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転生した少年は三歳から冒険者生活始めました。

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転生した少年は三歳から冒険者生活始めました。

19 - 第19話 嫌だけど領主に会ったよ。美味しいお菓子をもらったから、いいけど。

♥

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2024年01月20日

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ちょっと待ってろと、ギルマスは隣の部屋へと移動した。

このまま待つのかな。魔物も出さなきゃだし、どうすればいいの?


思ったより速いご帰還のギルマスは、大きなため息をはいてソファに座る。

どうしたの、何があった?

「お前、今日でも明日でもいいんだが。俺と一緒に領主のところに行ってくれないか。ミノタウロスのことを聞きたいそうだ。その音なしのオークのこともな」

音なしのオークって。

でも、領主って貴族でしょ? できるなら会いたくない人種だね。まあ。ラノベ知識だけど。

「なぜですか? 詳細は今話したとおりです。あの穴を調査してもらって埋めるかなんかしないと、落ちたら村人は亡くなってしまう。一応柵は作るといってましたけど。そっちの方を急いだ方がいいかと。僕に聞いてもなにもわかりませんから」

獲物も出してないし、お昼を食べてないからお腹も空いたし……

「じゃあ、飯食った後頼めないか? その方がゆっくり休めるだろ。なあ、俺の顔を立ててくれよ」

半泣きだよ、ギルマス。

まあ、この人には助けてもらった。この人がいなきゃ、俺は今頃どうしていたか。

仕方ないか。

『ナギ、行ってあげたらどう? ギルマス、優しいよ』

そうなんだよね。いろいろお世話になってるからさ。

「じゃあ、獲物を引き渡してからお昼ご飯を食べます。その後でいいですか?」

助かる! と手続きに行ってもいいからと言われて階段を降りる。ギルマスは再びさっきの部屋の中だね。あそこに通信器でもあるのかな。


素材買取カウンターへ向かえば、いつものように向かえてくれる。

どうせ、奥に行かなきゃダメなんだろ、と笑いながら歩いて行ったよ、おじさん。

ここからあっちへ向かって出してくれ。

そう言われて、オークから取り出して行く。

一つの台に一頭しかのらないんだけど。

十五台あった解体台は一杯になった。

「まだあるのか?」

うん。

預かっててくれ。明日な、と言われたけど、予想通りだね。じゃあ、ミノタウロスのことも明日にしよう。


食堂に向かって普通のメニューの中から選ぶ。

俺はまず、パスタ。

フラットはまず肉。

オークを一塊とりだして渡した。どうやら二十枚をご希望だ。

シチューも捨てがたい。グリルしたミコロ鳥というのがまた美味しいんだよね。

フラットに半分こしようといえば、全く問題なく、笑顔だ。

じゃあ、と追加注文した。



やっと昼食を終える。といっても、三十分くらいだけどね。

「ナギ、迎えが来たぞ。飯は終わったか?」

はい、と立ち上がる。

フラットにはクリーンをかける。

二人でギルマスの後を追うんだけど、タブレットは俺の左脇にぶら下がっているよ。ショートソードは腰にあます、しっかりと。


豪華という程ではないけれど、きれいな馬車が停まっている。するすると小さくなったフラットを抱きあげれば、ギルマスが引き取ってくれる。俺は思わず「よっこいしょ」と言ってしまった、六歳なのにね。前世での癖ですよ、悲しいね。


ガラガラと馬車に揺られて到着したのは豪邸でした。

道すがら、ギルマスから聞いた領主像は、意外なものでした。

とにかく領民が平穏に暮らしていける領にしたいと言い続けているらしい。偉そうなことろなどなく、気になることはきちんと精査しないと気がすまない性格らしい。

ちょっとだけ面倒だなと思ったのは俺だけかな。

だからギルドとも連携をとりながら討伐を進めているという。現状では被害が出た時に対応するという図式になっているみたいだけど、本来なら領主の騎士団に偵察させたいらしい。でも、基本的に騎士は魔物に対してあまり役に立たないんだって。

まあ、そんなものでしょうね。

お役所の担当部署の人が使えないのとおんなじだよ。


大きな門をくぐってお屋敷の正面に停められた馬車から降りるのだが、ゆっくり降りなきゃ、転びそうだ。

手を差し出してくれたのは、揃いの服を身につけた人の中でも偉いのかな。

手を借りて降りれば、ギルマスがフラットを抱いたまま降りてきた。

俺の手元に戻ったフラットは、あまりに違う景色にキョロキョロが止まらない。


案内されたのは応接室だろうか。

座りにくいほどふわふわのソファを勧められて、ギルマスが座らせてくれた。

隣りにはフラットがいるんだけど、いいのかな。


「やあ、待たせたね。どうぞ、お茶もお菓子も食べてみてくれ」

やけに砕けた人だな。

あっ、でもこのお菓子美味しい。

手のひらにのせてやれば、フラットもバクバク食べ始めた。こうなったら俺の分はないよね。

ひとしきりお菓子を食べたフラットは物足りなさそうに俺を見る。そんな目で見るなよ、俺だって一個しか食ってないんだぞ。

視線で訴えれば、かわいそうにうなだれちゃった。

「ふふふ。その子は菓子が気に入ったようだな。もっと食べるか?」

く~ん、と答えたフラットを見て、侍従に合図した領主だけど。もしかして動物好きなの?


