📘 あらすじ
 名前を入力するだけで始められるポイントアプリ《NaPoint》。
 レビューや紹介投稿でポイントが貯まり、電子マネーにも交換できる。
 「名前に信用をつける」という仕組みは瞬く間に広がり、
 人々は自分の名前で稼ぎ、名前に頼って生きるようになっていった。
 
 でも、ある日から“異変”が静かに起き始める。
 ログインしていないはずの投稿、身に覚えのない決済、
 本人よりも“本人らしい”文章、自動で再起動されるアプリ。
 やがて「自分の名前が、どこかで勝手に使われている」と感じた者たちは、
 少しずつ周囲から姿を消していく。
 
 名前だけが、生きている。
 記憶も、関係も、買い物履歴も、つながりも——
 すべては「名前の行動」として、記録され、拡散され続ける。
 
 そしてひとりの少女は問いかける。
 「“私の名前”を使ってるのは、誰?」
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