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「あっあの子……」「あぁ中等部の時問題になった……」「あの子の母親やばかったんでしょ?」「めっちゃトラウマを植え付けたらしいね」
???「…………」


今回のお話は、「橙」の過去の話である。


「橙。あなたは成績のことだけを考えなさい。あなたは絶対この大学に入らなくちゃいかないのよ」

橙「はい。お母さん」


橙は、物心つく前から徹底的に英才教育を受けていた。母親の望んだ大学に入り、母親の望む仕事に就くために。しかし、確かにその日々は橙の心を蝕んで行った。しかし……


「橙ちゃん!一緒にご飯食べよ〜!」


黄色い髪の少女が話しかけてきた。


橙「…………」

「もう無視しないでよ〜」


最初は無視をしていた橙だったが、あまりにも話しかけられるため、とうとう答えた。


「橙ちゃん……で良いかな?いつも独りで寂しそうだから声かけちゃったんだけど……良かったら一緒にご飯食べない?」

橙「あなた誰ですか?」

「えぇ!?中等部に入って二ヶ月も経ってるのにまだ覚えられてないの!?同級生の顔と名前ぐらい覚えてよ〜!」

橙「はぁ……」

「私の名前は……」


その少女は、ひたすら橙に話しかけ、最初は無視をしていた橙だったが、こんなに誰かに優しく話しかけて貰えたのは初めてだった。他の者は大体、橙を遠巻きにしていた。休み時間も勉強して、誰にも話しかけて欲しくないオーラを出していた(橙本人は、出してるつもりはなかった)ため、みんな橙を近寄り難い人と想っていたのだ。そんな中唯一話しかけてくれたのが、この少女だった。


「お弁当一緒に食べよ!」

橙「……別に良いですけど……」

「私のお弁当の具分けたげる!」

橙「それが苦手なだけでは?」

「ギクッ」

橙「はぁ……今日だけですよ?」

「ありがとう!!」


しかし……


「友達なんて許しません!!あなたは成績をあげることだけをやりなさい!!友達と遊んでる暇があるなら勉強しなさい!!私が引いたレールの上を歩けば良いの!!ここまでどれだけ育ててやったと思ってるの!!私にどれだけ助けられていたと想っているの!!絶対私の言う通りにしてれば良い人生を遅れるのよ!!分かったわね!!」

橙「……はい」


橙はその少女と、距離を置くようになった。

でも、


「橙!!!!何で橙が私のこと避けるのか分からないし、きっと教えてくれないだろうけど、そんな理由とかは関係なく橙自身は私ともう一緒にいるの嫌なの?!?!私はそれが知りたいの!!!!もし、私と関わりたくないなら私ももう関わらない!!!!でも私は!!!!橙と一緒にいたい!!!!もっと一緒にすごしたい!!!!」

橙「…………うっ……」


「「一緒に……いたい」」


「!、うん!」


二人はさらに仲良くなり、無事中学二年生に進級した。仲良く学校生活を送っていた二人だったが……


橙「おはようございます」

「ひ、ひぃ……お願いやめてやめて!!!!」

橙「ど、どうしたんで……」

「あ……あぁぁぁぁああ!!!!」

橙「!」


橙と仲良くしてくれていた少女が発狂したと騒ぎになった。その日の夜、橙がとぼとぼ帰ると……


「あの子相当参ったみたいね。思い知ってくれてよかった。うちの橙の成績に支障をきたすようなことして欲しくないもの。あなたが悪いのよ橙」

橙「じゃああの子をあんな状態にしたのは……!」

「被害者ヅラしないでよ!あなたが勉強さえしていればこうはならなかったんだから!!さっさと努力しなさい!!そうじゃないとあの大学には入れないのよ!!」

橙「…………」


橙の心は絶望で溢れるほど満ち満ちていた。


「今の話は本当か……!」

橙「お父さん……」

「何。あなた私の教育方針に口を出すつもり?ふざけないでよ。ずっと仕事ばかりで子育てらしい子育てなんてしたことないくせに。しかも寄りにもよってあんな怪奇現象が起こるような意味の分からない学校に入学させて……」

「その話はもう済んだだろ……あちらから入学を勧められたんだ。それに橙にはずっと勉強ばかりの生活を送らせてしまったから勉強とは離れた学校に行かせたかったと……橙も最初は驚いていたが承諾してくれた」

