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これは悪夢だ。そうに違いない。
私はグエンタール国騎士団の青い団服に身を包んだまま、直立不動に起立し、祈るような気持ちで一時、目を閉じた。
けれど暗闇に響く声も、再び開いた先の光景も、先程と何ら変わらぬ悪夢のままだ。
醒めない悪夢は、ただの絶望的な現実でしかない。
我が母国、グエンタール国の現王であるイヴ・ローガンが、うっとりとした表情で隣に座る男の顔を見つめている。
男は最近、文官になった子爵家の嫡男だったが、確かに容姿端麗で、すらりと長い脚は画家に描かせたら随分と映えるだろうと思う。
しかし彼が文官になってから見せた成果を、私はとんと思い出せないでいた。
それもそのはずだ。
彼の成果は、仕事の出来でも、生まれの高貴さでもない。
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