仕事終わりに向井は宮舘を呼び出した。
都内の高層ビルにある会員制のバー。カウンターの一番端の席で宮舘は待っていた。
向井が手を挙げると、宮舘も気づいて手を振り返す。
すでにグラスの酒は半分ほどになっている。
🧡結構待った?
❤️いや
🧡それ何杯目?
❤️3杯目
🧡待っとるやん(笑)
思わず向井は笑ってしまう。
向井は宮舘のことが普通に大好きだ。
そしてもともと引っ込み思案な性格の宮舘にとっても、向井は気の置けない珍しい友人の一人である。
渡辺にも向井と出会ってからの宮舘は変わったと言われている。本人としてはよくわかっていないが、周囲に明るくなったと言われるようになった。
🧡僕、レッドアイください
向井はバーテンダーにカクテルを頼む。
向井のグラスが届いたところで二人で乾杯をする。
❤️珍しいね、二人で飲もうなんて
🧡ちょっと話しておきたいことがあってな
❤️?
向井は少し緊張している。
明日、向井は渡辺と会う約束を取り付けている。いつものサウナに誘った。その後は向井の家に行くことになっている。
渡辺にOKをもらったところで、やはり宮舘のことが気になってしまったのだ。
向井は切り出した。
🧡舘さん、俺、聞いてしもうてん
❤️なにを?
🧡しょっぴーのこと好きなんやろ?
❤️……
🧡実は俺もなんや
❤️そうだったのか
🧡俺もしょっぴーに言おう思うてる
❤️それをなんで俺に言うの?
🧡俺だけ舘さんのこと知ってるのフェアやないやろ?せやから言った
❤️そうか
宮舘は少し考えてから、右手を差し出した。
❤️康二。恨みっこなしで行こうな
🧡うん
向井は宮舘と固い握手を交わす。
恨みっこなしとはいかにも宮舘らしい。向井も改めて身が引き締まる思いがした。
ごまかしなし、ズルなしで渡辺と真っすぐ付き合いたい。
しかしその前に向井は確認したいことがひとつあった。
🧡言いにくいんやけど、聞いてもええ?
❤️なに?
🧡舘さんはあの後しょっぴーから返事もろたの?
❤️いや、まだ
🧡せやんな…
向井はほっとするとともに、急に弱気になった。
🧡二人ともダメかもしれへんしな…
❤️まあ、そうだよね
宮舘も苦笑する。おそらくハードルは高いだろう。二人に妙な連帯感が生まれていた。
長いこと話し込んで、日付が変わり大分経った頃、向井と宮舘は別れた。
これで宮舘への仁義は通した。
後は、明日が来るのを待つだけだ。
ところが。
🧡え!舘さん、なんでおるん?
向井が待ち合わせ場所に行くと、そこには渡辺と宮舘が仲良く待っていた。
💙涼太から朝連絡が来て、一緒に行きたいって言うから…ダメだった?
渡辺がこともなげに言う。
向井としては、宮舘と一緒に行くつもりはなかったのだが、宮舘は平然とそこにいる。
向井は昨日の夜の会話を高速で思い出した。
🧡「俺、明日言うつもりや。しょっぴーとサウナ行く約束したんや!」
酔っ払って上機嫌につい、宮館に話してしまったことを思い出す。
酒が回っていてすっかり忘れていた。宮舘はしっかり覚えていたのだろう。さすがにメンバー随一の酒豪なだけある。
やらかした…
それにしても、何も宮舘も来ることはないだろうに…
向井が渡辺に気づかれないように宮舘を盗み見ると、宮舘はニコッと微笑み、近くまで寄って来て耳打ちした。
❤️俺も同席させてもらうね
🧡なんでなん?
❤️これがフェアってもんでしょう
宮舘がにやり、と笑う。
🧡……
向井は宮舘を悪魔のようだと思った。宮舘の目の前で、渡辺に告白しなければいけないのか…。
なんと向井は別の意味でも緊張を強いられるはめになったのだった。
💙お前ら何こそこそしてんだ。行くぞ
何も知らない渡辺は上機嫌で、先に歩いて行く。
二人は目を合わせ、「は~い」と返事をして、渡辺の後ろに付いて行った。
コメント
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舘様と康二バチバチだぁー! 負けずに頑張れ!
通報されたから画像差し替え中。
えぇーどうなんですかっ!! 舘様まさか来ちゃうとは😆