「ねぇねぇ、それなぁに?」
美鈴ちゃんが部屋に落ちているものに興味を持ってしまった。それは――
「これのこと?」
「うん!」
「これはね、乗馬用の鞭だよ」
部屋には絵画用の小道具としていろんなものが落ちていた。その中の一つだ。
「じょうば……?」
「えーとね、お馬さんに乗るときに使うものだよ」
「へぇ~」
興味を持ったらしく、美鈴ちゃんは近づいてくる。そして手に取ってみたりしている。
「危ないよ。触っちゃダメ」
「だいじょぶだって!」
仕方がない。ここは好きにさせてあげよう。
「すごい! かっこいい!」
どうやら美鈴ちゃんはこの鞭に興味津々のようだ。目をキラキラさせている。
「お馬さんごっこしたい!」
唐突に美鈴ちゃんが言った。遊びたくなってきたらしい。うーん……それって、もしかして?
「お姉ちゃんがお馬さん!」やっぱり……。まあ別にいいけどさ。
「はい、じゃあお馬さんになりますよ」
そうして私は美鈴ちゃんの前で四つん這いになる。すると――
「やったー!」
美鈴ちゃんが勢いよく背中に飛びついてくる。服を着る前だから、当然私は裸のままだ。全裸で四つん這いになるのは、ちょっと恥ずかしい。まあ、子どもしかいないからいいけど……。(終り)