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イリア「美味しかったわありがとう。」
アリィ「どういたしまして。シリルも手伝ってくれたんだよ。」
イリア「あらそうなの?ありがとう。…ジーク、食べ終わった?」
ジーク「丁度食べ終わった。何かあったか?」
イリア「少し2人で話したいことがあるの。」
シリル「じゃあ僕たちはお皿洗っておくねー。」
イリア「ええ、お願い。いいかしら?そんなに時間はかからないわ。」
ジーク「いいけど…」
ジークは何が何だか分からないまま、イリアに手を引かれ拠点から少し離れた場所に行く。
アリィ「何話すんだろうね。」
シリル「ねー。2人で話すこと…あ、お肉がもっと食べたいとか?」
アリィ「それだったら私達も聞いていいと思うよ…」
シリル「違ったかぁ…」
ポルポル「ギィー」
アリィ「あ、ポルポル。おはよう。」
シリル「ゆっくり寝れた?」
ポルポル「ギッ。」
アリィ「待ってね、ポルポルにも朝ごはん用意してあげるから。」
ポルポル「ギー。」
ジーク「おい、これどこまで進むんだ?はぐれたら大変だぞ。」
イリア「大丈夫ここで止まるから。…というか連れ回してるのは別に怒らないのね。」
ジーク「それで怒るやつはどうかしてるぞ。まぁ一緒に行動してるんだから、何かしら言いたいことがあってもおかしくないだろ。仲介は得意じゃないが…」
イリア「あっううん。気遣ってくれて嬉しいけど仲介じゃないの。不満はないわ。ただジーク、貴方に直接聞きたいことがあって。」
ジークは目をぱちくりとさせる。
ジーク「俺に?」
イリア「ええ。貴方は”テオス”という言葉を知ってる?」
ジーク「いや…知らないな。前にポルポルにお前飛びついてただろ?あの時、聞いたのが初めてだ。”テオス”って結局なんなんだ?」
イリア「”テオス”については一言では説明出来ないわ。とにかく”テオス”を知らないのね。…私からは教えられないわ。知らない方がいいこともあるのよ。」
ジーク「…そうか。」
イリア「もう1つだけ聞かせて。貴方は自分をどれくらい理解してるの?」
ジーク「なんだその質問…。人生相談か?」
イリア「いいから。ぱっとで、ぱっと。」
ジーク「すごい難しいこと言うなお前…。何をどう言えばいいってんだ…。あー…国籍セヌス国、種族人間、年齢15。…あと指名手配者。…これくらいか?」
イリア「……。」
ジーク「…何か言ってくれないと困るんだが。」
イリア「あっごめんなさい。つい考え込んじゃって…。ありがとう、聞かせてくれて。」
(”テオス”の条件とは一致しない…。でも、ノアはあの子と言った…。何百年も生きてる者をあの子と言うとは考え難い。かなり年が離れてるのが分かる。…少なくとも”テオス”本人ではない。そもそもテオス”と繋げたことが間違い?いや…あの時、確かに…私とシリルは見た。彼に、テオスの片鱗を。)
イリアはポルポルにテオスのことを問いただそうとした時のことを思い出す。
イリア(あの時…確信を持っている答えのだし方だった。…いえ…アリィの可能性もあるし、まだ答えを出すのは早計ね。)
イリア「もう十分よ。シリル達のところに戻りましょう。」
ジーク「気が済んだようでなにより。」
アリィ「あ、帰ってきた。」
シリル「お、おかえりー」
アリィ「何してたのかこれって聞いても大丈夫…?あ、無理なら全然いいんだけど…!」
イリア「それは…」
ジーク「…昨日俺が熱中症起こしてただろ?それでイリアが様子を見てくれたんだ。目の前でやると心配されて大事になりかねないからな。」
イリアは目をぱちくりとさせる。
アリィ「私、そこまで心配性じゃないよ!」
ジーク「嘘つけ。かなりの心配性だぞ。」
アリィ「えー!?」
イリア「……。」
ジーク「?どうしたイリア。」
イリア「いえ…貴方のこと誤解してたみたい。もっと怖い人だと思ってたわ。」
ジーク「誤解が解けたならなにより。」
ジークはそう言うとイリアに耳打ちする。
ジーク「俺は構わないが…お前は聞かれるの嫌なんだろ?俺は話が合わせられないほど空気が読めない訳じゃないからな。」
イリア「…ありがとう。意外と優しいのね。」
アリィ「ジークはずっと優しいよ。なんせ、私が殺されそうになった時、手を差し伸べてくれて一緒に逃げようって言ってくれたんだから!」
アリィは自慢げに話す。
シリル「え!なにそれ凄いロマンチック!!詳しく!」
アリィ「内緒!」
シリル「そんな…!?」
アリィ「ふふっ」
ジーク「…シリルってああいうの食いつくんだな。」
イリア「確かに意外かも。でも、今のは私も素敵な話だと思ったわ。」
ジーク「…そりゃどうも。」
ポルポル「ギィー。」
ジーク「ポルポル。起きたのか、おはよう。」
ポルポル「ギッ。」
シリル「ポルポルちゃんは礼儀正しいねぇ。」
アリィ「でしょでしょ!」
アリィはまたも自慢げに話す。アリィの話を笑顔で聞いていたシリルの表情が突如険しくなる。
シリル「…悪魔…?ヒトかもしれないけど皆構えて。」
イリア「分かったわ。」
シリルがそう支持すると、イリアはアリィを連れて離れたところに避難する。ジークも弓を構えるが、シリルに腕で制される。
シリル「僕が合図するまではまだ打たないで欲しい。」
ジーク「…?分かった。どのみち人なら撃たないから安心しろ。」
シリル「そういうことじゃないんだけど…まぁいっか…。」
徐々に黒い影がゆらゆらと揺れながらこちらに来る。
ジーク「…二足歩行か。あの腕でヒトなことあるか?」
シリル「ないだろうね。」
そう言って2人は鋭い刃のようになっている片腕を見る。
シリル「まだダメだからね。」
ジーク「1番経験豊富なやつに逆らうほどの馬鹿に俺が見えるか?お前に従う。」
シリル「…君は本当に信頼に重きを置くんだね。」
ジーク「そういう国民性なもので。」
やがて黒い影、いや黒い人型の生物はすぐそこまでゆっくりと歩いてくる。
ジーク「おい、流石にこれ以上はお前だって危ないぞ。」
シリル「分かってる。」
黒い人型は、縦に割れた口を動かし歯を鳴らす。カチカチ。カチカチと。歯の隙間から無数の目玉が見える。
ジーク「威嚇行為…。」
人型の悪魔「ァ゛ァ゛…」
シリル「…君はヒトを食べたことがあるかい?」
シリルはそう悪魔に問う。しかし悪魔はシリルの問に目もくれずそっぽを向く。その向いた先にはポルポルが居た。
ポルポル「ギッ。」
ジーク&シリル「ポルポル!?ちゃん!?」
アリィ「いつの間に!?」
イリア「飼い主なんだからしっかり抱えてて頂戴よぉ!?」
イリアは予想外すぎる出来事に、アリィを揺さぶって訴える。