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岩陰でコソコソしてた3人は意を決してストーンゴーレムの前に立つ。その3人を捕捉し咆哮を上げたかと思えば近付いてきていきなり叩きつける攻撃をしてくる。
「あっぶぇ!?」
「きゃぁ!?」
「うおぁ!!?コイツマジで殺る気じゃん!?」
「ストーンゴーレムって名前だしおじさんの剣は効きにくいかもね!」
「そうなると俺は完全に足手まといだな」
「簡単な魔法くらいは使えないですか?」
「身体能力向上する系の魔法しかないぞ?」
「なら、それでサポートお願いします!」
「石なら私の拳がよく通りそうだからようやくしっかり活躍できるわ!」
「私も広い場所に来れたことで別の召喚獣を出せそうだよ。」
NPCである男は攻撃をやめて回避とベルノ達にバフを掛けてルーマはガントレットをしっかりはめ直し叩きつけてきた右腕を粉砕する。
「おぉ?思ってたより脆いのか?」
「多分ウィークポイントに当たったんだと思うよ。」
「それにしてもちょっと柔らかい感じがあったけど…。」
「イベント戦だから耐久値も下げられてるのかもね。」
「まぁ、楽に倒せるならそれに超したことないけど……。」
「今の一撃でストーンゴーレムも本能的なのでベルノちゃんを危険分子だと認識したから次からは今みたいに簡単に攻撃はできないよ。 」
「それならこっちはずっと殴り続けるから大丈夫よ!」
そういい元気よく右腕を失ったゴーレムに距離を詰めて仕留めに行くが、もう片方が行く手を阻む。
「うえぇ!?仲間意識なんてこいつら持ってるのか!?」
「ゴーレムにはそんなものは持ちえてないが可能性としては何か『守るもの』がアイツに埋め込まれてる可能性があるな。」
「思ってたより詳しいんですね?」
「仲間がやられたと思ったあの後ゴーレムについて調べたから多少の知識は持ってるよ」
「ゴーレムとは基本『守護者』という役割を課せられてることが多いです。なので今ベルノちゃんが負傷させたゴーレムの体内にそういった守るものがある可能性もあります。別の可能性は…近くにこれを呼び出した本人がおり操っているの二択ですかね。」
「後者だった場合やっぱり俺はタダではすまないか?」
「そうでしょうけど私達がいるのでそう簡単にはやられないと思います。」
「じゃあその予想を確かなものにするために私が前で暴れれば解決だね!」
「ちゃんと私もサポートするから安心してねベルノちゃん!」
「じゃあまずは守ってきたゴーレムを先に仕留めよう!」
「相手もゴーレムなら私もゴーレムで対処します。『石の巨人の右手』『石の巨人の左手』私のMPの半分を使った大技で一気に片付けよう!」
床に浮かび上がった魔法陣からストーンゴーレムと同じサイズの石材で出来た右手左手が現れる。右手は何も持っておらず、左手には盾を装備しており耐久性に長けているようだった。
「…とんでもないもんを呼べるんだなお前」
「本当の力を使えるならこの手の持ち主の完全体をお見せできるんですけどね。でも今の私ではこれを攻防共に操れるほどMPがないのでどちらかといえばベルノちゃんや私達の身を守る方に使う感じです。」
「なら俺もバフをかけるのに専念が出来るな!」
「それでも一撃くらいは与えないと助けにならないので一回だけ攻撃させてもらうよベルノちゃん!」
そういいルーマは呼び出した『右腕』を操り負傷した仲間を庇うように前に現れたストーンゴーレムをいとも簡単にその手で払い除けゴーレムは強く壁に叩きつけられる。
「うぉぉぉ!?あ、あんま派手に揺らすな!?崩壊したら俺らみんなお陀仏だからなぁ!?」
「この広間なら大丈夫です。まぁ、これを何度も連続させたらアウトでしょうけど。」
「なんにせよこれで負傷した方を殴れるから私的にはどっちでも良し!」
後ろに引いたストーンゴーレム目掛けて走り出し飛び上がったかと思えばゴーレムの眼前まで差し迫り、後ろに引いた右手の拳に力を込めその溜めた力を一気に解き放つ。
「魔物使いはステータス的に全てが中途半端で、その中でも私は素早さだけに振ってるから物理攻撃はそこまで高くない。けど、あのイベントの後その弱点を克服するために幾つか私でも使える技を獲得したんだ!コレはそのうちの一つ!『二重衝撃』!!」
顔を殴られたストーンゴーレムは円形に大きなヒビを入れられよろめく。だが、倒れず踏みとどまった奴は反撃に転じて残った左腕で攻撃を仕掛けるが殴られた箇所から何故かもう一度同じくらい、いやそれ以上の衝撃が発生し頭部は完全に砕け散ってしまった。
「今のは名前の通りの技。まず一撃目は殴られた直後の衝撃。次点の衝撃は最初の衝撃による柔らかくなったところに再び同じ衝撃を与える事で遅効性を獲得しつつ柔らかくなった箇所を確実に破壊する攻撃だよ!」
「昔の漫画に『二重の極み』って技があったけどそれに近い原理なんだよね!私は詳しくは知らないけどね。」
「そんな華奢な体から繰り出された技とは思えない威力だ……。」
「子供だからってあんまりなめないでよね!一応あのくまさんも倒したしやろうと思えばプリンお姉ちゃんも倒せるだろうからね!」
「素手でビッグベアを倒した人だからベルノちゃんよりも強そうだよ?」
