火の前にいた。

どうやらあの邪神が言ってたことは本当だったらしい。

体を起こして周りを見渡しても、焚き火以外の明かりがない…闇という森だけだ。

僕らキラーのいる部屋とは格段にかけ離れた環境だな…。

て言うか服装も変わってる。


「ボロボロのYシャツにスキニーパンツか…全然格好良くない…」


動きやすいのは分かるが、もう少し派手な服装がよかった。


「…あ」


武器もなにもない…僕は本当にサバイバーになってしまったんだな…。


「はぁ…何でこんなことになったんだ…」


まぁ僕のせいなんだけどさ。

と、自問自答しながら目の前にあった切り株に腰掛け一息ついた。

その瞬間、背後から物音がした。


「ひっ!」


「…え?」


画像


情けない声を出してしまい恥ずかしくなったが、焚き火の明かりでようやく誰か分かった。

彼女は一度儀式で会ったサバイバーだった。

結局逃げられてしまったが、彼女の[音]が美しかったため覚えていた。


「え、え?」


見間違いかと彼女は一度持っていた薪を置いて目を擦り、もう一度僕を見る。


「な、何であんたがここに!?」


「色々あって…ね」


「嘘でしょ…この場所だけは安全だと思ってたのに…」


はぁ…とため息をつきながら先程置いたそれを持ち、焚き火の前に置く。


「みんなに説明するのが大変そうね」


なんと彼女は、僕の隣に腰掛けた。


「驚かないんだね」


「そりゃね?今のあんたは私達と同じ生存者なんだから。いちいち考えてる暇もないわよ」


「意外と冷静なんだね君って」


「当たり前よ。あんた達キラーに何回殺されたかもう覚えてないわ。そしたら慣れただけよ。」


彼女との話は意外に盛り上がった。

好きなものは何だとか、趣味は何だとか…

古典的な質問ばかりだったが、彼女の理解力と語彙力で小さな話がいっそう大きくなった。


「久々にこんな楽しい思いをしたわ。あんたこっち(サバイバー)の方が向いてるんじゃない?」


「嫌だよ!だって痛いじゃん!」


「冗談よ」


彼女が笑った。

儀式の時は眉が寄った表情しか見せなかったから新鮮だ…。

なんて考えていると、再び背後から物音がした。

今度は男女が数人出てきた。


「ドワイト、コレも持って。私こっち持つから」


「ちょっと、ローリー、これは流石に重いって…」


「うっさい。男は重たい物持ってなんぼでしょ」


「帰ったよ~、って!えっ?と、トリックスター!?何でこんなところに…」


三人のサバイバーが僕を見て驚く。

彼女らは見覚えがあった。

確か…名前は『ローリー・ストロード』『フェン・ミン』『ドワイト・フェアフィールド』…

ゴスフェに教えて貰えたのが役に立った。


「みんな落ち着いて。これには訳があるから…」


「何あんたは平然とコイツの隣座ってんのよ!コイツのこと分かってる?キラーよ!?殺人鬼よ!?」


「分かってるわよ。でも今は一端彼の話を聞いて?トリスタ、話してくれる?」


「えっ、嗚呼、うん…」


僕は彼女の言うことにあっけなく従い、サバイバーになった訳を話した。


「──ということで…今はこっち側にいるんだ」


「…まだ信じられないけど、とりあえず言えることはあんたの自己責任ってことね」


「情けないわね。ファンサしすぎ何じゃないの?」


「ま、まぁ落ち着いて…?」


ドワイトが二人をなだめる。

鬱陶しいな…。


「というわけだから、みんな仲良くしてね」


彼女がそういう。


「あんたはよくこんなやつと仲良くなれるわね。」


「忘れたの?私達はチームワークが何よりも大事なんだから。こんなところで仲間割れなんかしてちゃ、キラーにとっては利益しかないわよ。」


「まぁ…確かにそうだけど…」


「み、みんなそんな難しそうな顔せずに…ね?」


「逆に聞くけど、ドワイトはどうなのよ。コイツの話を信じられるの?」


フェン・ミンが聞く。


「ぼ、僕は…彼を信じるよ!だってみんなのリーダーだし!仲間外れなんて絶対にしない!」


わぁ、正義面してておもしろーい。


「私は信じないから。コイツがキラーに戻った時に私達の情報が他のキラーに話されちゃ困るからね」


「私も~」


別に君たちの情報なんて微塵も興味ないんだけど…と喉元まで来ていたが僕は言うのを我慢した。

不意に彼女に目を向ける。

彼女は難しそうな顔をしていた。

僕のためにこんなに真剣に考えてくれてるなんて…。

……あれ?何で僕ちょっとドキッとしたんだ?

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