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ウ ソ 吐 き 恋 慕



‘ 目 次 ’


一 章 / Yellow chrysanthemum

二 章 / Yellow lily

三 章 / Red cyclamen

四 章 / Viburnham

終 章 / Solanum mammosum L.

























一 章 / Yellow chrysanthemum


「 好きです、付き合って下さい 」

照れ臭そうに云う男子生徒の声が校舎の裏庭に響いた。

‘ クラスのイケメンに告白される ’ なんてシチュエーション。

其れはまるで少女漫画の様だった。

胸の奥底からドクドクと鳴る心音に急かされて 深く考えずに伝えてしまった。

「 宜しく、お願いします、! 」

馬鹿だった。

阿呆だった。

信じなければ良かった。

此処は少女漫画では無い、現実だ。

「 よっしゃー、俺の勝ちー! 」

眼の前の男では無い別の声が背後から聴こえた。

此方を見下す様な嘲笑う様な随分と品の無い笑い声だった。

「 まじでOKしてんのウケるわー 」

ケタケタと汚い声が鼓膜を劈く。

「 御免、俺別に好きじゃないから、笑 」

性格が良いのか、悪いのか。

判らなくなる程に申し訳無さそうな、何処か悲しげな顔で走り去って行った。

「 … 消えたら良いのに、 」
























二 章 / Yellow lily


「 なぁ、嘘告して来いよ 」

隣で心底退屈そうにしていた其奴がふと思い付いた様に口を付いた。

「 はぁ?傷付くだけだろ 」

「 大丈夫だって、ほら彼奴とか! 」

下品な笑い声と共に指差されたのはどう見ても独り浮いている女子生徒だった。

「 … ぁー、はは、そうかもな 」

まさか其奴の事が好きだなんて言える訳も無く曖昧な返事を繰り返した。

哀しそうな恨めしそうな好いた女の顔。

上機嫌にケタケタと笑い転げる好かない男。

集団で気味悪く笑う女共。

何れも此れも俺を苛立たせた。

「 御免、俺別に好きじゃないから、笑 」

チクリとした胸の痛みをも無視して感情の裏返しの言葉をぶつけて逃げた。























三 章 / Red cyclamen


俺の好きな女と仲良さげに話す眼の前の男が心底嫌いだった。

俗に言うイケメンの其奴は誰にでも優しく接するタイプ。

好きな女が其奴を好きになれば叶うはずが無かった。

「 なぁ、嘘告して来いよ 」

ふと口を付いていた。

「 はぁ?傷付くだけだろ 」

困った様な声に苛立つ。

「 大丈夫だって、ほら彼奴とか! 」

如何にも独りで浮いている女を指差した。

曖昧な返事をされた。

まるで、其の女が好きとでも言う様な。

そんな声で。

「 御前があの子に近付かなきゃ良いだけだろ … 」

独占欲が滲んだ言葉が汚い笑い声に融けていった。





















四 章 / Viburnham


好きな男が告白していた。

大嫌いな女に、大好きな男が。

嘘だと知っていた。解っていた。

其れでも女は言った。

「 宜しく、お願いします、! 」

一瞬でも、仮に嘘だとしても、 付き合った様な形になっていた。

羨ましかった。

女の位置は私でありたかった。

好きな男は如何にも苦しくて哀しそうな顔で謝った。

嗚呼、其の子が好きなのか。

周りに合わせて気味の悪い笑い声を響かせた。

今にも壊れそうな涙腺も心も、

全て無視して。























終 章 / Solanum mammosum L.


不憫な事に4人の高校生は誰ひとりとして報われない儘、嘘を吐いた。

4月1日、体育館の近くで桜が咲き乱れる季節。

其の裏で心の底から笑った者は居なかった。

最後にひとつ。

此の物語はフィクションで在り、

ウソで在る。



























一 章 / 破 れ た 恋

二 章 / 偽 り

三 章 / 嫉 妬

四 章 / 私 を 無 視 し な い で

終  章 / 偽 り の 言 葉


ウ ソ 吐 き 恋 慕

4 月 1 日エイプリールフール

𝐹𝑖𝑛.




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