「うぐぐ……。」
「それより吹き飛ばしたもう一体はどうする?まだ動くと思うぞ?」
「私がトドメ刺すか?」
「たまにはベルノちゃんは休んでてね。私も一応強いって言うのを見せないと!あんまり攻撃には使いたくないんだけど呼び出した両手で倒しちゃうからね。」
そんな優しい口調とは裏腹に呼び出した右腕が叩きつけたゴーレムを掴み今度は地面に擦り付けたかと思えば、盾を持つ左腕を動かしその巨大な盾でストーンゴーレムを押しつぶす。完全にやられたのか下敷きになったゴーレムは光のつぶになって消えていた。
「おーこっわその技。」
「大きくて頑丈だけどその分攻撃速度はずば抜けて遅いし消費するMPは半分以上が大半だから多用もできないんだよ?」
「…つくづくあんたらに頼んでよかったと思うよほんと。」
「それじゃあ私が顔を吹っ飛ばしたストーンゴーレムを調べてみようよ!まだ消えてないけど動いてないところを見ると再起不能であるのは確かみたいだしね!」
「一体もう片方のゴーレムは何を必死に守ろうとしたんだろうか気になるもんねベルノちゃん?」
呼び出した両腕を消してベルノが倒したストーンゴーレムの元に行く。二重衝撃によって顔は消し飛んでその余波で胴体もヒビが入り脆くなっておりちょっと力を込めて剣の鞘で殴った程度でもボロボロと崩れるほどだった。そうして胴体の方も崩していくと胸元に赤い宝石が埋め込まれていることに気がついた。
「何この赤い宝石?」
「ルビーとかに見えますがそれとはちょっと違う何かみたいだね?」
「………こいつはウチのギルド員全員持ってるいわゆるその街のギルド員という証だ。」
「え?なんでそんなものをストーンゴーレムが大事に胸元に隠してたの?」
「…ありえないけど可能性は幾つかあるね。一つはこのゴーレム達が実はオジサンと一緒に戦った仲間と同一人物であるってこと。」
「それってこのゴーレム=オジサンの仲間って事になるの?じゃあ私達もしかしなくても人殺しになる?」
「…だが、ゴーレムは基本無機物をベースに作られる。第一人がゴーレムになるなんてありえねぇ話だ。」
「まぁ、コレは私もありえないなぁとは思ってる。でも次の可能性のほうが私は確率高いかなって。」
「その次の可能性って?」
「ギルド側によるマッチポンプとかね?」
「ギルドの誰かがストーンゴーレムを呼び出し事情の知らない俺らがそれを狩っていたということか?」
「この洞窟ってあの町的に無いと困る物じゃないですか?そこに魔物が出たらここで働く人は困りますよね?で、それって町の人も困るわけでそうなると頼れるのはその町にあるギルドって事になります。依頼主はギルドに依頼して倒してもらう。依頼されたギルドにはお金も入るし信頼も獲得できる。ストーンゴーレムもここで作る分にはコストには困らないですしマッチポンプが作られてても不思議じゃない。」
「でも、そうだとしてもなんでこのゴーレムからそのギルド員の証である赤い宝石が出たんだ?」
「隠蔽だと思うよ。ここに討伐に来るギルド員は言っちゃ悪いけど質の悪い捨て駒だ。そういう奴らはお金に困ってるから高額の依頼には目がないと思うの。でも、ごく稀におじさんみたいな勘のいいやつが現れるからそいつを倒してその証も隠す。多分その証には持ち主の情報が詰まってるから万が一拾われたら困る代物なんでしょ?しばらく依頼を出してもカモが来なくなったらこれを知ってるギルド員が出向きストーンゴーレムの召喚を解除して埋め込まれたその証を回収する。多分そういう流れだと思うよ。」
「うちのギルドは大分金に汚ぇ連中ばっかだったわけか。」
「……それだけじゃないみたい。」
「うぇ…ばっちぃけどこのボロボロの血がついてるであろう服って町の人のじゃないか?」
「!!」
「ギルドに歯向かう奴はこうやって消されたんじゃないかな?」
「ん?て事はあの最初に助けたオジサンが話してた『自警団の数が減ってるって』話はギルドと関係あるってこと?」
「ズブズブの関係だよベルノちゃん。この調子だとギルドの裏に呼ばれたお姉ちゃん達は今頃ギルド員と戦闘してるかも。」
「なら早く行かないと!クソ魔法使いと言えど流石に心配だよ!」
「その前に私達も無事に帰れるか怪しいかも?」
「え?」
倒したストーンゴーレムを調べるのに夢中になっていたからか気がつくと背後には数名のギルド員らしき人物がベルノ立ちを囲んでいた。
「…おいおい、冗談だろ?真相知った俺も消されるわけか?」
「こうなるなら私達おじさんに声掛けなければ良かったかもね?」
「…だな。そうすりゃまだ俺は日陰で何も知らず酒を飲んでられたのにな?」
「でもモヤモヤした状態で飲み食いしても美味しくないよ?モヤモヤを晴らした後に食べるご飯の方が何倍も美味しいからこんなとこ早く抜けちゃおうよ!」
「それもあるな。なら、次の目標はここを出てギルド長に話を聞くことだ!!」
「ベルノちゃんこっからは討伐じゃなくて護衛クエストに変わるからね!」
「なら早くこんなとこ抜けるに限るから私も『お友達』呼ぶね!」
「私も苦手だけど呼んでみる。MP的にそこまでの量は呼べないから気を付けてね!」
「大丈夫大丈夫!悲しいけど人より獣の方が身体能力高いしおじさんは連れ出せるよ!」
「それじゃあ第二ラウンド開始だね!」