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#シェイプシフター
柊遊馬
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#戦国時代
眠狂四郎
284
#戦国時代
眠狂四郎
196
#軍師
眠狂四郎
153
王は知の神ヘルメスの神殿を訪れ、頭を垂れた。
「この王冠に混ぜ物があるか、壊さず調べる術をお授けください。」
ヘルメスは静かに王を見つめた。
だが、その問いに答えを授けることはしなかった。
「人の知は、人自ら切り開くもの。」
そう呟くと、王を帰した。
困り果てた王は、近臣の学者アルキメディアを呼ぶ。
「王冠を壊さず真贋を見抜く方法を考えよ。」
命を受けたアルキメディアは、来る日も来る日も思索を重ねた。
そしてある日――。
湯船へ身を沈めた瞬間、あふれ出す水面を見つめていた彼の目が見開かれる。
「……見つけた!」
「ユウレーカ!」
裸のまま町を駆ける男を、天よりヘルメスは静かに見つめていた。
「ついに、自ら辿り着いたか。」
王へ原理を説明するアルキメディアを見届けると、神はその心へ直接語りかけた。
「我は知の神ヘルメス。」
「人の身で、神すら期待した答えへ辿り着いた。」
「アルキメディアよ。」
「我がお前に神託と加護を授けよう。」
「この国の王となり、人々を導かぬか。」
アルキメディアは静かに首を振った。
「私が求めるものは王冠ではありません。」
「地上に隠された、すべての真理です。」
「どうか……。」
「どうか私に、探究する時間を。」
「寿命を、少しだけ長くしていただけないでしょうか。」
その瞳には、権力への欲望ではなく、知への飽くなき渇望だけが宿っていた。
ヘルメスはその願いを聞き届け、静かに微笑んだ。
「よかろう。」
「ならば、お前の命ある限り、その知は衰えることなく輝き続ける。」
「人々はやがて、お前を知恵の賢者と呼ぶだろう。」
天界――知の神ヘルメスは、一人静かに下界を見つめていた。
その視線の先には、一人の学者がいた。
ヘルメスは満足そうに微笑んだ。
その時だった。
「――あら、ヘルメス。どうしたの?」
澄んだ声とともに、戦と知恵の女神アテナが背後から現れた。
「ああ、アテナか。」
ヘルメスは視線を下界へ向けたまま答える。
「実は以前、あの男に少しばかり寿命を授けたんだ。」
「でも、その寿命が今、揺らいでいる。」
アテナは不思議そうに首をかしげる。
「揺らいでいる?」
「ああ。私は知を司る神だが、未来までは見えない。」
「この先、あの男がどんな運命を辿るのか……それだけは分からなくてね。」
「ふうん。」
アテナは興味なさそうに相槌を打つ。
するとヘルメスが話題を変えた。
「そういえば、ゼウス様は最近どうしている?」
「お父様?」
アテナはくすりと笑った。
「相変わらずよ。」
「最近は毎日のようにプロメテウスのところへ行っているわ。」
「昔はあれほど怒っていたのに。」
「案外、あの二人……仲がいいのかもしれないわね。」
ゼウスが最も可愛がる娘らしい、屈託のない笑みだった。
「どれどれ。」
アテナはヘルメスの肩越しから下界を覗き込む。
雷神トールのお気に入りを敗走させた男に目をやった
アテナの口元が、ふっと緩んだ。
「……へえ。」
その瞳に宿ったのは、恋でも憐れみでもない。
知を愛する者だけが見せる、純粋な興味だった。
女神は静かに微笑む。
「少しだけ……見守ってみようかしら。」
アルキメディア
シラクス王家に連なる天才学者。
数学、物理学、天文学を極め、数々の発明を生み出した技術者でもある。
その知識は机上の理論に留まらず、
巨大な防衛都市シラクサの設計を一から手掛けた稀代の建築家でもあった。
戦を好む性格ではないが、
その知略は一国の軍師としても比類なく、攻め寄せる敵を幾度となく退ける。
王位や名誉には一切興味を示さず、
生涯を通して求めたものはただ一つ――世界の真理。
知の神ヘルメスにその才を認められ、寿命と加護を授かった、
人類史上屈指の天才である。
シラクス要塞
西側の高台一帯を、総延長二十七キロメートルに及ぶ巨大な城壁が囲む。
城壁には十四の監視塔が規則正しく築かれ、
六つの城門はすべて独立した要塞として設計された。
中でも西方の玄関口・エピポライ門は、巨大要塞エウリュアロス城によって守られ、
その最終改修は天才学者アルキメディア自らが指揮した。
さらに彼は、防衛兵器としてねじりバネ式投石機を開発。八十キログラムもの巨石を
放つその威力は、敵軍を城壁へ近づけることすら許さなかった。
大型弩弓や投石機は城壁上へ緻密に配置され、死角なく敵を射抜く。
その防御力は、世界でも屈指。
人々はこの城を、難攻不落の要塞シラクスと呼んだ。
この難攻不落の要塞を目指し――
マルスとグラスは、新たな装備を携えて本土を発った。
二人はまだ知らない。
その城で待ち受ける男が、ただの軍師ではないことを。
数学が兵器となり、
物理学が城壁となり、
知識そのものが戦場を支配するということを。
そして、その戦いは一つの時代の終わりを告げる。
神々の加護ではなく、
人の知恵が世界を変える時代。
それは、人類が初めて――
神を超えようとする瞬間であった。
コメント
1件
「ユーレーカ!」からの流れ、一気に持ってかれたわ。王冠より真理、権力より探究……アルキメディアの渇望がかっこよすぎる。神の加護より人間の知恵で時代を変える、って構図が熱い。シラクス要塞の設計も詳細で、これからマルスたちがどう挑むのか楽しみ。知識そのものが兵器になる戦い、期待しかないわ🔥