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予想外の施術で、これには参った。


先程ゆるゆると気持ちよく上っていた階段とは次元が違う。

ヤバいのだ。非常にヤバい。


しかも、彼女は長い時間そこから指をどかそうとせず、ギリギリのライン上である

股間を攻めてくるものだからたまったものではない。


とうとう俺のモノが反応してしまう羽目になる。



「小泉さん、もうこれで充分ですから……」

と、俺は施術をやめるよう懇願した……というのに。


「大丈夫ですよ、恥ずかしがらなくても。

皆さん、鼠径部《そけいぶ》周りを施術すると同じような現象になりますから。

平気、平気」



『いや、あなたが平気でもアタシは困るんですぅ~』

と、心の中で唱えたものの、彼女を突き飛ばしてやめさせるわけにもいかず、

途方に暮れつつ悶えていると、いつの間にか彼女が俺の腹の上に乗っかかり、

自分の 意志とは関係ないところで身体の敏感な一部を篭略されてしまった。



こうなってしまっては、理性を取り戻すことも己の肉体の一部を奪還することも、

もはや不可能な領域へと突入した。


電球の交換を頼まれ、お礼にと夕食を呼ばれ、マッサージをしてあげると言われ、

その挙句が今こんなことに……どうして?


俺は大きな快感の渦に飲み込まれてしまい、気怠い身体を持て余したまま

混乱と、自問自答の嵐の中にいた。



「どう? 気持ちよかったでしょ。

お気に召したようでしたら、またマッサージサービスしますよ」


俺の身体から降りた女がそんなことを言う。


『何故だ、何故次があるようなことを言うのだ』


女の今までの振る舞いも、今の言葉も、全く自分には分からん、分かりたくもない。


同意のない性行為に、吐き気がした。


『あっ―――』

彼女が確信犯であることは明々だ。

見ていないからだ。


彼女が事に及んだ時、下着を脱いだところを俺は見ていない。

彼女のあの時の挙動は実に素早かった。


だが、何のためにこんなことを?

しかも、後輩の夫である俺に対して。


身体の芯が収まったところで、俺は一刻も早くこの場から去ろうと素早く

身支度を済ませた。


そして、俺は彼女の顔も見ずに「じゃ、失敬」とひと言いい置いて、

素早く彼女の家を辞した。

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