私の家は,あまり裕福なところではなかった。
「庶民」と言われる階級
それでも,私は好きだった。
あの居場所が落ち着いた
6の誕生日の日
両親は,私にあるお花をプレゼントしてくれた。
『…この花,なんて言うの?』
「それは“エリカ“っていうの,花言葉は…」
「幸福な愛」
彼女は私の左側にある胸ポケットに
その花を差し込んだ。
私は,とてつもない幸福感に包まれた。
そして,その幸福も一瞬で終わった。
ドンッ,
ドアが蹴り飛ばされた。
私達は,唖然とした。無理もない,だって
目の前にいたのは,武装した軍人だったのだから。
「男は兵力だ,連れてけ。女は医療に使える」
そう部下に伝え,
父は銃を突きつけられながら歩き
母は私を抱きしめ,泣きながら行ってしまった
最後に聞いた言葉は
「優しく,愛される人間でありなさい」
その言葉を聴き,
私はもらったばかりの花を握りつぶした。
近くには,まだ花の匂いが残っている。
「殺しますか?」
「いや,軍事施設に持って行け。こいつは使える」
私は手錠をかけられ,強引に頭に布を被せられた。
それでも私は抵抗しなかった。
何故か,頭は冷静だった。
そして,最年少にして
この国のナース長になった。
私が10歳の時だった。
「子供ながら,素晴らしい成果だ」
『ありがとうございます』
愛想のない顔で話す。
「このまま死ぬまで,王国に命を捧げると誓ってくれないか?」
『…わからないです』
周りの兵士は私をよく思っていない。
笑いもしない,自ら話そうとしない。
子供のくせに,可愛げがない。
「気味が悪い」
そう思われているだろう。
自分でも実感する
「ゆう,君は薬を作るのが得意なのか」
でも,この人だけは私を見ていた。
毎日飽きずに話しかけ,笑顔で隣は立つ。
馬鹿な人
『はい,人に干渉されないので』
「…,そうか」
「一つ,願いを聞いてくれないか?」
いきなりの提案だった。
『…お望みとあらば』
「私には,6歳の息子がいる。私が死んだら,その息子に国を明け渡そうかと考えている。
そして,ゆう。お前には…
“科学“で,この世界を救ってほしい。」
『…科学,?ですか』
「君ならできる。そして,あいつの右腕と呼ばれるほどの優れる人間になれる。」
自信に満ちた声で国王は言う。
そして,国王が亡くなり,息子に引き継がれた。
その人の名を「グルッペン」
そして,私を狂わした張本人
これが全ての始まり。
誰も知らない,私だけのお話。
そして,3年後。
私が22歳の時。
あの人の願いが,全て壊れた。
gr「ゆう!これはなんだ!」
『塩化水素と水を混ぜた液体です』
「これは!なんなんだゾ!」
『…総統様,少し落ち着いてください』
3年前は,あんなに興味があったのに。
今は目も向けてくれませんね。
私は笑うのが苦手です。
泣くのが苦手です。感情を表すのが苦手です。
走るのが苦手です。料理が苦手です。
甘いものが苦手です。虫が苦手です。
貴方と話すのが苦手です。
いえ,最後の言葉は少し違いますね。
努力しても嫌いな時は,どうすればいいですか
全てを,私の努力を壊したい時は
壊してもいいのでしょうか
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私はあなたの創る物語が好きです。ずっと応援してます。