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転生した少年は三歳から冒険者生活始めました。

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転生した少年は三歳から冒険者生活始めました。

13 - 第13話 フラットと念話できるようになって高級薬草採取に向かえば、大家族ムーンベアに遭遇しました。

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2024年01月05日

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おっそろしい金額を受け取ったあと、部屋に戻ってクリーンをかけてから、既にベッドの上に寝転がっているフラットを鑑定してみることにした。


■シルバーウルフ:フラット

≪ステータス≫

レベル40

二歳 オス シルバーウルフの王の子 ナギの眷属

体長三メートル八十二センチ 体高一メートル八十三センチ 体重百三十六キロ 痩せ型

生命力:2090

魔力:1670

攻撃力:1500

防御力:1500

≪スキル≫

四属性魔法(レベル2)

≪EXスキル≫

無属性魔法

鑑定

探索(マッピング可能・気配察知・魔力探知・危険感知など全般)

念話(主、同朋との念話のみ)

嗅覚向上

身体・四肢強化

回復力向上

毒耐性

状態異常無効

≪ユニークスキル≫

変化・再生


========

[シルバーウルフ王の加護]

[創造神の加護]隠ぺい

[幸運]隠ぺい



う~ん、なんかすごい!

レベル40なんて、いつになったらたどり着けるんだろう。

魔法も鑑定も探索も使えるらしい。これ、本当にすごいよ。で、念話って何かな。同朋と主だけって書いてあるけど、他にもフラットみたいな眷属ができるってことかな。

でも、話せれば楽しくなるし、意思疎通もやりやすいよね。試してみたいな。

変化・再生ってなんだろう。これはフラットに聞いてみた方がいいかな。

二つ加護がついてる、俺と同じだ!


とんでもなく強いフラット。でも、痩せ型なんだね。もっと食べさせてやりたいな。

家ができたら、米を探してご飯も炊きたい。フラットは気に入ると思うんだ。

他にもいろいろ食材を探したいな。学生時代、ずっと自炊だったから料理は得意だ。調理器具やコンロの魔道具も欲しい。鍋釜を揃えなきゃね。そうだ、俺とフラットのベッド……いや、フラットはベッドは無理かな。それならマットだけを何枚か買って並べておくかな。


目を閉じているフラットに『念話』できいてみることにした。

確か、アニメなんかじゃ、頭の中で語りかけるんだったね。

『フラット、ナギだよ。聞こえる?』

パチッと驚いたようにフラットの大きな目が開いた。水色の瞳がこちらを凝視している。

『主、ですか?』

『そう、俺。知らなかったよ、話せるなんて。さっきフラットのステータス見てたらあったんだ。声に出さずに話せるんだね』

『嬉しいです、主。主の話は普通に話しておられてもわかりますので。お返事は念話になりますが』

『うん、嬉しい。もっと仲良くなれるよ。それで教えて欲しいんだけど、エクストラスキルの変化・再生って何?』

フラットの説明によれば、今の大きな身体を小さくできるらしい。

『もっと年を取れば、シルバーウルフの王としての大きさにまでなりますので、街で生活するには無理かと思います。これ以後は、今くらいの大きさを保とうと思っております』

『わかった、そういうことか。再生っていうのは、ケガをしても治りやすいって事かな?』

そういうことだと聞いて、少し安心できた。

「普通に話すけどさ。俺のこと、主って呼ぶの止めない? ナギでいいよ。俺だってフラットって呼ぶんだし。眷属ってことは主従関係が成り立つんだろうけど、俺はお前とは兄弟とか親友とかと同じだと思ってるから。だからナギでいいよ」

それは……と言葉につまっちゃったよ、フラットが。うーん、怒られるのかな。誰も怒らないでしょうよ、俺が主なんだったら。

『本来なら許されることではないのですが、ご命令とあらば……』

それほどのものなのかな、主従の関係は。それならフラットの顔も立てなきゃね。

「うん、命令だよ。俺の事は兄貴と思ってね。俺の四歳の誕生日に生まれたお前だから、俺の弟だよ」

そう言えば、フラットの大きな瞳から涙がこぼれた。

『では、ナギ。そう呼ばせてもらいます。兄弟ならお兄ちゃんの言うことはちゃんと聞きますから』

「うん、そうしてね。明日から楽しくなりそうだね。今日と同じ薬草と鉱石の採取らしい。一番効率がいいから、次の依頼が来るかどうかわからない。明日はしっかり稼ごうね。明後日には家の契約だ。それからは、薬草採取の様子を見ながら、午前中は依頼をこなして、午後からは家を直すつもり。手伝ってよ、フラット」

もちろん、と尻尾をぶんぶん振ってくれた。




翌朝、同じ依頼を引き受けた俺とフラットは、いつものようにギルド前のパン屋さんで買い物をしてから草原を駆けた。

あっという間に到着した場所は昨日と同じ場所だ。


<サーチ・ルゴル鉱石>


ポポポポポポポ……

おお、たくさん出てきたね。

フラットが個別にサーチした結果だ。

「たくさんあるけど、森の中には入らないでね。岩山のあっちの方にたくさんあるみたいだよ」


<サーチ・アリオール>


ポポポポポポ……

うん、こっちも大量の予感。岩山を回り込んだ所にもあるんだ。それなら近くで採取できそう。

そう思って、フラットと岩山を回り込んでみた。

でも、そこで後悔する。

そこにはクマの集団がいた。あの、ムーンベアだ。ものすごく大きいのもいるんだけど、どういうこと?

