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ーーーーーーーーー甚壱目線ーーーーーーーー
禪院家には毎日のように実の兄に虐げられている従兄弟がいた。前々から暴力を受けているのは知っていたし、真希や自分の弟である甚爾のように呪力が使えない者は禪院家全体で迫害していたことも知ってる。しかし、俺は目を背け続けた。自分の保身のために、禪院家のために。そんな幼少の記憶を思い出す度に悪夢を見るようになった。それからだろうか、せめてもの償いとして直哉を助けるようになったのは。
幼い頃の直哉も強さに純粋で、人の言うことではなく目で見た物を信じていたなと思った。
保身にばかり走る俺にとって直哉は手本だったのかもしれない。
直哉をいじめから助けてやった時、なんて愛らしいのだと思った。
「じんいちくん、ありがとう」
そう目の前の稚児が言った。そう言って廊下を走って行く姿を見つめ、俺はこう思った。
自分がいじめられているのに、いや、自分を見捨てた人間にここまで感謝できるものなのだろうか。それ以来直哉のことを気にかけるようになった。
直哉が成人してしばらく経つが、あの頃の純粋さは消えていない。しかし、小生意気さに磨きがかかったとも思う。
俺が禪院家の仕事で部屋に籠ることもなくなった時、偶然廊下で直哉とすれ違った。
あの頃の直哉とはかけ離れた容姿だとは思うし、金髪にピアスという派手さに最初は驚いたものだ。
「甚壱くん、久しぶりやな」
「…ああ、そうだな」
話しかけられると思わず、声が上擦ってしまう。