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にょたゆり
BSS
文次から夢に恋愛感情は無い
それでも宜しければお進み下さい
文ちゃん、潮江文子ちゃんは、私のふたつ下の女の子です。初等部の時から、全寮制のこの学校でずうっと面倒を見てきた、私の後輩で妹のような存在であります。文ちゃんは勝気で、真面目で、そしてとっても優しい子です。私のことを「お姉様」と呼んで慕ってくれる子です。正直、私は文ちゃんのことを恋愛的に好いていました。文ちゃんが幸せそうにしていれば、私の心の臓は分かりやすく飛び跳ねました。きっと文ちゃんは私を一番頼りにしてくれている、そう思っていました。
仙子との事で話したいことがある、と文ちゃんに呼び出されたのはとある日の放課後でした。仙子、立花仙子さん。文ちゃんの同室のとっても綺麗な子。悩みなのであればゆっくり聞くから、あわよくば私のお部屋に泊まってくれればいいのに、と微かに下心を持ちながら、文ちゃんのいる教室の扉を引きました。
「お姉様」
西日のせいなのか少し赤く染っている頬が、とても、とても愛らしくて。なあに、と文ちゃんに問いかけました。口紅を使っていない、そのまんまの色の唇が、大きく動きました。
「私、仙子と恋人になったんです」
ふわりとカーテンが浮いて、太陽が直接、私の影を長く真黒にしました。
「とても嬉しかったので、お姉様に報告したくて」
その時の文ちゃん、今までにないくらいに幸せそうな顔をしていました。文ちゃんは、私じゃなくても良かったのです。
そこから先は、もう何も覚えていません。