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「いや、たーのしかったぁーー!!!」
すっかり俺プレゼンツとなったボードゲーム企画収録を終えて帰宅すると、その充実さの共感を求めぼふっと自宅のソファへ向かって丸々全身をうつ伏せに投げ出し、 クッションに顔を埋める。
程よい硬さのそれは若干寝不足気味の身体を包み込んでくれ、溜まっていた疲労感を吸収してくれるような感覚だった。
「あれ皆で絶対やりたいな、…っもおー!」
「にゃああぁーん?」
収録時のワクワクを思い出しぱたぱたと両足を動かしていると、その動きに興味に惹かれたツナが高い声で泣きながらぴょんと背中に飛び乗ってきた。
「ちゅなー、この足気になるの?遊んでいいよー?」
なんて緩急をつけて動かすと、連動するようにツナはどちらを標的を定めようかと機敏に頭を動かす。可愛い。うちの子ほんとに可愛い。そうデレデレに顔面が緩ませながら写真を撮りまくったり玩具で遊んだり…時間も忘れてニャンズとの時を堪能している中、不意に予定の無いインターフォンが鳴った。
「んっ?」
時計は23時近くを指している。例え忘れてた配達だとしても明らかに時間外だ。…え、誰?若干の恐怖心に煽られる中、警戒満タンで俺はインターフォンのモニター機能を起動した。
そこに映っていたのは、
「──、蓮?」
意外な人物に心臓が跳ねた。何で?という疑問が浮かぶより先に、手が勝手に通話ボタンを押す。
「どしたの?」
『あ…こんばんは、目黒です。ごめん夜遅くに。…寝てた?』
【いくら慣れ親しんだ人の自宅でも、行き慣れてないと訪問する時なんだか他人行儀になるよね。】ってあるあるを今まさに彼が体現している。どこか落ち着かない様子で、見えないこちらの機嫌を伺うようにカメラをちらちらと気にする彼に、俺は少し心配になった。
「うちの子達と遊んでたけど…何かあったの?」
『、いや、んーと…。』
《あのね、》と言葉を切り出した途端、モニターの右下からにゅっと別の見慣れた顔が現れた。
『さっくーーーん。来ちゃった。』
寝起きドッキリの仕掛け人みたいに控えめな声量で、それでいて明るくおちゃらける康二。いつから2人一緒にいたのかと思うと、無意識にムッとした自分に気付いた。
─── なんか、モヤモヤする。
『?さっくーん?』
「あ、うん。今ロック開けるから上がりなよ。」
『やったー!な?言ったやろめめ?』
『う、うん…。』
未だ音声を拾いながら、モニターから遠ざかって行く。どういうこと?俺んちに来る前に何を話してたの?エントランスのドアからホールへと吸い込まれる2人を見守りながら、困惑に小さく震える指でモニターを消した。
大きくなっていくモヤモヤに暫く立ち尽くしていると、何かを察したような《なーん。》というシャチの一鳴きが背後で聴こえ、ハッと我に返る。
「ツナ、シャチ、この後お客さんが来るからね。良い子にしててね?…元々良い子か!」
ぽんぽんとシャチのしっぽの付け根を軽く叩くと、シャチはゆっくりと目を細めて喉を鳴らす。
そのまま抱き抱えてもふもふに顔を埋め、すぅ…とその温かい匂いを堪能すれば、さっきまでのモヤモヤが解されていく。
「っはーー…、シャチありがと。後でお客さんにおやつ貰おうね。」
《構わんよ。》と言わんばかりの可愛いドヤ顔を撫でてやれば、改めて音の違うインターフォンが部屋中に響いた。