「さて。ええと君はナギくんだったか。マーレから聞いたが、君がミノタウロスを単独で倒したと聞いたが間違いないか?」

「はい。その通りです」

ふむ。と何かを考えている。

「証拠はあるのか? その間オークはどうした?」

「証拠はあります。オークですが、僕の眷属でもある、このフラットが狩りました。残りはおよそ十五頭ほどだったので。僕は穴の中に落っこちたので、とりあえず、先にオークをと考えてのことです」

あるのか、証拠が! と驚く領主はレアなんじゃないの?

「ナギはアイテムボックスを持っておりますので、確認はしていませんが、おそらく持っているかと思われます。ナギ、買取カウンターでは出してないのか?」

「はい。オークもまだ全て出せていません。預かっておくよう言われました」

見せてくれないか?

領主は俺の顔を伺ってるんだけど、どうするのかなギルマス。

視線を向ければ、大きく頷いた。

「よかった。それとフラットか。その子は眷属だといったが、子犬がオークを狩れるのだろうか」

あはは、この大きさは無理でしょ。

「フラットの本来の姿は子犬ではありません。街の人たちは知っていますが、シルバーウルフなんです。特別なスキルを持っていますので、大きさを変えることが可能です」

なに? とフラットを見ているんだけど、先が読めるね。

予想通り、普通の大きさを見せてくれと頼まれた。まあ、いいかな。

「フラット。元の姿に戻れるかな」

『ここじゃ狭いけどいいの?』

それはそうだね。

「あの。この部屋では少し狭いかと。ホールでいいですか?」

それなら、と皆で移動する。

フラットを下ろしてやれば、グググンと一瞬で大きくなった。

「ナ、ナギ。普段よりも大きい気がするが……」

「これが本来の姿です。もうすぐ三歳ですが、正直どれくらいになるのかわかりません。フラットのお母さんはもっと大きかったですから」

そうか、とギルマスは驚いていた。

フラットが眷属になった理由を聞かれたんだけど、それは話したくない。フラットの前ではかわいそうだから。命を失う直前の母親が自分の命をかけて産んだ子なんだ。だから噂話なんかにされたくない。


素晴らしいな、と領主はフラットをなで始めた。

フラットは嫌じゃなさそうだ。

「それならあんな小さな菓子じゃたりないだろう。料理長に何か作らせよう。甘いものは好きか?」

ふぁふっと答えるフラットは、ふさふさの尻尾を振ってうれしそうだ。

ありったけの菓子や果物を。そしてパンケーキなど、すぐにできるものを持ってくるようにと言ってくれた領主には感謝だ。


外に敷かれた大きなシートの上にミノタウロスをおいて行く。

頭、胴体。両足、両腕。

それを見たギルマスと領主は、あんぐりと口を開けたままだ。

「これほどの大きさのミノタウロスをナギ君は一人で……素晴らしい冒険者だ。普通なら高ランクがパーティ単位で挑むほどだろう?」

歓喜に震える領主はギルマスに同意を求めた。


再びミノタウロスを収納して、応接室へと戻り話しをはじめる。

ドアは開きっぱなしで、その向こうではフラットがいろいろ食べさせてもらってる。

ついでのように俺の前にも置かれた。まあ、六歳の子供だし、甘いものは好きでしょってことだろうね。

「それでだ、マーレ。ナギ君が言ってたとおり、オークが出現した村とそこに空いた穴の調査をしなければならない。だれか優秀な冒険者はいないか。もちろん騎士団は参加させるが、対魔物では使い物にならないだろう。魔物については冒険者諸君の方が詳しいと判断する。手を借りられないか? もちろん穴を埋める時には、騎士団はじめ作業員を向かわせよう。それはこちらの仕事だ。あたりの調査は、やはり普段から魔物の生態を見ている者の方が確かだろう」

なるほど、それを頼みたかったのね。

「そうですね。それでは依頼されますか? 高ランク冒険者でなければいざと言うとき対応出来ません。Bランク以上の方がいいでしょう。事務方は騎士団にお任せします。急ぐ必要があります」

それでは依頼する、と行った時には、目の前に依頼書が置かれた。侍従が取り出したのだが、屋敷に常備してあるんだね。

横目で見ながら、パンケーキを頬張る俺は見て見ぬ振りだ。

俺はCランクだから関係ないんだよね~って、この果実水は美味しい。どこで買えるのかな?


