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 テーブルの上には、魚料理が並んでいた。


「今日は魚介類のフルコースかい、スコル」

「はい、本気を出しちゃいました」


 可愛く舌を出すスコル。

 これは凄い豪勢だな。


 ゴブリンフィッシュの天ぷら、ハンマーヘッドシャークの刺身、デビルクラーケンのたこ焼き、レインボーフィッシュの海鮮丼、ムルムル貝、カニカニのカニちらし……などなど、海の幸ばかり。


「こんな高級食材をどこで手に入れたんだ?」

「それは、わたくしの“オケアノスの力”ですわ」

「ストレルカの大精霊の力か」

「そうです。陸でも海でも弱肉強食の世界は変わりません。食うか食われるかの自然界ですから」


 そうだな、それが“食べる”ってことだ。

 ありがたく命をいただこう。


 席へ着き、俺はみんなにも着席を促す。



「みんな、自由に食事を始めてくれ。というか、スコルに感謝しよう」

「そ、そんな……照れちゃいます。わたしのことはいいので、食べて下さい」


 顔を真っ赤にしてペコペコ頭を下げるスコルは、俺の隣に座った。


「いつもありがとう」

「……い、いいんです。ラスティさんの舌を幸せにする、それがわたしの役目ですから」

「そ、そう言われると俺も照れるな」

「で、で、では……“あ~ん”をしますね!」


「んなッ!?」



 みんなの目の前で“あ~ん”だと……。

 そんなことを言うものだから、みんなが一斉に振り向いた。



「あー、スコルばかりずるいのだ。兄上、余もあ~ん♪」

「ハヴァマール、おま……!」



 続いてストレルカも。


「待ってくださいまし。わたくしもラスティ様に“あ~ん”を!」



 更にエドゥまでも。


「ラスティ様、口移しで……」



 更に更に、あのルドミラも。


「この私を選んで下さい、ラスティくん。はい、あ~~~んっ!」



 みんな、俺に“あ~ん”をしてきた。

 そんな一斉に無理だってぇ……!


 俺の口はひとつしかないんだぞぉ。



 * * *



 食事を終え、俺はひとり大浴場へ向かった。

 現状では、男は俺一人。


 前はアルフレッドがいたり――体が乗っ取られる前のテオドールが相手をしてくれたな。



 ……さびし。



 けどいいさ、この馬鹿みたいに広い空間を独り占めできるんだ。う~んと体を癒して気持ち良くなろう。一日の疲労を吹き飛ばしてやる。


 まずはシャワーを浴び、体の汚れを落とした。


 その後にプールのように広い浴槽へ浸かった。



「……ふぅ、なんて心地よい」



 ぽつりとつぶやくと、お湯が“ぷくぷく”していた。なんか目の前が泡立っているような――って、まさか!!



「そうですよね、ラスティくん!!」



 素っ裸のルドミラが“ざぶーん”と現れ、俺に抱きついてこようとした。



「回避!!」

「んなぁ!! ラスティくん、なぜ私の愛の抱擁をかわすのですか!」


「裸で抱き合えるか! てか、ルドミラ。お前、恥ずかしく――ないか。いつもビキニアーマーだから別にどうってことないのか」

「ええ、別に普段裸で活動してもいいほどです。というか、昔は裸でしたが」


「え!? そうなのか!?」

「冗談に決まっています。さすがの私も裸は無理です」


「おいおい。ところで、ルドミラはエルフの国『ボロディン』の出身だっけ。スコルと一緒なのか」


「ええ、百年前のボロディンですけどね」

「エインヘリャルか。そういえば、ルドミラは“瞳”に刻まれているんだな」


 今もルドミラの視線に合わせると【Ψ】のマークがあった。あれにはエインヘリャルによる膨大な魔力が込められているんだ。


 不老不死の力・・・・・・

 老いないし、死なない。


 正直、ちょっと羨ましいけど――そこまで長生きはしたくないかな。



「私は、両手も両足も……その尊厳すらも踏みにじられ、奪われた。全てを失ったと思っていたのです。ですが、あるエルフが助けてくださったのです」


「まて、過去が重すぎる」


「すみません、私の生い立ちを語るには今しかないと思ったもので」

「何があった?」


 ルドミラは、自身の桃色の髪に触れ……まるで乙女のような柔らかな視線を俺に向けてきた。……正直、ドキドキした。

 普通にしていれば美人で可愛い。


「守護聖人聖ヴァーツラフ・ズロニツェ様は、偉大な“ラザロ”だった。世界最高の神器エインヘリャルを完成させ、この身に奇跡をもたらした」


「な……ズロニツェって」


「ええ、今思えばスコル様のお父様だったのでしょうね。彼自身も試作のエインヘリャルの力で生き永らえていたようですが……残念ながら、力の暴走により『魔王』を生み出してしまったのです」


「魔王を?」


「はい、エインヘリャルの力を聞いたドヴォルザーク帝国の皇帝は、神器を求めたのです。しかし、当時は試作段階。ラザロ様の神器を奪い取り、我が物にした。その結果……魔王は誕生したのです。

 試作のエインヘリャルは、魔界の力を使っていたから……だから、負の力を強くしてしまったようです」



 そうだったのか。

 中途半端な力を手に入れてしまった皇帝がそんなことを。結果、アントニンは魔王ドヴォルザークの力を得て……復活の時を待っていたんだ。



「で、ルドミラやエドゥ、テオドールのは完成品ってわけか」

「はい、我々のは完璧な神器。ラザロ様が暗殺される前、私に託してくれたのです。三つの神器を」



 まさか裸でルドミラの過去を聞くことになるとはな。もう少し、いろいろ聞いてみようかなと思ったけど……のぼせそうだ。


 また今度にしよう。

無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

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