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「あら、可愛い!」
「うわぁちっちゃい。本当に生まれたばかりなんですね。」
星の子を囲んでわいわい騒ぐ祈る侍者と記憶の語り部。それに特に関心を向けることなく黙々と仕事をしている念動力。
星の子が一声鳴けば二人は歓声を上げる。
「念力様、ずるいですよ!こんな可愛い子を何ヶ月も独り占めするだなんて!」
「お前たちが引き取ってくれても良いんだぞ。」
「でもこの子の世話は念力様が任されたんでしょ?大精霊様直々に。」
「…」
語り部の言葉に念動力は黙り込んだ。
侍者は星の子を抱き上げてその顔を近づける。
「ところで、この子はなんという名なのですか? 」
侍者が問いかけると、念動力は数秒黙ったのち「星の子」と言った。それを聞いた語り部は眉を顰める。
「種族名じゃないですか。星の子と言っても大勢いますし、名前つけてあげたらどうですか?」
「面倒だ。」
すると星の子は念動力に顔を向け、また一声鳴いた。期待に目を光らせ、小さな足をぶらぶら揺らしている。
「ほら、この子も名前を欲しがっていますよ!つけてあげたらどうですか?」
「…」
念動力は深くため息をつくと、星の子と目を合わせて
「ヲーリー」
とだけ言う。
星の子、もといヲーリーは、名付けられたと理解するまで多少時間を要したが、理解した途端に鳴き声を上げて手足をばたつかせ、喜びを表現した。
「ヲーリー、ですか。ちなみにどういう意味が込められているのですか?」
「意味なんざない。頭に浮かんだ字を適当に繋げただけだ。」
「なんて適当な…」
「良いんだよ。ほら、お前たちもここで油売ってないで早く自分の仕事に戻れ。」
しっしと追い払われた侍者と語り部は名残惜しそうにヲーリーに手を振った。ヲーリーも彼らに向かって肩より先を動かしてぶんぶん手を振った。
二人が去ると、ヲーリーは机に念動力のそばに駆け寄ってプエと鳴く。
「なんだ、眠いのか。」
眠くはないと首を振ると、念動力は訝しげにヲーリーに視線を向ける。
「…飯か?」
また首を振る。苛立ちが見て取れる。
「じゃあなんだ。お前は何が欲しいんだ。」
ヲーリーは自分の胸をトントンと叩く。その表情は仮面越しでもわかるほどの期待に満ちている。
「…名前呼んで欲しいのか。」
その通りと言わんばかりにヲーリーは飛び跳ねる。
「…ヲーリー」
念動力が名前を呼んでやると、呼ばれた星の子は満足そうに数度鳴いて彼に抱きついた。身長差もあり足にひっつく形になったが。
「それやめろ、鬱陶しい。」
それでもヲーリーは彼から剥がされるまでやめなかった。