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私は個人で絵のモデルをやっている。そして今日も、私はバイト先のアトリエにいた。アトリエはビルの一室にあり、中に入るとすぐに広い部屋がある。壁にはいくつものイーゼルが並び、油絵具とニスの匂いが立ち込めている。部屋の中央には、大きなキャンバスが置かれていた。
この部屋にいるのは私だけだ。今日のバイト内容は、全裸になって、背中から腰にかけて、女性の輪郭を描くというものだ。裸になる必要があるため、アトリエに入る前にシャワーを浴びた。そのため、今は一糸まとわぬ姿だ。
「ふぅ」
私は深呼吸をする。今日も一日が始まるのだ。気持ちを切り替えていこう。そう思いながら、床に散らばった絵画用の小道具を集める。鉛筆、消しゴム、筆、パレット、水の入ったバケツ……それらを片付けていく。すると――
「おはようございます。小鳥遊ちゃん」
部屋の扉が開かれ、女性が入ってきた。彼女は、私のバイト先のオーナーである美波さんだ。年齢は二十代後半くらい。シングルマザーで、女の子を一人で育てている。
「悪いんだけどさ、絵画教室が始まるまで、うちの子の面倒見ててくれない? ちょっと急用がはいちゃってさ」
それで今日は開始がいつもより遅いんだ。私は連絡に気づくのが遅れて、そのままいつも通りの時間についていた。
「わかりました。大丈夫ですよ」
断る理由なんてない。だから快く引き受けた。
「ありがとね。助かるよ。じゃあよろしくね」
そういうと、美波さんは急いで出ていった。きっと仕事に戻ったんだろうな。忙しそうだもんね。さて、子どもの面倒みるなら、先に服を着ないと、と思っていたら、
「ねえ、ママはまだ?」
幼稚園児ほどの女の子が話しかけてきた。この子は美波さんの子どもであり、私が今面倒を見ることになっている子でもある。名前は美鈴ちゃん。年は四歳。
「ごめんなさい。もう少ししたら帰ってくると思うから待っていてくれるかな?」
私はしゃがみ込んで目線を合わせながら言う。
「わかった! おとなしくまってる!」
そう言って元気よく返事をしてくれる美鈴ちゃん。とても素直でいい子だ。それにしても、やっぱり美波さんに似てかわいい。
「あの……お姉ちゃん」
そんなことを考えていたら、美鈴ちゃんの方から話しかけられた。なんだろ?
「どうしたの?」
「えっと……」
少し恥ずかしそうな様子を見せる美鈴ちゃん。
「うん?」
「あのね……」
何か言いたいことがあるようだ。でもなかなか言えないみたいだった。なんだろう?
「どうしたの?」
もう一度尋ねてみると――
「えっとね……なんでお姉ちゃんははだかなの?」
ああなるほど。服着ていないから気になったのか。私はすっかり慣れてしまったけど、たしかに変だ。
「これはね、これから絵のお仕事をするんだよ」
「へー」
あまりわかっていなさそうな感じだけど納得してくれたらしい。よかった。これでようやく服を着ることができる。私は着替えを取り出し、それを身に着けようとした時―― (続く)