灰桜色の告白
完結
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橙side
もう何も、失うものなんか
俺にも青にもなかったじゃないか。
最愛の人を殺した同士だ。
最初から俺らは似た者同士。
青はきっとその自分の可能性、
いわゆる信頼がたりない。
青はいいやつだ。
いいやつすぎて俺が女なら惚れる。
その魅力に気づいてない。
紫くんが堕ちた理由も
桃が堕ちた理由さえも。
青は全部深く考えてない。
それがたた凄い。
「..、ねぇ橙くん?」
「俺、桃くんのこと本当に
鮮明に思い出せた。」
「それで僕は、桃くんのこと」
「突き落とした。殺した。」
「水の海底に沈めた。
本当は手を握るつもりで」
「それでも桃くんは力を抜けて
僕にされるがままだった」
「それが仇となって、僕は、
桃くんのことを海に沈めた」
「それで、そっからは、ただ苦しんだ」
「海で1人浮かんですぐに
また後を追うようにしのうとした」
「けれど近くに居た人が
僕を必死で止めてきてた」
「それが鬱陶しくて投げ出したくて
それでも思い通りにいかなくて」
「気づいたら病院に居た」
「..僕は病院に送られて、
桃くんを忘れさせられて」
「今までのうのうと生きてた」
「….」
「..僕を何度苦しめたら
神様は気が済むんだろう」
「僕は仕事を辞めます
今までありがとうって黄くんに」
「…俺も恋人を殺した」
今じゃ慣れた言葉だ。
この事はよく他人に言い振らせない。
言ってしまえば終わるから。
俺が苦しまないように守った
俺だけが知っていることだった。
けれどこんなふうに、俺みたいな
犯罪者が沢山いるから、居心地が良くて
これからどうなるか分からないし
親にどんな目で見られるか分からない
愛されなかっただけなのに、
俺は凶器を持った
戒めのために使っていた刃を
喉に突き刺して、重くして
苦しめた。
本当は、あの恋人さえも
思い出したくもないけれど
あの人のことさえ、好きになるくらい
重く愛せるくらい、楽しいんだ。
海に沈めたあの人が
海に消えていったあの人が…
蘇る気がするほどに。
「…橙くんも、やっぱりそうかあ」
「そうか、そうだね」
「僕ら悪い人たちだね、
はやくおまわりさん所行こっか」
「…黄も、連れてく」
「あーそうだったね
やっぱり、自首するんだ」
「うん」
「あ、でも、最後に酒飲む、
さっきまで飲んでたしもし
この先飲めないってなったら僕死ぬ」
ぐいっと多めに飲んで、
無理やり喉に押し込む青。
苦しむことなくただ
受け流し嬉しそうに頬を歪める。
顔がひきつり歪な笑顔を見せる。
「はぁ、おいしい」
「僕、もう十分幸せだあ」
「….そ、じゃあ行くか、明日」
「えー、仲良く?いいね、
僕二日酔い頑張ってなおすよ」
「はいはい、じゃあまた明日」
一瞬の幸せが傍にあるなら
それはどれほど幸せだろうか
愛した人が生き返るほど
嬉しいものはあるだろうか
苦しまずに済むのは
どのくらい辛いのだろうか
過ちほど苦しめてしまい、
喉を刺したくなるのは何故だろうか
見るだけで焼け焦がされることを
一体なんというのだろうか
死ぬまで一緒にいれるほど
大好きなひとはどこだろうか
生きるも死ぬも紙一重なら
生きることをEASYにしてほしいのは
わがままなのだろうか
逃げることは本当に恥なのだろうか
俺が考えて出るものは、
全部重たかった。
とても俺には背負えない、
辛さが半端ない量。
最後まで俺は嘘をついた身だ。
先にお世話になるのは俺だ。
いちばんしんどいおもいでいるのは
青だし、黄だって何日も寝込んでた
俺は誰一人として、背中を押せなかった。
その罪だってある。
見殺しにした罪だ。
風が冷たく俺を撫でて
ふと背中を押している気がした。
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翌朝 黄side
職場に行き、退職届を
そそくさと置いて行こうとした時。
抜けがけをしている人がいた。
橙くんの文字で綴られた退職届。
なんとも驚いてまいった。
仲良く、って話はなしかよ。
どっか遠くの交番行こうかな。
ていうか刑務所に早く行きたい。
幸を思う夜だけはつらい。
その他は辛くなんかない。
冬だって寂しくとも
幸のおかげでそれすら吹き飛んだ。
はぁとひとつため息をつく。
「…最後にパンケーキ食べよう」
「幸」せのパンケーキ、
僕の行きつけだからな。
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青side
見事二日酔いに見舞われ
一日中死んだ方がマシなほど狼狽えた。