森の中に巣穴があるのかな。

探索してみれば、森の奥へと向かえば岩山に穴がある。かなり大きな穴だけど、どうやらそこが巣らしい。

「面倒な事になったね、フラット。どうしてこんなに薬草と鉱石があるのかと思ったけど、こいつらのせいだね。このクマたち、ここからどこかへ行くんだろうか」

さしずめ、出勤前の家族というところか。かなりの大所帯だけど。

『ナギ、今にもこちらに襲いかかりそうだけど、やっつけておく?』

『うーん、昨日は午後からだったから会わなかったのかな。朝だからこれからあちらこちらに散るんだろうけど、このままじゃ帰してもらえないでしょ。やるしかないけど、かなりの数だし。デカいのは二人じゃなきゃ無理そうだね』

『運のいいことに、ここは広い。戦うにはいいと思うんだけど』

『そうだね、そろそろ襲いかかってきそうだし。もし、無理そうなら念話で話そう。声を上げても聞こえそうにないから』

了解、とジリッと後に下がった。

その時が、ムーンベアにとっては戦闘開始の合図だったらしい。

それじゃぁ、やりますか! どいてもらわないと採取できないしね。


ドドドドーっと駆けてくるムーンベアは比較的若くて身体もそれほど大きくない。

俺はショートソードを右手に、左手には短剣を持って走り出す。フラットは、既に交戦中だ。

相手にとって、俺は脅威ではないんだろうが、そんなこと関係ないんだよ! 飛び込んでくるやつらの首元をショートソードと短剣で交互に切り裂いてゆく。それこそ、バッタバッタと切り倒すっていう表現がぴったりだ。おそらく戦闘経験が少ない若いやつらなんだろう。


三十分も戦えば、地面にムーンベア数十体転がっている。これでは、後に下がれない。

それなら、と再び試してみることにした。


<討伐ムーンベア回収>


シュワンッ! とアイテムボックスに収まったクマたちだけど、驚いているのはムーンベアたちだ。あはは、見たことないんだろうね、こういうの。俺も今研究中なんだから。


若い個体が倒れた後、少し大きいやつらが出てきた。

大きいだけは今までほど簡単には倒せそうにない。フラットはなんの問題もなく四肢で首を切り裂いているんだけど、怖いよ、フラット。

一際大きいムーンベアが俺に目をつけたみたいだ。

こい! と構え直した。

立ち上がって太い腕を振り下ろそうとしている所を、ミドルソードを振りかぶって通り過ぎる。

グゴァアッ! と吠えた所をみると、予想通り切れたみたいだね。

後から膝裏を切り裂けば、ガクッと身体が斜めになった。その間にクマの肩に跳び上がって首を切り裂いた。

この戦いはちょっと危ないね。今度は違う方法で……

ガウッ! と聞こえて見上げれば、既に俺の頭の上にクマがいた。

『ナギ!』

『大丈夫!』

心配したのだろう、フラットの声に反射的に答えながら、ショートソードを上に向けたままクマの大きな身体を貫いた。でもこのままじゃヤバいね、とそのまま横に切り裂いて転がり出れば、ドスンと大きなクマが隣りに倒れた。おお~、危ない危ない。

オークよりも戦いにくいな。毛があって皮下脂肪が多いから、切りにくい。既にショートソードも短剣も脂がついて鈍い光になっていた。

それなら魔法の方がいいかな。

次のムーンベアには指拳銃で戦うことに決めた。


<氷の矢>


バン! と正面にいるやつに向けて指をはじく。

ブシュっと音がして、胸の中心を貫いた。

うん、こっちの方がいいよ、絶対。

それからの俺は氷の矢を連発する。フラットは軽々とクマを切り裂いて奥へと進んでいるんだけど、すごいね。俺もフラットも返り血で真っ赤だ。臭いし気持ち悪い。

ドドドドと駆けてきたのは二頭の大型ムーンベア。これ二頭一緒にできないかな。


<氷の矢>


バン! と打てば二本の氷の矢が二頭の頭の真ん中を貫いた。

おおっ! これって俺が思った本数でるのかな。それに指拳銃だから、命中するかどうかもわからないのに、百発百中だよ!