「それがそもそもの間違いだったのよ!!この子にはこの大学を受けさせなくちゃいけないの!!それなのに橙は勉強をサボった!!友達なんかと一緒に過ごして……私がどれだけ橙のことを考えてると思ってるの!!あなたには絶対橙のことを分かることなんてできないわ!!」

「……橙。」

橙「な、何?」

「本当に悪かった」

橙「え」

「何?何言ってるの?」

「お前は黙っていてくれ!!」

「なっ……」


橙の母親は驚いた。今まで橙の父親が声を荒らげたことなどなかったから。


「橙。お父さんはな。もうお前をこんな環境にいさせたくない。普通に友達と過ごして、恋愛して、怒られたり褒められたりして、そうやって学校生活を送って欲しい。お父さんは、橙に橙の望んだ幸せを手に入れて欲しいんだ。お父さんと一緒にこの家を出ないか?」

橙「……え?」

「そんなの許さないわよ!!橙のことは私が一番よく分かってる!!あんたなんかより!!子供の幸せは親が決めてあげないといけないのよ!!あんたなんかには橙は渡さないわよ!!!!」

「幸せは橙が決めることだ。これからお母さんとお父さんは別々に暮らす。橙は自分の望んだ方を選んでくれ。もし、一人で暮らしたいならお金も出す。橙に決めて欲しい。本当にすまない」

「橙。絶対私から離れるなんて許さないわよ。絶対に。あなたは私がいないと何もできないんだから。橙。分かってるわね?」

橙「私は……」


「「お父さんと行く」」


「!」

「な、何言ってるの……!?あのね!!橙!!楽な方に流されていたら絶対いつか後悔するわ!!ふざけるんじゃないわよ!!どれだけ助けてやったと思ってるの!!!!橙!!!!」

「私は……私の友達の心を壊したお母さんのことを……」


「「許すなんてことできません」」


「橙……」

「私は絶対認めないわよ!!」

「お前の意思なんて関係ない。これは橙が決めることだ。」

「……良い?橙、絶対いつか思い知らせてやるから」

橙「…………」


不山家は、この日をもって大きく断裂した。


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「今日は高等部の入学式か!バッチリ写真撮ってやるからな!」

橙「うん!ありがとう!」


橙の父親は、わざわざ仕事を休んで、写真を撮りに来てくれた。


「お前は真面目なやつだが、無理するなよ?勉強なんて自分がやりたい時にやれば良いんだから」

橙「それも極端だと想うけど……ふふっ、でもありがとう!お父さん!あとさ……」

「何だ?」

橙「私別にお父さんのこと恨んだりしてないし、お父さんももう自分のこと責めたりしないでね」

「!」


橙の父親は、腕で顔を隠した。

────泣き顔をみせないようにするために。


橙「ほらほら。今日は焼肉奢ってくれるんでしょ?早く行こうよ!」

「ぐずっ……あぁ!」


橙と橙の父親は春に染められた心を高鳴らしながら仲良く陽の光に照らされていた。


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???「でもそれこの人悪くないよね」

橙「!」


橙にコソコソ話をしていた生徒たちに向かって言い放ったのは……


橙「あなたは……」


「「黒い彼岸花!」」


???「この人がそんな風にコソコソされて傷つかないといけないようなことしたの?この人はわたしたちの知らないところでそのことや他のことでも沢山傷ついた。その傷を抉るようなことしちゃダメでしょ」


「ひぃ!!」「こいつのこと怒らせちゃったの!?」「恐い!!」「早く逃げよう!」


コソコソ話をしていた者は、離れて行った。


橙「あの……ありがとうございます」

???「ううん。……」


わたしは人のこと言えないけどね


???「じゃあわたしはこれで……」

橙「あのお名前は……?」

???「…………」


「雨花」


橙「私は橙です。よろしくお願いします!」

雨花「あなたわたしのこと恐くないの?」

橙「え?何でですか?」

雨花「…………」


「どこがですか?」じゃなくて「何でですか?」なんだ


雨花「あは。こちらこそよろしく!橙ちゃん!」

橙「はい!」


この日を境に、二人は仲良くなっていくのだった。

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