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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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???「(はぁ……進級しても何も変わらないわね)」「ねぇ桃時さん!今日一緒にカラオケ行かない?」

???「うん!行く〜!!楽しみ!!」

「やったぁ!!俺の男友達も来るから楽しくなるよ!」

???「ふふっありがとう」

「じゃあ後で!」

???「…………チョロ」


「ねぇあの子またぶりっ子してる」「あんなことしてどうして男子たちも乗っていくんだろ」「あの子マジでキモイ」「変なやつ」


女子たちからコソコソされているのは、「桃時」である。


桃時「…………」


「やば、こっちみた」「早く行こう」


桃時「……はぁ」


「(……ぶりっ子で結構よ。こっちには事情があるんだから)」


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《こんなやついらないのよ!!》《こいつさえ産まれて来なければ》《こいつのせいで全て狂ったのよ!!!!》《あんたがせめて……》


《女じゃなければ》


桃時「!!!!」


桃時は、幼少期の記憶の悪夢をみていた。

小さい頃、ヒステリックに暴れていた母親。そんな母親から父親が桃時を守る。すると、さらにヒステリックになる……そんなことをずっと繰り返していた。そして、ある日とうとう母親は家から出て行った。


桃時「よし、ちゃんとメイク用品も服もアクセもある。メッセだって馬鹿面の男たちからのナンパのメールしかない。アタシは……ちゃんとアタシでいれてる……」


ぽたぽた


桃時「……うっ……ぐずっ……これは汗かしら。もう汗なのか何なのか分からない……」


桃時が流しているのは

汗なのか

それとも────


桃時「もっと女として認められれば……アタシは……」


桃時はそのまま眠らず、徹夜で男ウケするメイクを練習して、雑誌を読み漁った。






「桃時ちゃん!どうせなら合コンしない?」

桃時「え」


この男は、前にカラオケに桃時を誘った男。その男は、桃時が思いもしなかった言葉を言ってきた。


桃時「あ、アタシ一人じゃダメかな?」

「ダメじゃないんだけど、俺の友達が同じ人だけじゃつまらないって言うから……ごめんね!」

桃時「…………」


それってつまりアタシ一人じゃダメってことじゃない……!ていうかアタシが女子から嫌われてるのこいつマジで知らないの?クソ鈍感野郎


桃時「分かった。誘ってみるね!」

「ありがとう!!じゃあいつものカラオケ屋で待ってるね!」

桃時「うん!……はぁ」


「あの子女子の友達なんているの?」「絶対いないでしょ」「強がっちゃって可哀想……ぷっふふ」「そんなこと言うなら一緒に行ってあげなよ」「私たちじゃあの子とは不釣り合いだよ〜ぷっくっくっ」


こんな言葉が桃時の胸を抉った。


桃時「どうしよう……」


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そして、放課後。


桃時「(放課後になっちゃった……結局誰も誘えなかった……全く何でアタシがこんなに悩まないといけないわけ!?いつもみたいにアホ面こいてちやほやしてれば良いのよ。絶対仕返ししてやる。アタシだけじゃ満足出来ないなんて贅沢なことしたやつをギッタギタのボッコボコに……)」


桃時が腕をぶんぶん振っていると、


パッッッッキッッン


桃時「な、何……?」


桃時の前にある教室は、資料室である。そのドアの窓に本がぶち当たり、割れてしまったのだ。


桃時「(む、無視しよ)」


桃時は元来た道に戻ろうとすると、


???「はぁ……はぁ……」

桃時「?」


桃時の目の前には、明らかに顔色が悪い黒髪の少女が手から血を出して息を乱しながらドアからたじろぎながら出てきた。そして壁にもたれかかる。


桃時「(こいつは……確か……)」


「「黒い彼岸花だ」」


桃時は、黒髪の少女と目を合わせないようにした。「黒い彼岸花」は妖怪たちを約千体ほど倒した人間離れした身体能力を持っている女子。いわゆる問題児である。なので、誰も近寄らないのだ。(約一名を除いて)