すんごいチートだね。

相手が多いと助かるよ、ほんと。


そんな感じで、もう何十体とムーンベアを倒した。全てアイテムボックスに回収済み。

そろそろ最終局面だよね。

『フラット。あと三頭だけど、一番奥のデカいのは二人でかかろう。手前の二頭は、氷の矢で狙ってみる』

了解! と聞こえて、指拳銃再びだ。


<氷の矢>


バン! と真っ直ぐに飛んでいった氷の矢は、デカい一頭を守るようにいた二頭に命中した。だが、さすがだ。デカい図体を器用に捻って避けようとした。でもでも。的が大きいから外れることはない。一頭は肩に、もう一頭はお尻に矢が刺さった。どちらも急激に動きが悪くなったね。それでも肩に矢が刺さった方は立ち上がって襲いかかろうとしている。もう一頭は体当たりをもくろんでるよね。

それなら、と立ち上がったやつは俺が。体当たりする気のやつはフラットが対応する。

俺の氷の矢は、立ち上がったムーンベアをきれいに貫いた。体当たり野郎は、逆にフラットに片腕で地面にたたきつけられた。

最後に残った一頭は、かなりデカい。これって、ラスボス?


とりあえず、近づくのは危険なので、俺が氷の矢を連発する。

ブシュッ、ブシュッと肩や腹、太ももなどに刺さっていくんだけど、倒れない。なんで?

立ち上がれば、フラットよりも大きいから、どうするかな。

ドシンドシンと氷の矢が刺さったままでこちらに突進してきそうだ。それなら、と別の魔法を使ってみる。


<風刃>


ブシュシュシュー

風刃は見事に腹を切り裂いた。

すると、別の方向からも風刃が飛んでくる。

え? と見れば、どうやらフラットが試したみたいだ。

すごい、普通に魔法使ってるよ、フラット!

ズバッと切れたのは、ムーンベアの右腕だ。そうだ、腕を切れば良かった。

そう思ったら、次の風刃で左腕も落ちた。

すごい、戦いに関しては、シルバーウルフのフラットの方が上だね。本能だろうか。

『すごいね、フラット。これなら後はやれる。大きめの氷の矢で貫くから』

『お願いします!』

そう聞こえたので、ぶっとい氷の矢を鳩尾に食らえ!


<氷の矢>


ブワシュッ!!

すごい音がして、氷の柱といってもいいくらいの矢が飛んでいった。

ちょっと太すぎたかな。

ドチャッと音が聞こえて氷の矢、改め氷の柱がラスボスの鳩尾に刺さっていた。

そのまま後へと倒れてゆく。スローモーションみたいだ。

ドドーーーン

ものすごい音が聞こえて、倒れた。でも、アリオールが台無しだよ。


ため息をついて、ムーンベアをアイテムボックスに回収した。

あたりは血だらけだ。もちろん、フラットも、そして俺も。

全部まとめてクリーンだ!

ジュワジュワジュワ~っといつもより長く感じた。

一分はかかってないだろう、フラットと互いを見て微笑んだ。

地面も、問題なくきれいになっているみたい。


□□□□□


儂は、創造神アルムじゃ。

今はナギとフラットの成長を見るのが楽しみの年寄りじゃが、ちゃんとした神様じゃぞ。

三歳で転生者だと覚醒したナギじゃが、それからはどんどん成長しておる。

まあ、いろいろと手は尽くしたからの。

ステータスはもちろん、スキルもいろいろ与えておる。ちとやり過ぎ感は否めぬが、小さなナギが一人で生きてゆくには必要じゃった。もちろん、本人の頑張りがあってこそ、なのじゃが。

今は、薬草採取でかなりの稼ぎをしておるが、魔物退治も順調そうである。相手によって戦い方を変える術を覚えたのは上々。

たまたまシルバーウルフの王を看取って、子を育てはじめた故に加護が増えた。素晴らしいことじゃ。


ただ、隣の国の戦争が終われば、粗暴なやつらが増えるのは間違いないこと。それが心配じゃ。フラットはおるが、なにかもう一工夫と考えておるのじゃが、何がよいかのぉ。

何か知恵を授けるか、それとも魔法かの。

ふむ、やはり魔法がよいであろうが、なんの魔法にするか。便利な魔法はいろいろとあるが、魔力も大量に必要となる。それでは今はかなりの負担になるじゃろ。それでは逆効果。ユニークスキルとして与えようかの。特別に与えられたスキルならば魔力もほとんど必要ないしの。まあ、そう設定する方がよいかの。魔法とスキルを使いこなせるようにならねばの。今のところ、魔法を使うのは戦いの時だけじゃ。新しいスキルをを上手く使えばよいがの。


今の街がきな臭くなるようならば、どこかへしばらくいっても良いと思っておるが、そろそろ休暇をとっても良い頃じゃ。別の国に旅に行くのも良いやもしれぬな。

なかなか貧乏性な子じゃから休むと言うことをせぬ。それだけが心配じゃ。

そのあたりも、流れが見えたら助言できようかの。

おお、そうじゃ。気にしておったことを知らせねばなるまい。

まあ、いろいろと考えてみようかの。

転生した少年は三歳から冒険者生活始めました。

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