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幼い頃の夢を見た。いつの間にか忘れていた記憶。その記憶はあまりにも残酷で、信じられるものではなかった。
「……ここは何処だ?」
何一つない暗闇の中、直樹の目の前には男が背を向けて佇《たたず》んでいた。
「あの時、君はどちらにも選ばれなかった。 地の理にも、この世界の理にも属さぬ存在となった。 ゆえに君だけが触れられる。 二つの世界を繋ぐ“門”に。 不安定な門はやがて均衡を崩し、両方の世界を喰らう。 それを閉じられるのは──君しかいない。 思い出せ、すべてを。 それが、“僕の果たすべき役目だ”」
男が振り返った。顔は影に隠れて見えない。ただ、無の感情だけが伝わった。
「僕はこれ以上、手を貸せない。これからはその力で、自分の力で乗り越えるんだ」
・ ・ ・
夢から目が覚めると、いつの間にか知らない部屋にいた。 天井にはLEDの照明があり、ここが現実世界の部屋だという事がわかる。
それと同時に避難所での記憶が蘇る。悲鳴、恐怖、絶望。全ての感覚が脳裏に焼き付いていた。
「……ウッ」
俺は思い出した。一度交通事故で死にかけて魂だけの状態になり、地球と異世界のどちらの存在にもならなかったなんて。そんなの信じられると思うか? なのに、どうしてか確信があった。これが真実 だと、理由もなくわかってしまう。
ベッドから立ち上がり部屋を出る。その頃には男の存在が幻のように消えていた。
「あれから何日経ったんだろう」
スマホで日にちを確認するとあれから二日も経っていた事がわかった。
「二日も寝ていたのか俺は……!?」
どうりでお腹が空いているわけだ。キッチンに入り冷蔵庫を開けると冷気が漏れ出す。電気が通っている事を確認し、残った食品を胃に押し込んだ。
俺は荷造りしながらメッセージの内容を思い出す。俺が果たすべき役目、それは異世界とこの世界を繋ぐ門を閉じること。その方法を調べるには、異世界人と接触して情報を得るしかない。
この家はもぬけの殻だったが、見つけたショルダーバックに使えそうなものを詰め込んで玄関のドアノブに手を掛ける。 恐らく、この二日間で世界は大きく変わったはずだ。これまで以上に異世界の存在に警戒しなければならない。
「進むしかない」
俺は終末に変わり果てた世界に一歩踏み出した。
・ ・ ・
拓海が目を開けるとそこには草原が広がっていた。
「……どこだ、ここ?」
日本とは思えない景色に唖然とする。息を吸うと肺が浄化されたような気分になる。そのおかげで心が冷静になった。
「もしかして、俺死んだのか……? いや、そんな訳ないだろ……。まさか、これが異世界ってやつ?じゃあ本当に死んだのか!?」
なぜこうなったのか考えるため拓海は記憶を復唱し始めた。
「えっと、鎧を着たやつが学校に来てそれから……」
突然、足から力が抜けて座り込んだ。額に手を当て俯く。
「……なんでこんな事になったんだよ」
拓海は長い時間仰向けになって空を眺めた。もう世界がどうなってもいい、全て投げ出したい。そう思い、暖かい光が眠気をもたらす。
「いや、駄目だ」
眠気を吹き飛ばして起き上がる。もし本当に異世界に来たのなら、佐久間もこの世界に居るはずだ。まずは仲間を探さないと。
すると後ろから声が聞こえた。
「お願いです!仲間を助けてください!」
その女性はボロ布の服を着て手枷《てかせ》をしていた。そして頭に獣のような耳が生えていた。
・ ・ ・
どうしてこんな事になったんだ。佐久間は森の中を歩いていた。気がつけば森の中にいて、こうして森を抜けようとひたすら歩いている。
分かるのはここが日本ではないということ。見たことのない植物や樹木があって、なぜかここが現れた異世界人の世界だと理解してしまう。
「……水」
もう三十分近く歩いているが、どれだけ歩いても森が続いている。体力がない佐久間にとって脚がふらふらになる程の運動量だった。木の幹に座り体力を回復させる。既に佐久間野の心は限界だった。
「こんな所で野垂れ死ぬなんて…ふざけるな!俺は……!」
悔しい、悔しくてたまらない。ただ普通に生きていたいのに、こんな馬鹿げたことに巻き込まれて死を覚悟するなんて。すると突然首筋に痛みが走る。
「……痛っ!くっ、俺が何をしたって言うんだっ……」
体から力が抜けて佐久間は倒れた。全身が痺れ、強烈な痛みが駆け巡る。ついに指一本さえ動かせなくなった。
(痛い痛い痛い!体が……動かない!なんで……死ぬのか俺……)
痛みに耐えきれず苦しみの中、佐久間は意識を失った。
・ ・ ・
そのコンビニの中には二人の少年がいた。公園で遊んでいた二人は世界の異変に気づかず逃げ遅れてしまう。気づいた時にはもう周りに人の姿はなかった。
なんとかコンビニにたどり着いたが、ここにも人の姿はなく、誰の力も借りれずにその場に残った。
二日が経った頃、何か気配を感じて身を隠した。自動ドアが開き音が鳴る。床を靴が叩く音がする。音はだんだん店内の奥へと移動し、すぐ側にまで近づいた。
「うわぁぁぁあ!!!」
「うぉぉ!?ビックリしたぁ」
そして直樹と二人の少年は出会った。
コメント
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第7話読みました…!! 直樹くん、まさか異世界と地球のどちらの理にも属してなかった存在だったなんて…!😳✨ 夢に出てきた男の人の「君しかいない」ってセリフ、すごく重くてグッときました。 二日間も気絶してた後の「進むしかない」の決意がカッコよすぎる…🥺💕 これからの門を巡る展開、めっちゃ気になります!!🌸