「今回の調査には、ナギ君とフラットにも参加して欲しいと思う。ナギ君のランクは?」

「Cランクです。実質的には既にBランクと言って全く問題ありませんが、六歳ですしね。森に入るのも許可できない年齢です。まあ、不可抗力は仕方ないですが」

そうか。と領主は残念そうな顔をした後、少し悪い顔をする。

「ならば、指名依頼を出す。調査を頼みたい。メインで行動して欲しいのだ。実際現場で戦ったのはナギ君とフラット。それならば場所もわかるし、穴の内部もわかるだろう。問題ないな?」

あははは、ギルマスが固まったぞ。

でも、俺がメインで、とか騎士団のプライドを傷つけるでしょうよ。

「騎士団長には紹介する。おそらく問題なくそちらの指揮下に入ると思う。魔物相手に前線に立たされても困るだろう。そのあたりは心配いらない」

どうするか、とギルマスは腕を組んで考え込んだ。

Bランク以上って、俺が知ってるのはショルダーさんくらいだけど、今、街にいるんだろうか。

「それならば領主。Bランク以上の冒険者に関しても、人選はお任せください。この件はナギが中心となります。ならば、ナギが話しやすい相手がいいと思います。ランクだけで判断するのはどうかと思いますので。もちろん、できるだけ高ランクで対応致します」

なるほど、と頷いたぞ。いいのかな、領主様よ!

それなら、決まったら知らせろと言っているけど、もしかして?

やっぱり全員に対して指名依頼を出すらしいよ。ヤバいよね、領主。

「ナギ君とフラットは、他者と報酬が違うのは承知してくれ。フラットには公に報酬を出せない。だが、絶対にいてもらいたい。それは主であるナギ君の報酬に上乗せとなる」

承知しました、と頷いたギルマスだ。いいのかな、そんなこと。まあ、六歳の俺は任せるしかないけどね。


「それでだ、ナギ君。君は今回、素晴らしい活躍をした。そして重要な情報を提供し、証拠を持ち帰ってくれたのだ。領主として報償を渡そうと思う」

なんで?

侍従が領主に渡したのは、革袋だ。なんだか嫌な予感がするんだけど。

目の前におかれた革袋だけど、どうすりゃいいのさ、ギルマス。

視線を向ければ大きく頷いてくれた。なら、拒否はできないと言うことでしょうね。

「思いも寄らない報償金ですが、よろしいのですか?」

受け取って欲しい、とずいっと押し出された。

「では、ありがたく頂戴します」

そう言い、両手に持って押し頂いた。その後はアイテムボックス行きだけど。

「本当に六歳か? 話す言葉も場をわきまえておる。大人ですらこれほどの落ち着きと発言は中々難しいだろうね。大人の貴族かと思うほどだね」

はははは、と笑う領主は、ある意味大当たりなんだけど。人に対しての観察力は素晴らしいと思うよ。



『ナギ、美味しかった。全部食べられなかったよ。もらって帰る?』

『うん、美味しかったね。じゃあ聞いてみるよ』

領主に問えば、持って帰って食べて欲しいと言ってくれた。何か入れ物に入れさせる、と侍従に命じていたけどね。


帰りも馬車に揺られてのんびりと帰ることになる。

「悪いなナギ。結局調査にもかり出すことになっちまった。とりあえず、ショルダーが明日には戻ると思うから、一緒に行かせようと思う。お前の知ってる『草原の風』だったか? あいつらはお前と同じCランクだが、剣の腕は知らん。だが、お前が指示するなら知ってる相手の方がいいだろう。一度、俺が手合わせしてみる。後は、面識があるか? Bランクのピットと全員Aランクのパーティで『蒼い翼』だ。皆気の良いやつで腕もいい」

「聞いたことあります。ピットさんは何度か話したことがありますね。『蒼い翼』の女性魔法使いのミミカさんと僧侶のレインさん、前衛のマックスさんとは話したことがあります」

そうか! とギルマスは安心したみたいだけど。話したことがあるだけだよ。

他のAランクの人たちとBランクの人たちは王都への護衛依頼

で、戻ってこれなさそう。

まあ、それなりにやるかな。

とりあえず、先に話しをしたいといえば、どうやって勧めるかを相談するから参加しろと言われる。なんで?

いつごろかと問えば、戻ってすぐに段取りするらしい。既に、ギルドにさっきのメンバーを押さえるように伝えたそうだ。それなら安心かな。

転生した少年は三歳から冒険者生活始めました。

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