日帝「え…?」
…は?どういうことだ?
空「だーかーらー」
空「死んだ方がいいって言ってんの」
呆れたような眼差しを向けられる。
日帝「それはどうして…」
空「君がいたせいで僕たちは死んじゃったんだよ?」
空「ねぇ海?」
日帝「…ッ!?」
後ろを振り返ってみると海がいる。
俺のもう一人の兄であり、大切な家族だ。
海「嗚呼そうだな」
日帝「ッ何で…」
この二人は戦争で死んでしまった。
原爆が落ちた後俺たちは負傷を負ってしまった。
その後敵が来て俺に奇襲しようとしたが、二人が守ってくれた。
だがその対価として二人は命を落としてしまった。
……守ってくれた?
本当に?
二人は俺に死ねと言うのに?
日帝「俺のことを守ってくれたんじゃなかったのか…((ボソ」
二人は嘲るように笑い
空「自分の名誉を守るためなんだよね」
海「俺らだって生きたかったに決まってるだろ」
その言葉を聞いた瞬間、俺は何かが壊れた気がした。
絶望している俺にさらなる追撃がくる。
海「てかお前があの時応戦してくれたら俺ら助かったかもしれないのに」
空「確かね〜」
日帝「それは……ッ足を怪我していて動ける状態じゃなかったんだ…」
日帝「それに……」
空「言い訳するの?」
日帝「…ッ」
もう何かも駄目なのか…。
海「じゃああの世で待ってるからな笑」
海「いやお前は地獄行きか笑」
笑い声が響く。
だがその声はもう俺には聞こえていなかった。
日帝「ーーーごめんなさい…ッ」
日帝「はっ…!」
目を覚ましたのはもうすぐ10時を回る頃だった。
汗がひどい。心拍数も上がっている気がする。
ただ俺はそんなものを気にする余裕なんてなかった。
目がまわる。
夢であるとは理解している。
だが……妙に現実感があり気持ち悪い。
そうだ…、気分転換に外へでも出かけよう…!
きっとこの気持ちも晴れるはずだよな…?
すぐさま玄関へと向かいドアをあける。
入ってくる光がいつもより痛いほど眩しく感じた。
家の外に踏み出そうとすると
何故か足が重い。
いつも歩いている道なのに、
どうしてなんだ。
日帝「クソがッ…」
「そこで何してるんだ?」
日帝「誰…」
顔を見上げるとそこには、
俺が尊敬した一人である先輩が立っていた。
ナチス「随分と顔色が悪いじゃないか日帝」
ナチス「大丈夫か?」
日帝「あ……先輩…」
日帝「大丈夫ですよ…」
ナチス「そうか…」
少しの間沈黙が続く。
いつもなら当たり前のように会話をしているのに…。
申し訳ないな…。
ナチス「…日帝」
日帝「…何でしょうか?」
ナチス「良かったら俺と少し出歩かないか?」
日帝「…!はい是非」
ちょっと歩いたところで先輩が口を開いた。
ナチス「何かあったか?」
日帝「…え?」
ナチス「さっきから様子がおかしいからな」
ナチス「俺で良ければ話してくれないか?」
日帝「…ありがとうございます」
俺は黒い蝶、夢の出来事全てを先輩に話した。
ナチス「そんなことがあったのか…」
先輩は最初驚いたような顔をしたが最後まで話を全て聞いてくれた。
日帝「話を聞いてくれてありがとうございます」
日帝「なんとなく楽になりました」
ナチス「いや日帝が助かったのならいいが…」
ナチス「根本的な問題は解決してないな…」
日帝「今日本が黒い蝶について調べてくれるらしいので大丈夫ですよ」
ナチス「…何か手掛かりがあるといいな」
そう言い先輩は優しく励ましてくれた。
俺もようやく前を向けそうだった。
明日を頑張れそうだった。
だがそんな思いは長くは続かなかった。
日帝「…ッ⁉︎」
ナチス「日帝…!?どうしたんだ急に」
先輩の後ろにあの蝶がいる…!?
夢の中の出来事が脳内にフラッシュバックする。
それはとても鮮明に。
『『陸…何呑気に遊んでるんだい?』』
日帝「あ゛ぁッ…」
『『俺たちがお前に言ったこと忘れたのか?』』
日帝「やッ…やめ…て…」
思わず耳を塞ぐ。
何だこれは幻聴か?
早くここから逃げないと…!
「おい!日帝!!大丈夫か!?」
誰かの声がする。だけどもうわからない。
俺は一目散にそこから逃げ出した。
「日帝!ーーーーー!」
何を言ってるかもわからない。
そんな声を置き去りに俺はその場を去った。
コメント
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めっちゃ良い!!続き楽しみです!
黒い蝶……考える必要が…