テラーノベル
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月呼は侑加といったん別行動を取ると、くるるがいる部屋のドアをノックする。
「前沙!」
くるるはドアを開けるやいなや、月呼に抱きついた。
「部屋まで来るってことは、あたしになにか用?」
「飲み物をあげに来た。くるるちゃんも後でこの島にある自販機を見てみて。お金を入れなくても出てくるから、夢のようだよ」
「……ありがと。あたしは水でいいよ」
くるるはにっこりと笑って、ミネラルウォーターのペットボトルを受け取る。しかし、月呼は彼女が一瞬だけ真顔となったのが気になった。
「もう何本かもらってくれないかな? 私と侑加くんのふたりだけだと、飲みきれそうになくて」
「わかった。浪本のゴリラにもあげておく。立ち話もなんだから、入りなよ」
月呼は部屋の中へと入る。その部屋の間取りは月呼の部屋とほとんど同じだ。野利彦は家族と連絡を取りたいようで、局員のところへ行ったらしい。
「仙敷さん、どんな人だった?」
「こっちが話せばしゃべるって感じで、口数は少ないかな」
「いいじゃん。おとなしいイケメンだなんて、女子の理想そのもの。イケメンにはあまりしゃべらないでいてほしいものだよ」
くるるは持っていた飲み物を冷蔵庫に入れる。
「前沙、この一週間で彼に抱いてもらえば?」
「ええっ!!」
月呼はくるるの大胆な発言に動揺した。
「いい思い出にしちゃいなよ。あんなイケメンに抱いてもらわずに別れるなんて損じゃない。あのレベルの男は一生に一度出会うかどうかだよ」
「無理! 二度と会えないとわかっている人とそういうことをするなんて」
すでに経験があるならともかく、初めての体験は試し感覚でするものではないと思っている。月呼は顔だけでなく耳までも赤くなった。
「そう? あたしは浪本に襲われそうになっても、運営に助けを求めない」
「どうして?」
「だって、あいつを悪者にしたら、三億円をもらえるところが一千万円になるんだよ? あたし、経験人数も二桁はこえているし、ゴリラと一回交尾したところで、なんともない」
「今はそう言っているけれど、きっと心の傷が残るよ。くるるちゃんには自分の体をいちばん大事にして欲しいな。もらえるお金は一千万円でいいじゃない。ここに来なければ、一円ももらえなかったんだから。浪本さんといて危険を感じた時は、呼び出しボタンを押してね?」
「……うん」
くるるは素直にうなずいた。月呼から心配してもらえたことにうれしさを感じているようだ。
「そうだ。今からふたりでパウダールームに行ってみない?」
くるるが提案した。
「そういえば、化粧品や衣類は運営が用意したものを使えって言っていたね。今日着る寝間着のことも考えておかなくちゃ」
早速ふたりは階下へと移動する。パウダールームは二階にあった。となりはコスチュームルームとなっている。月呼たちは監視役の局員に見られながら、この島での生活で必要となるものを探す。
「こんな高価なものを、いくらでも持って帰っていいだなんて!」
化粧品も衣類も、百貨店で販売されているような高価格なものしか置いていない。普段ドラッグストアやファストファッションの店でしかそういったものを買わない月呼は眺めているだけでわくわくとした。化粧品や衣類の他にも一本の香水を自分のものとする。月呼より美容への関心が強そうなくるるは大量に持ち帰る。半分以上は自分への土産とするらしい。
コメント
1件
くるると月呼の掛け合い、めっちゃ面白かったわ!「抱いてもらえば?」ってくるるちゃんの爆弾発言に月呼が真っ赤になるところ、最高に可愛い(笑)。でもその後、月呼がちゃんと「体大事にして」って心配するところに彼女の優しさが出ててグッときた。パウダールームでテンション上がる女子2人の空気感もリアルでほっこり。三億円っていう非日常な状況で、普通の女子大生の感覚がちゃんと描かれてるのが好きだな〜。続きも気になる!
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