テラーノベル
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「……おい、めめ」
「ん?」
「さっきから見過ぎなんだよ」
楽屋のソファ。スマホを弄っていた渡辺翔太が、視線を上げずに低い声で言った。
その視線の先──といっても、渡辺は見ていないが──隣に座る目黒蓮は、雑誌を閉じて頬杖をつき、さっきからじーっと渡辺の横顔を見つめ続けているのだ。
「なんで?減るもんじゃないし」
「減るわ!俺の精神力が!」
渡辺がバッと顔を上げて睨みつける。
しかし、目黒はどこ吹く風だ。相変わらず涼しい顔で、整った顔面を少し近づけてくる。
「しょっぴーさ」
「あ?」
「最近、肌の調子いいね」
「……は?」
「ここ、すげぇモチモチしてそう」
言うが早いか、目黒の長い指が伸びてきて、渡辺の頬をむにっと摘んだ。
「いっ……!お前、手ぇ洗ったか!?」
「洗ったよ。……うん、やっぱり気持ちいい」
「離せって!お前なぁ、先輩の顔をなんだと思って……」
渡辺が目黒の手を振り払おうとするが、目黒は楽しそうに笑って、今度はその手をパシッと空中で掴み取った。
「わ、何すんだよ」
「翔太くんの手、ちっちゃいね」
「お前がデカいだけだろ!…離せよ!」
「やだ」
即答。
目黒は渡辺の手を両手で包み込むと、まるでカイロ代わりのように温め始めた。
「……あのさ、目黒蓮くん」
「なぁに、翔太くん」
「恥ずかしいからやめてくんない?」
渡辺が本気で嫌そうな(でも少し照れている)顔をする。
普通の後輩ならここで引くところだが、目黒蓮は違った。彼は真っ直ぐすぎる瞳で、渡辺を射抜くように見つめた。
「俺が触りたいから触ってるだけだけど。ダメ?」
「……っ、」
そのド直球な言葉に、渡辺が言葉を詰まらせる。
「ダメ」と言えば「なんで?」と返されるのが目に見えているし、何よりこの男には遠回しな言い訳が通じない。
「……勝手にしろよ、バカ野郎」
結局、渡辺は顔を真っ赤にして、プイと反対側を向いてしまった。
掴まれた手はそのままに、抵抗を諦める。
それが、渡辺翔太の精一杯の「許容」であることを、目黒はちゃんと知っているのだ。
「うん、勝手にする」
「……うっぜ」
「ふふ、翔太くん耳赤いよ」
「うるせぇ!!」
静かな楽屋に、渡辺の絶叫と目黒の低い笑い声が響いた。
コメント
3件
めめが大型犬すぎるわw どっちもかわいすぎ! 続き待ってます!
