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「私、エイダンはあなたの夫となるために自分を捧げます。そして私は今後、あなたが病める時も、健やかな時も貧しい時も、豊かな時も、喜びにあっても、悲しみにあっても、命のある限りあなたを愛し、この誓いの言葉を守って、あなたと共ににあることを約束します」
ミラ国に戻り私とエイダンは結婚をした。
ミラ国の女王と先住民族ミラリネの結婚式は歴史的な意味を持つ結婚式となった。
元の世界で私は結婚式を挙げていない。
お腹の子も私も夫の実家である西園寺家にとっては祝福される存在ではなかった。
でも、今は国中の人々に祝福されて結婚式を挙げている。
「私、ミランダ・ミラはあなたの妻となるためにあなたに自分を捧げます。そして私は今後、あなたが病める時も、健やかな時も、貧しい時も、豊かな時も、喜びにあっても、悲しみにあっても、命のある限りあなたを愛し、この誓いの言葉を守ってあなた共にあることを約束します」
もう、この世界に来て11年だ。
私は国を背負う女王になり、再び夫を持つ妻となった。
覚悟を決めてこの世界で、生を全うすることを考えるべきだろう。
「姉上、エイダン卿ご結婚おめでとうございます。お2人が一緒になる日が来るなんて実は想像もしませんでした」
私がエイダンとの結婚を選んだのは元の世界の記憶のせいだろう。
もし、元の世界で夫との結婚の失敗がなければ私は間違いなくラキアスを選んでいた。
ラキアスは夫とは違い心美しい優しい青年だ。
彼 のような完璧な男から想いを寄せられて、断る女性はなかなかいないだろう。
しかし、彼と一緒になるには私はミラ国を捨てて帝国に行かなければならない。
帝国に行ったら、いつ失われるか分からない彼の愛に縋って生活することになるだろう。
私が守りたいものが小さな家庭のようなミラ国だと思った時、隣にいるのは相棒のように過ごせるエイダンだと思ったのだ。
「キース、ありがとう。私もエイダンと出会った頃は想像もしなかったわ」
「俺は今日という日が7歳のミランダを見た時点で想像できてましたよ。出会った瞬間から、私はあなたに夢中でしたから」
エイダンが私をお姫様抱っこすると、周囲から歓声があがった。
♢♢♢
結婚式から1年、私はもうすぐこの世界で子供を出産する。
「エイダン、子供の名前ですが私が考えても良いですか?」
私とエイダンは庭を散歩しながら、のどかな時間を過ごしていた。
「どうぞ、ミランダ女王陛下のお心のままに」
茶化すように言ってくるエイダンの言葉に思わず笑みが漏れる。
今度の結婚では家庭を絶対に守ってみせる。
「男の子が生まれても、女の子が生まれてもミライという名前にしたいのです」
生まれてくる子供を今度こそ私は幸せにしてみせる。
「ミライ・ミラはいくらなんでも名前としてはしつこくないですか? ミライという名前に何か意味はあるのですか?」
「私はミランダ・ミラですよ。名前にしつこいも何もないです。ただ私がもっとも愛おしいと思う名前をつけたいだけです」
私の言葉に、ミライという言葉の意味を知らないだろうエイダンは首を傾げながらも納得してくれた。
「あのエイダン、すみません。破水しました。生まれそうなので人を呼んでください」
急激に痛みが襲ってくる。
なんとか意識をつなごうとする中、慌てて人を呼びにいくエイダンが見えた。
出産は元の世界で経験してきたが、これほどの痛みだっただろうか。
「ミライに会いたい」
涙がとめどなく溢れてくる。
本当は分かっている。
私が会いたいミライは今から生まれてくる、まだ見ぬミライではない。
7年間私と元の世界で過ごした今とても傷ついているだろうミライだ。
「神様、私にもう1度だけ、ミライと一緒にいるチャンスをください」
空に向かって私が祈りを捧げた瞬間、意識が途絶えた。