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【福建省・女子監獄】
「リーファン!リーファン!」
オレンジ色のつなぎを着た女囚人の(チュン・リー)が大汗をかいて洗濯をしている百合を呼びとめた
一切化粧っ気がなく、オレンジの囚人用のつなぎに、マジックテープ式の灰色の囚人シューズを履いた百合が洗濯の手を止めてチュン・リーを見た
この女性刑務所にはいろんな種類の労働作業があり、百合はその中でも一番きつい洗濯係をやらされていた
一日中洗濯室でひっきりなしに運び込まれる囚人達の洗濯物を洗っては干し、洗っては干しの肉体だけを酷使する単純労働で、毎日9時間の労働が終わると囚人達はクタクタに疲れて、バッタリと倒れ伏すぐらいに過酷な作業だった
ここへ来て最初に仲良くなった(チュン・リー)はいわゆる刑務所とシャバを繋ぐ「運び屋」だった
彼女の組織は大きなもので必要な物は彼女に頼めばここにいても何でも手に入った、しかしそれなりの見返りも彼女は要求するので有名だった
「ほらよ!あんたに頼まれていた(ブツ)手に入ったぜ」
チュンが百合に茶色い包み紙を見せた、今や大汗をかいてランドリーに洗濯物を押し込んでいた百合は額の汗を拭って、チュンに微笑んだ
「こんなに早く?ありがとう!チュン・リー」
チュンは頭を半分剃り込んで、もう半分をドレッドで肩まで垂らしている、全身タトゥーの彼女はそのいかめしい顔をほころばせた
「いいってことよ!他ならぬお前の頼みだからな!他に欲しいものがあれば何でも俺にいいなよ」
百合はチュンを尊敬の眼差しで見た
「本当に・・・ここに来た当初からあなたには良くしてもらって・・・なんてお礼を言っていいか・・・」
へへへっとチュンは頬を染めて鼻下を人差し指でこすった、体格180センチの男女で、この刑務所の親分的存在を百合は親愛の情を込めて言った
「お前さんに手出しをするヤツはこの俺が許さねぇぜ、何でも困ったことがあったら俺に言いな」
うっとりチュンが百合を見つめる、初めて百合がこの刑務所に入って来た時から、チュンは百合に夢中になった、百合はチュンに渡された茶色い包み紙をじっと見つめた、ずっしりと重い感覚が手の平から伝わる