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 本編バレンタインのエピソード




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 いつから君を、一人の女の子として意識するようになったのか──それは自分でも分からない。

 妹の友達。俺にとって、彼女は第二の妹のような存在だった。確かにそう、思っていた。


 でも、気が付けば好きになっていた。


 今までの経験から、俺は誰と付き合ってもどうしても妹の事を優先させてしまうはず。これは、この先も一生変わらないのだろう。

 小さくてか弱いくせに、それでいてどこか無鉄砲で。その無邪気さが、酷く心配で堪らないのだ。


 変な男に騙されやしないか、危険な目に遭ってやしないかなど、いつも心配で目が離せない。おまけに、彼氏はあの響ときている。

 これでも一応、響の事は信用している。あいつは絶対に花音を傷付けるような事はしないだろう。それだけは、不思議と確信を持って言える。だけど──。



(響は少し…。いや、だいぶ変なやつだからな)



 やっぱり、花音の事が心配で放っておく事ができないのだ。


 だから、俺は自分の気持ちに蓋をした。

 彼女を一番に優先してあげられないなら、自分から告白なんてするもんじゃない。そう、自分に言い聞かせていた。


 何より、失うのが怖かったから。

 大切にできずに失ってしまうぐらいなら、この気持ちは一生自分の胸に秘めておこう。そう、思っていたんだ。



「コレね……、本命だから」


「…………え?」



 目の前に差し出された綺麗に包装されたチョコを見つめながら、思いもよらない突然の出来事に呆然とする。



「俺は……、花音のことが一番に優先なんだ」



 俺の口から、無意識にそんな言葉が小さくポツリと溢れた。

 それを聞いた彩奈は、一瞬悲しそうな顔を見せると、俺に向けて小さく微笑んでから差し出した手を引っ込めた。



「うん、そっか……そうだよね。やっぱり迷惑だよね、ごめんね……っ。今のは忘れて」




 ────!




 立ち去ろうとする彩奈の手をグイッと掴むと、驚いた顔をする彩奈が俺を見上げた。



「いや……だから、そうじゃなくて……。俺は彩奈の事が好きなんだ。でも、やっぱり花音の事を優先してしまうと思う。だから……彩奈を悲しませて失いたくない」



 彩奈の言動に触発された俺は、告げるはずではなかった胸の内をさらけ出した。

 すると、涙を浮かべた瞳でニッコリと微笑んだ彩奈。





「なんだ、そんな事。……何年一緒にいると思ってるの?」





 そう言って微笑んだ彩奈はとても綺麗で。


 まるで時間ときが止まったかのような錯覚を覚えた俺は、瞳を逸らすこともできないまま、ただ目の前の彼女に見惚れてしまったんだ──。







─完─




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