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第二十話:最初のお客様、天より降りし神龍
朧月館が真の完成を見てから、数刻。彩葉との激しい「仕上げ」の余韻が残る展望回廊に、突如として異変が起きた。
空が、割れた。
夜の帳を切り裂くように、黄金の雷鳴が宿の真上に轟く。静まり返っていた隠り世の空が、見たこともないほどの極彩色の雲に覆われ、巨大な「渦」が朧月館を飲み込もうと回転を始めた。
「……っ、なんじゃ、この神々しくも、おぞましいまでの圧は!」
玉藻が顔を強張らせ、僕の側に駆け寄る。お凛は尻尾を逆立てて僕の足元にうずくまり、小雪は空気そのものが凍りつくような冷気に、自身の氷力が負けていることに愕然としていた。
雲を割り、姿を現したのは、山をも超える巨大な黄金の鱗を持つ蛇体「神龍」であった。その瞳は太陽のように輝き、一呼吸ごとに周囲の空間が震える。神龍は宿の周囲をゆっくりと旋回し、その巨大な頭を僕たちが立つ展望回廊へと寄せた。
「……数十年。沈黙を守っていたこの宿が、これほどまでに眩き『三色の光』を放つとは。……あるじよ、名を名乗るがよい。我が眠りを覚まし、天の理を揺らした、小さき人の子よ」
神龍の声は、鼓膜ではなく、魂に直接響くような重厚なものだった。玉藻たちはその圧倒的な神威に膝を突き、息をすることさえ忘れている。だが、僕は逃げなかった。三色の角を昂ぶらせ、この宿の主としての「誇り」を霊力に乗せて打ち返した。
「……僕は、この朧月館の新たな主人だ。……そして、ここにいる皆の『家族』だ」
僕の言葉を聞いた神龍は、金色の瞳を細め、フッと鼻を鳴らした。
「……面白い。我が名は『琥珀』。天の理を司り、数多の龍神の長を務める者なり。……この宿が真に再興したと言うならば、我がこの身をもって、その『もてなし』を検分してやろう。満足できぬ時は、この宿ごと、貴様を天の火で焼き尽くしてくれる」
神龍は眩い光に包まれると、その巨大な身体を凝縮させ、一人の少女の姿へと変じた。現れたのは、黄金の刺繍が施された白銀の衣を纏い、頭上には鋭く、しかし美しい一対の龍角を持つ絶世の美女であった。その瞳は琥珀色に輝き、周囲には触れるだけで魂が焦げるほどの神聖な妖気が漂っている。
一花、お凛、小雪、カノン、彩葉。総出で始まった、神龍・琥珀への「最初のおもてなし」。一花の最高級の膳を「悪くない」と一蹴し、カノンが調整した極上の湯を「少し温い」と切り捨てる。だが、彼女の頬は、宿の温かさに触れるたびに、僅かに赤らんでいった。
そして深夜。琥珀は一人、月明かりの展望露天風呂で僕を呼びつけた。
「……あるじよ。貴様の角の光、近くで見れば見るほど……不可思議な力を秘めておるな。我ら龍族は、万物の根源たる霊エネルギーを喰らい、己の核で燃やすことで永劫の時を生きる。……貴様のその三色の輝き、我に献上せよ」
琥珀は纏っていた衣を静かに脱ぎ捨てた。
神の肉体。しなやかでありながら、鋼のような強さを秘めたその肢体。彼女は僕の前に跪くと、琥珀色の瞳で僕をねめつけ、不敵に、しかしどこか飢えたような笑みを浮かべた。
「……貴様の持つ、その濃厚な精髄。我に直接流し込め。我が体内でそれを燃やし、天上のエネルギーへと変えてみせよう。……さあ、我を満足させてみろ」
彼女とのそれは、もはや奉仕ではなく、神による「収穫」であった。
琥珀は僕のものをその小さな口で含み、龍族特有の熱い舌で、根元から執拗に愛で始めた。彼女が喉を鳴らして吸い上げるたび、僕の三色の霊力が、文字通り彼女の喉を通って「神核」へと吸い込まれていくのが分かる。
「んむ……、ふーっ、……はぁ。……素晴らしい。これほどまでに高密度な霊的精髄、天界にも存在せぬわ。……もっとだ、もっと奥底から、貴様の全てを吐き出せ……っ!」
琥珀の喉が、僕の三色の霊力を吸うたびに黄金色に発光していく。彼女は僕を射抜くような視線を外さず、神のプライドをかなぐり捨てたかのような貪欲さで、僕をしゃぶり尽くそうとする。彼女の口内は驚くほど熱く、まるで溶岩の炉の中に囚われたかのような錯覚に陥った。
「あ、ああぁっ……! 琥珀、……いくぞっ!!」
「……だせッ! 一滴もこぼさず、我にその生命を捧げよッ……!!」
僕の咆哮と共に、これまでで最大最強の三色の霊流が、神龍の喉奥へと一気に解き放たれた。
ドクッ、ドクッ、と脈打つたびに、三色に輝く濃厚な霊液が、彼女の喉を通り、胃へ、そしてその奥にある「神核」へとダイレクトに流し込まれていく。
「んぐっ、……んっ、んんぅーッ!!」
琥珀は目を大きく見開き、その首筋を三色の光が脈動しながら通り過ぎていく。彼女は溢れそうになる霊液を無理やり飲み込み、一滴たりとも無駄にせぬよう、僕に縋り付いて吸い上げ続けた。
彼女の体内で、僕の精が爆発的なエネルギーへと変換されていく。琥珀の全身から黄金のオーラが噴き出し、露天風呂の湯が一瞬にして蒸発するほどの熱量が、彼女の核から放出された。
「……はぁ、……はぁっ。……あぁ……、なんという……満悦。全身の細胞が、……作り替えられるようだわ……」
琥珀は口の端に三色の雫を滴らせながら、満足げに微笑んだ。彼女の琥珀色の瞳はかつてないほどに澄み渡り、その龍角からは三色の火花が散っている。僕の精を完全に己の血肉とした彼女は、一人の女としての艶やかさと、絶対的な神としての威厳を、より一層深めていた。
「……認めよう、あるじよ。……貴様は、我が神性を養うに値する『唯一の器』だ。……これからも、その三色の雫で、我が喉を潤し続けよ。……ふふ、断る権利などないぞ?」
彼女は僕の首筋を甘噛みし、幸せそうに目を細めた。