テラーノベル
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9話目もよろしくお願いします?
スタートヽ(*^ω^*)ノ
◉キヨ視点◉
それからのレトさんは、まるで別人のように変わってしまった。
あれほど「好き」で溢れていた部屋は、
今では必要最低限のものだけが置かれた、無機質な空間になっている。
フィギュアも、本も、こだわりも――
まるで最初から存在しなかったみたいに、綺麗さっぱり消えていた。
感情も、ほとんど表に出さない。
笑っても、どこか作り物みたいで、
目の奥が、いつも静かに曇っている。
そして――
隣にいるのは、クソみたいな男。
恋人だと、レトさんは言っているけど、
俺にはどうしても、そうは見えなかった。
レトさんの言葉を遮って、
意見を決めつけて、
「それでいいよね?」と、逃げ道を塞ぐような話し方。
レトさんは、逆らわない。
逆らえない。
ただ、曖昧に笑って、頷いて、
まるで感情を削り取られた人形みたいだ。
――違う。
こんなの、レトさんじゃない。
悔しさで、手が震えた。
拳を握りしめても、何も変えられない自分が、情けなくて。
せっかく、生きていてくれたのに。
俺が命をかけて守ったはずなのに。
『……これじゃ、全然幸せそうじゃないだろ……レトさん…』
声に出しても、レトさんには届かない。
レトさんは、もっと笑う人だった。
好きなものを語るとき、
目を輝かせて、止まらなくなる人だった。
俺の前では、
泣いて、怒って、甘えて――
ちゃんと、生きていた。
なのに今は、
暗い影に隠れるみたいに、
自分を小さくして、息を潜めている。
守れたと思っていた。
それで、全部終わりだと思っていた。
――でも、違った。
生きているだけじゃ、足りなかった。
「幸せ」でいてくれなきゃ、意味がなかった。
俺は、レトさんのすぐそばで、
それでも何もできずに立ち尽くす。
届かないと分かっていても、
何度も、何度も願う。
思い出してくれなくてもいい。
俺のことを忘れたままでもいい。
ただ――
もう一度、
自分の「好き」を、取り戻してほしい。
あの人が、あの人らしく、笑える場所へ。
今日は、レトさんの誕生日だ。
なのに――
ふるふる•ぽてと
48
30
レトさんは一人、夜の繁華街をふらふらと歩いていた。
ネオンの光に照らされながら、行き先も決めず、ただ人波に紛れて。
理由は、分かっている。
分かりすぎるほど、分かっている。
あの男だ。
レトさんのことを恋人だなんて呼んでいる、あのクソ男。
誕生日を、忘れやがった。
特別な日なのに。
レトさんが生まれた大切な日なのに。
何ひとつ、分かっていない。
レトさんは、ひとりぼっちだ。
その背中を見た瞬間、胸が締めつけられた。
小さくて、心細くて、今にも消えてしまいそうで。
――どうしても。
どうしても、祝いたかった。
一瞬でもいい。
たとえ、すぐに忘れられてしまってもいい。
今日だけでいい。
誕生日の、この一日だけでいい。
そばにいたい。
声を、届けたい。
届かないと分かっている。
何度も呼んで、何度も無視されてきた。
それでも――
今日は、どうしても諦めきれなかった。
俺は、レトさんの背中に近づく。
声だけが、すべてだった。
諦め半分で、
それでも祈るように、息を吸う。
そして――
『こんばんは』
静かな夜に、
その一言を、投げかけた。
続く
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