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どのくらいグレッグ様にしがみついていたのだろう。ひとしきり涙が出てしまうと、冷静になってくる。
ヒリヒリと手首に痛みが襲ってくる。
腫れぼったくなった瞼を持ち上げて、手首 に目をやると、皮膚が少しえぐれている。
先程、縄を解こうとした時に、擦れた部分だ。
今頃になって、グレッグ様の服を涙と血で 汚してしまったと気づく。
「グレッグさま、すみません……」
慌てて離れるソフィアの様子を、グレッグは
怪訝に思う。
ソフィアの温もりの残る自身の胸の辺りを 観察して、すぐに察する。
「ソフィア、手を見せて。 ソフィアの姿を見て、我を忘れて抱きしめてしまった。 怪我の確認が遅れてすまない」
「こ、これくらい、大丈夫です。平気です、なんともありません」
鞭で打たれていたこともあるので、自分にとってはこれくらいかすり傷だ。
「私が大丈夫じゃないんだ。さぁ、見せて。 痛みに慣れてはいけない。 ソフィア、私の前では平気なふりをしなくてもいいんだ。 少し、沁みるかもしれない。」
「あ、あの、これ以上ご迷惑をおかけするわけには……」
「迷惑などかかっていない。いや、むしろ助けられている」
「え?」
「私達は、怪我など日常茶飯事だ。 簡単な応急処置を、迅速にできなければならない。 なにごとも上達するには、練習あってのも の。 こうやってソフィアに包帯を巻くことも、く 、訓練の一貫だ! いや、むしろ騎士とし ての義務だ。」
「ふふ……」
グレッグ様の優しさが感じられて、思わずはにかむ。泣き笑いのようなおかしな状態になっていた。
グレッグはポケットから包帯と軟膏を取り出すと、ソフィアの傷口に軟膏をゆっくりと塗っていく。
有事の際に備えて携帯していて良かったと
グレッグは改めて思う。
「グレッグ様、どうしてここが……私が捕まっているのが、分かったので すか?」
「あぁ、それは、アンジェリカ嬢の侍女と 名乗る者が本舎に駆け込んできたのだ。 お嬢様を助けてほしいと。 他の者は半身半疑だったが……。 ソフィアの名が出たので、自分の目で確かめなければと飛び出した。 ソフィアの名が出た時点で、行かないという選択肢はない!」
きっぱりと言い放つグレッグ様の言葉に、 嬉しくてトクンと胸が高鳴る。
アンさんが、助けを呼びに行ってくれたんだ。
アンジェリカのためだったとは言え、私の ことも伝えてくれて、結果的に助けられた。
「ありがとうございました……」
泣き腫らしてひどい顔だったので、グレッグ様を見ることができない。
綺麗に巻かれた包帯を見ながら、お礼を言う。
「ソフィア、顔を上げて」
「す、すみません、目を合わさずにお礼 を言うなど失礼なことをして。 でも私……。今、ひどい顔なんです。 だから……」
「そうか、見られたくないのだな。女性心に疎くてすまない。顔を見れない のは寂しいが。ならば……」
グレッグはソフィアの手を取ると、そっと口付けを落とす。
「あ、あの!グ、グレッグ様!」
あわあわと困惑する私を、気にするでもなくグレッグ様は続ける。
ゆっくりとグレッグは、ソフィアの手に口づけを落としていく。
「ソフィア、消毒が必要なんだ。」
「あ、あの、しょ、消毒ですか?」
「あぁ、私に任せてくれ」
「んっ」
思わず変な声がでる。
あぁ、かわいい。
グレッグは、包帯の部分を避けて、優しく
腕へと進んで行く。
ソフィアは反対の手で、痣を隠そうとした。
「ごめんなさい、グレッグ様。私…その…身体中に痣が残っていて……」
「ソフィア、全部見せて。ソフィアの 過去も、全部私が消毒するから」
痣を隠しているソフィア手を、グレッグはそっと持ち上げる。
ソフィアは何をされているのか分からずに、されるがままだった。
あぁ、かわいい。
グレッグは、自分の中に宿る欲望の塊と闘っていた。
自分はどうしてしまったのか。
自分で言うのもなんだが、紳士的だと思う。
どちらかというと、女嫌いの部類だと思っていた。
まさか、自分の理性が飛びそうになるなん て……。
グレッグはこれ以上はまずいと思い、 ソフィアの手を解放した。
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