頭も回らない。
それでもテレビのガヤガヤ音や
メールなどはチェックしたい。
ぴこんと携帯がなる。
黄、と書かれた文字。
何事かとタップしてみると
「橙くんが抜けがけした」
という内容だった。
僕はなんでお世話になることを
知ってるのか聞くまでもなく、
ただあいつに嫉妬するだけだ。
あいつは一途だと思ってたけど、
実際違うなって思っていたが、
あいつ「の」一途だったなあ。
散々されてきた人にも
愛しく思えるほどだ。
僕の桃くんより重い。
重い愛情は肩がこる。
そういや、紫くんも、重たいな
十分に、愛されたな
紫くんこそ一途だ
僕以外の男に目移りしなかった
僕しか見ていなかった
あんだけ酷いことしたのに、僕は
知らないを理由に逃げてたし。
ああ、重たい。
「…….はぁ」
「そろそろ、いかなきゃ」
愛人の所へ行こうか。
僕の、本当の居場所へ行こうか。
そうしなきゃ僕は桃くんに
本当に愛してたことを言えないんだ。
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??side
俺が思うより一連の騒動は最悪だった。
橙くんは警察に自首をして、
そのあと刑務所で行方不明、
意味がわからないにも程がある。
刑務所でかくれんぼなんて笑止千万。
俺が思うよりも面白く仕上げる。
それに黄くんはどこかの田舎へ行って
そこで狂気的に死刑をのぞんだ。
溺死しようとしたり法医学者とは
思えないほどの行動を犯して…
殺人罪。法医学においての殺人罪。
それに器物損害も問われている。
かなり重たい刑罰になるそう。
これも愛からなる物だろう。
あと青ちゃん。
俺が1番伝えなきゃいけない人。
橙くんと黄くんが消えていった後、
彼は行方がわからなくなり、
今現在は死亡と見なされている。
あれほど俺を探せと言ったのに。
まぁつれない子だったし仕方ない。
それと桃くん。
いちばん俺が分からない。
溺死で青ちゃんに殺される。
それも愛し合いながら自殺。
強く壊れない信頼からなるもの。
青ちゃんには辛い出来事。
あー、こう見るとおなかいっぱいな程
愛し合って傷つけ合っているな。
これじゃ長編小説だ。
ずっと終わらない小説、
すなわち俺が生涯をかけて
書かなければならないわけ。
まぁそんなのは容易い。
俺は土から蘇った。
生きてる化石だ。
そおもいながら書いた小説は
6年にわたって書かれて、
全て1人で仕上げた。
6年もかかってかいた小説は
一気に売れだし、
「6年前の告白」と2つ名がついた。
この本のタイトルは「重愛」。
愛情から、友情へとうつる
たった2章の新しい展開。
それは映画化まで成し遂げられて
今も何度も読んでも感動すると評され
俺は青ちゃんのために、しっかり
「大好きな終わり方でよかった。」
こう書いた。この言葉は、
桃くんが言っている。
もし仮に、桃くんが生きてたら
青ちゃんは俺じゃなく桃くんだろう。
それなら、生き返った俺は
桃くんになりきってやる。
その一心で書いた。
必死に、ペンを走らせた。
「大好きな終わり方でよかった」
溺死した彼にはピッタリだ。
俺には似合わないし、
俺にお金は似合わない。
もう青ちゃんと愛し合えないし
生きてたって赤くんだって居ない。
たった1人のワンルーム。
何を思えばいいのかな。
「……………だいすき」
引き出しにある睡眠薬を
わし掴みにして手一杯にする。
もう何も、要らない。
俺にはペンも要らないし
走らせてきた右手も要らない。
今まで考えてきた命だって
心だってなんにも要らない。
これは苦しみだ。
分かるんだ。これは辛さだ。
愛してた人がいない。
愛してたまらなかった人がいない。
本当はもっと痛いことされて
もっと、証をつけて欲しかった
体は彼しか受け付けないし
何も言うことなんか聞かない
そんなの、いらない。
『俺紫くんのことすきだ』
いっつも居てくれた声が遠く
寂しくなって、手足が痺れる
手足から果ては脳さえも
彼で雁字搦めにされて
どんどん、腐って
蒸して、気持ち悪くなって
みんなの過ちを忘れて全部
投げ出せることほど嬉しいことなんて
あるわけないけれど、
何回も夢に出てきたんだ
俺と、みんなで、肩組んで、
笑って、時には泣いて、
馬鹿みたいなことばっかして
ゲームも、たくさんして
みんなで、笑いあって。
そんな未来が、大好きなんだ
「….ぁ、」
拝啓、灰桜色の彼へ
あなたが好きでした。
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意味わからないことばっかだと
思うので明日解説だします( ◜௰◝ )!!
(ง ᵕωᵕ)ว♪!!