「ん…………、あぁ……、あ…………」
私は自分の体を支えられなくなり、ズルズルとお湯の中にしゃがみ込んでしまう。
吐精しきった尊さんは、私の体を抱えてお湯から出すと屹立を引き抜き、避妊具の口を縛る。
「大丈夫か?」
彼はぐったりとした私の顔を覗き込み、汗で額に張り付いた前髪を除ける。
「…………だっこ……」
「ん」
それだけ言うと尊さんは短く応え、私を抱き締めてお湯に浸かる。
心臓はまだドキドキと早鐘を打ち、呼吸も乱れたままで、まだお喋りできない。
「水、飲め」
尊さんは手を伸ばすと、水のペットボトルのキャップを開けて私に持たせようとする。
けれどそれすらできない私を見て溜め息をつき、グッと水を呷ると口づけてきた。
「ん……、んく、…………ん、ぅ……」
私は口内に入った水を必死に嚥下し、「ぷぁ……」と息を吐く。
「もっといるか?」
優しい顔で尋ねられたけれど、頭がボーッとして応えられない。
「…………やべぇな、のぼせてる」
尊さんは真顔になって言うと、慌てて私を抱き上げてバスルームから出た。
**
一休みしたあと、私たちはベッドの上でもう一度エッチしたあと、裸のままいちゃついていた。
「あー、満足。あいつらから取り戻した朱里と、めちゃくちゃセックスして満足」
「結局、嫉妬してるんじゃないですか」
「嫉妬していないとは言っていない」
「もー、素直じゃないんだから」
「ん」
その時スマホの通知音が鳴り、尊さんは手を延ばしてスマホをとると、液晶を見て気怠げに溜め息をつく。
「……ったく、せっかく贅沢な時間を過ごしてるのに……」
尊さんはスマホを見ながらそうぼやく。
「どうしたんですか?」
「ん……、祖父さんに『今週末は都合が悪い』って言ったら、『来週末、用事がなかったら来い』だって」
「伺う話をしておいて、先延ばしにしていたら印象が悪くなりますし、来週伺いましょう」
「そうだな。返事しとく」
尊さんはトントンとメッセージを打ったあと、スマホを置くと溜め息をついて私を抱き締めてきた。
「……緊張するなぁ……」
彼を抱き返して呟くと、尊さんはポンポンと私の背中を叩いて言った。
「うちの両親は問題ありだけど、祖父さんたちは比較的常識人だ。まぁ、ちょっと癖はあるけど、普通に礼儀正しくしていたら大丈夫だと思う」
「あ、エミリさんから少し窺いました」
「あー、エミリなら色々対策を教えてくれそうだな」
「お祖母様って和服をお召しになる方ですか?」
「まぁ、そういうタイプ。祖父さんも年取ってからは『和服のほうが楽』と言ってるかな。でも自分たちの流儀を相手に押しつけるタイプじゃない。着慣れない物を着て対応が疎かになったら、そっちを指摘されるだろうし。『着物に興味があるんですが、分からなくて……』って言ったら、大喜びで教えてくれると思う」
「着物ってなかなか着る機会がないですけど、やっぱり慣れておく必要があるでしょうか」
「祖母はお茶やお花、日本舞踊に|箏《こと》と、一通りやってる筋金入りのお嬢様だ。『興味がある』って言ったら喜んで教えてくれると思うぜ。……あぁ、三ノ宮さんならそういうのやってるかもな」
「そうですね、聞いてみます」
今回の女子会でグッと距離感が縮まった春日さんなら、頼み事をしやすい。なんなら、エミリさんも協力してくれるかもしれない。
(初めてのお茶体験が、尊さんのお祖母様と……は、ちょっとプレッシャーだもんな)
うん、と頷いた私は、尊さんの胸板に顔を押しつける。
「俺も真似事ならできるから、今度一緒にやってみるか」
「はい! ……伺う時、きれいめのワンピースを着ていこうと思ってるんですけど、一緒に選んでくれますか?」
「勿論」
微笑んだ尊さんは、私を抱き寄せてチュッとキスをした。
**
コメント
1件
綺麗めのワンピース👗 どんなのを選ぶかな⁉️ 楽しみです💕 和装の二人も素敵なんだろうなぁ~👘❤️ 見てみたい😍💕💕