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冷たい風が頬を伝う
荒廃した世界で久しぶりに見る人の形をした存在が小高い丘に立っていた
「おや?君は人間かい?」
月明かりに照らされた人物がこちらに振り返る
久しぶりに会えた人間だからだろうかその人物の問いに答えるのを忘れてしまっていた
「聞こえているかい?それとも人ではない物かな?」
「ああ、少々久しぶりの会話が出来るものでな、気分を害したならすまない」
「いや大丈夫さ」
目の前にいる人物は座っているベンチの隅に寄った
「私も久方ぶりの人間だ少々話そうではないか」
「ああそうだな」
そう言いながら目の前の人物の隣に座る
「ところで君は何故こんなところに来たんだい?」
「ここで最後に動画でも撮ろうかなとね」
「動画?君はYouTuberとかだったのかい?」
「いやいや違う違う、ここに人が居たっていう痕跡を残したかっただけだよ」
「そうか」
誰も喋らない時間が過ぎるだが、そんな時間も俺には幸せに感じた
「君は」
そんな中目の前の人物が口を開ける
「君は何故世界がこんな荒れたのか知っているかい?」
「あの変な化け物が現れたからだろ?」
「そうだなでも、君は世界がどんな風に荒れていったのかを知らないだろう?」
「ここでさえ生き残るのが大変だったからな、もしかして知っているのか?」
「ああもちろん」
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世界がどんな風に荒れ果てたのか説明をしよう
この世界には今”怪物”と呼ばれる奴らがいる
それは君でも知っているだろう?
何やら急に世界各地に現れたらしい
色んな世界の科学者がこぞって研究をしようとして全て失敗
理由?そんなの単純さ
何も怪物単体がそんなに強いわけじゃない
”.じゃあなんだ?”って?そんな急ぐんじゃない
確かに強い奴もいた
だがそれ以上に繁殖力が強いんだ、、、いや違うな
正確に言えば増殖するんだ奴らはね
元々数が多いくせにすぐ増えるから気づけば手がつけられなくなっていた
国が避難所を設けてはいたけど大体壊滅
残ってるところは多分大体運がいいだけさ
もうじきに全員肉塊に変わってしまうよ
君も見ただろう?
真っ黒なタールの怪物、人を繋ぎ合わせたような動く肉塊、空飛ぶ肉の風船、意思を持ったようにうねる道路
奴らを神だなんだのと信仰する奴らもいたさ
嬉々として食われていったな
あれは流石に、私も気持ち悪いと思ってしまったよ
“あいつらはどうなった?”って?
多分あの世でほんとの神様でも拝んでるよ
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「というのが大まかな説明さ、満足かい?」
「ああ、ありがとう」
「ところでお前はなんでこんなところに来たんだ?」
「人生最後くらい綺麗な空を見たいから、、、じゃあダメかい?」
「いいや最高だね」
「君もこのままここにいるかい?」
「もちろんだ人生のカウントダウンでも始めようか?」
軽い話をしながら空を見上げる
「おやおや残念だね」
思わず息を呑むそこにいたのは星ではない
こちらを凝視する数多の”目”だった
「いい星空が見える筈だったのだけれどね」
「俺らの存在がバレたってことか?」
「多分そうさ」
俺はもう諦め一つのカメラを地面に置く
「そう言えば君のここに来た理由は動画のためだったね」
「ああ、お前も映るか?」
「もちろんだとも!人間の遺物の一つになれるなんて最高じゃないか!」
「急にテンション高いな、、まあいいじゃあ撮るぞ」
そう言いながら動画を撮り始める
ここにいつかまた文明が築かれることを祈って
またいつかここに活気があふれることを祈って
そしていつか誰かが自分達に気づく事を祈って
Fin
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皆々様おはこんばんにちは、あまり良い出来とは言えませんが等作品を閲覧していただきありがとうございます。
堅苦しい文はここまでにしておいて、当作品は作中の中に出てきたものが大まかな内容です。
彼らが撮った動画はまたいつか書こうかな?と思っています。
彼らの性別はお任せいたします
ちなみにこの物語は他の作品に繋がっていないとも限りません。それは、他の作品にも言える事ですがね。それではこれからも色んなストーリーを読んでいってください