折れ曲がった男が、舞佳の背後まで近づいてきた、その瞬間──
──舞佳の拳が、下から突き上げるように男の顔を捉えた。
現実感のない見かけである男は、舞佳の拳をキレイに食らって宙に浮き上がると、地面に落ちる。倒れた状態を見ると、やはり飛び降りて地面に叩きつけられたように思える姿だ。
だが男は、折れ曲がった身体で地面を這いながら、仁海に近づいてくる。
「その……からだ……くれ……」
消え入りそうな、掠れた男の声が仁海の耳に入り込んできた。
(これ……声か?)
今まで幽霊につきまとわれても、声を聞いたことはなかった仁海にとって、衝撃的だった。
うわごとのように繰り返しながら、仁海との距離を詰めてくる。
仁海の顔がさらに引きつった直後、怜一が前に立ち塞がった。そのまま、仁海に這い寄る男に手刀を叩き込む。
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