桃時「(アタシにはやることがあるんだから……悪いけど無視させて頂くわ)」

???「…………」


黒髪の少女は、自身が投げたであろう資料本を拾うと教室にふらふらと戻ろうとした。しかし……


桃時「ちょっとあんた!」

???「?」

桃時「アタシの言う通りにしてくれたら教室のドアの窓壊したこと黙っててあげる。どう?これは取引よ!」

???「…………怒られるのは慣れてる」


ガブッ


???「……何?」

桃時「頼むからアタシの話に乗って」

???「だk((桃時「た・の・む・か・ら!!!!」

???「…………」

桃時「…………」

???「…………はぁ分かった」

桃時「やったぁ!!!!」


「あんたの名は?」


???「…………」


「「雨花」」


桃時「よろしく!雨花!じゃあ早速だけどアタシの言うこと聞いてもらうわよ」

雨花「……はぁ」





カラオケ屋さんの前


「えっその人って……」「ま、まさか」


「「黒い彼岸花!?!?」」


桃時「アタシの友達なんだ〜!女の子だし良いでしょ?」


桃時は冷ややかな笑みを浮かべる。


桃時「(ぷっぷっいい気味)」


「ど、どうする?」「でも連れてくるように言ったのこっちだし……」

桃時「この子も合コン楽しみにしてたの。だから仲間に入れてあげて?」

「そ、そうなの!?」「マジか超意外」

雨花「……はぁ」

桃時「あんた話合わせなさいよ」

雨花「…………はい」

「じゃあカラオケん中入るかー!」「ゴーゴー!!」

桃時「ほら行くわよ」

雨花「…………」


合コン、開始


「じゃあこれ歌いま〜す!」「イケイケ!」

桃時「ふふっ……ちょっとあんたも歌うのよ」

雨花「わたしは明るい曲は好きじゃない」

桃時「だから何?自分の好きな曲好きなように歌いなさいよ」

雨花「……え、いいの?」

桃時「何当たり前のこと言ってるの?確かに合コンだけど誘ってきたのはあいつらなんだからアタシたちがどうしようと勝手でしょ?」

雨花「…………」

「じゃあ雨花……さんも歌いませんか?」「雨花さんは何歌うんですか?」

雨花「…………国歌歌う」


「「えぇぇぇぇ!?!?」」


桃時「(好きな曲歌えって言ってるのに……いや待てよ。本当にこの歌が好きな可能性も……)」


雨花は、国歌を歌い終わるとそこからはずっとポテトを事務的に食べていた。


桃時「あんたもっと歌いなさいよ」

雨花「「歌を歌う」ということは済ませたんだから良いでしょ」

桃時「はぁ……まぁそうね」


こうして、無事合コンは終わりを迎えた。


「じゃあね!桃時ちゃん!」「バイバイ」


桃時「うん!またねー!」

雨花「…………」


二人は帰路に着いた。


桃時「今日はありがと。助かったわ」

雨花「……はぁ」

桃時「聴いて良い?」

雨花「……何?」

桃時「あんた資料室で何してたの?」

雨花「……探し物」

桃時「何探してたの?」

雨花「…………別に」

桃時「……まぁ言いたくないなら良いわ」

雨花「……わたしも一つ質問して良い?」

桃時「え?どうぞ……」

雨花「何で合コンに参加したの?別にあの人たちのこと好きな訳じゃないでしょ?」

桃時「……アタシは女として認められたいの。女の子としてちゃんと周りに認められたい。アタシは女子として生きていくって。周りに知らしめたいの」

雨花「……わたしが言っても余計なお世話だけど、あなたは女の子としてじゃなくて……」


「「”自分”として認めたいんじゃない?」」


桃時「え」


桃時は、心臓が口からもろび出るかと想うほど、驚いた。

その言葉は、あまりにも突然、桃時の心臓を撃ち抜いたのだ。


雨花「あの人たちと話しててもあなた全然楽しそうじゃなかった。あなたは女として認められたいんじゃなくて、女だとか男だとか関係なくて、他の誰でもない”自分自身”として周りにも、自分にも認められたいんじゃない?いや……」


「「自分自身を認めたいんじゃない?」」


桃時「…………何……で……そんなこと……」

雨花「初めに言ったでしょ。余計なお世話だって。わたしは自分の言いたいことを言っただけ。じゃあわたし帰るかr」

桃時「…………」

雨花「…………泣いてるの?」

桃時「…………ぐずっ……だって……だって……」


「「そんなことに気付いてくれる人なんて今までいなかったの!!!!」」


雨花「…………」

桃時「……うっ……ひっく……ひっ……」

雨花「…………今まで頑張ったんだね」


「そうじゃないと」


「「その涙は出ない」」


桃時「何で急にそんな優しいこと言うのよ!!涙が止まらなくなるじゃない!!!!」

雨花「泣きたいなら、泣けるなら、泣いた方が良いよ。そしてわたしは優しくない」

桃時「うるさい!!!!アタシにとっては優しい人間なの!!!!あんたは!!!!うわぁぁぁぁん!!!!」

雨花「………………」

桃時「ひっぐ……うっひくっ……」


一人は涙を浮かべ、一人は沈黙を浮かべ、帰路を歩いた。


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桃時「ねぇ雨花いる?」

「え!?「黒い彼岸花」を呼ぶんですか?!な、何で……」

桃時「いいからさっさっと呼んで」

「いやぁそれは……恐いっていうか……」

桃時「ちっ使えないわね」

雨花「……何?」

桃時「あぁ、雨花!一緒にお昼行きましょうよ!」

雨花「先約ある」

桃時「え!?あんたアタシ以外に友達いるの?」

???「どうしたんだ?雨花?」

雨花「別に……」

桃時「何が「別に」よ。お昼誘いに来たのよ。あんたが先約相手?じゃあ一緒に食べましょ。名前は?」

???「兎白だ。けど……」

桃時「何?」


「兎白」は塞ぎ込む。


兎白「俺いて良いのか?女子同士と話した方が良いんじゃ……?」

桃時「はぁ?何でそんな仲間はずれしなくちゃいけないの?あんたこの常闇女の唯一の友達なんでしょ?アタシも仲良くしたいわ」

兎白「!、そ、そうか……」

雨花「わたしもう行く」

桃時「ちょっと待ちなさいよ!」

兎白「待ってくれ!雨花!」


雨花は、さっさと行ってしまい、それを追いかける後の学園一の惚気カップルになる桃時と兎白。


雨花の日常がまた一つ変わったのだった。

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