コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
注意
ギリ友愛だけど敏感な人が見ると凪玲に見えるかも、なので腐タグ付けてます。
凪玲の脱落妄想のリメイク、そのため前作見てから見た方が差が楽しめます。
_______
ピッピッピーッ!!
自陣のゴールネットに放り投げられたサッカーボールが勢いを一気に吸収され真下に落ち、芝草を踏んで小さな音を鳴らす。
スコアは3:4、俺が3の方だ。
絶望
困惑
恐怖
唯一無二の宝物への申し訳なさ
それらが一気に押し寄せて目眩がする。
力無くその場に腰を降ろす。目の前が真っ暗になった心気がして、まるで今ここで死んでしまったようだ。
ただ嘆く仲間の声が明らかに相手選手の歓声の声の方が大きいはずなのに、耳に入って来てそれだけが自分の生を知らせている。
ブルーロックでは敗者は一生W杯出場の権利を無くす。つまり俺の夢は今ここで散った訳だ。
嫌だ、ここで終わるのは。嫌だ、あのつまらない日常に戻るのは。嫌だ、折角夢中になれる…欲しい物を見つけたのに。
嫌だ、まだ、夢を追いかけてぇ….!
だがそれは叶わない、どうしようもないやるせなさに包まれたその感情のまま芝生を握る。
「…王、玲王、レオ!」
よく聞き慣れたその声の主に抱き着かれた衝撃で、いつの間にか閉じていた瞳を開ける。
視界にチラつくふわふわの、雲のような触り心地の白の髪。
いつもは試合に勝つ度にこの髪を撫でながら、さほど鍛えてもないはずなのにガタイのいい背中に体を預けた、唯一無二の宝物。
「玲王、大丈夫、大丈夫だから。目を開けてよ。」
いつもの声、だが乱れた息遣いから此奴も取り乱しているのだろう。そりゃそうだ、初めての敗北。
いや、思い出を思い出す前に言わなければいけないことがあるだろう。だがそれを言おうとしても膨らんだシャボン玉が弾けるかのように声が掠れて出せなくなる。
はくはくと口から出る息に気づいた凪がまた俺に声を掛ける。
「大丈夫だよ、玲王。玲王が言いたいことがあるなら俺、待つから」
それまで張り詰めた空気が和らいで、それまで聞こえていた仲間の嘆きも、相手選手達の歓声も遮断されて今は凪の音しか聞こえない。
今は声を出すことに集中しろ、ゆっくりと息を吐いて呼吸を整える。
今なら、言える。
「ごめん、凪。お前は良いプレーをしてたのに、負けて。」
「なぁ、凪、でも俺手離したくねぇんだ、初めて出来た夢も、お前も。この手を離したくない」
その時、凪は思う。
綺麗だ。と
自分には心底分からなかった夢を持った、この御影玲王が今はとてつもなく綺麗に思った。
今はどんな目をして語っているのだろうか、抱きついたせいで見えなくなったその瞳は真っ暗な深海に沈んでしまったようなくらい瞳からどうなったのだろうか。
今までは分からなかっただろう、でも今は分かる。
凪もまたサッカーの楽しさを覚えたから
玲王と共にサッカーをしてもいいと思ったから
きっとその瞳はその凛とした声色と同じで真っ直ぐと未来を見ているのだろうと。
なら俺は、玲王の望みのままに。
W杯は難しいのかもしれない、でもそれなら俺は、玲王に俺なりに夢を見せてあげる。
もう退屈だなんて思わせない、玲王が俺にしてくれたように。
玲王が飽きたって何度でも俺はまた夢を見せる。
「じゃあ俺頑張ってみる。」
「は、?」
すぐさま困惑の声が返る。
「負けてもW杯に出られなくなるだけでサッカーが出来なくなる訳じゃないんでしょ。なら俺頑張るよ、お前を退屈させないために。」
ごくりと玲王が喉を鳴らす。芝生を握っていた手は集中してくれているのか手を広げている。
俺達の心臓の音が聞こえて。負けた瞬間芯から冷えるみたいな冷たさを互いに身を寄せて温めているみたいに温まる。もう寒くはない。
「ねぇ玲王。あと何点撮ろっか」
数秒の沈黙のあとハッ!と聞き慣れた玲王の笑い声が耳に入る。
「そんなの決まってる。」
抱きついていた手を離され抱きついた状態を解除される。
だがすぐ体を顔の傍に寄せられ視線を合わせる。
「一生分使って取れ!俺が数え切れない程にな!」
予想通り、玲王の瞳は凛として美しく眩しい程に輝いていた。
「YES.BOSS」
2人の少年は出口に向かう。傍から見るならばそれは絶望の道だろう。それは少年にも例外なく当てはまる。
けれども少年らは一つ違った。少年らは互いに助け合えるからだ、この先何があろうとも、少年らは夢を途絶えさせない。
なぜなら少年らは1人じゃないからだ。
終わり
_______あとがき⤵︎ ︎
れおぴ誕生日おめでとう!
そして20作目になりました。初投稿のリメイクです、少しはマシにかけたかな…楽しんでくれたならとても嬉しいです。
バトエン大好きなのは変わらず健やかに育っていってますが、正直救いモリモリですね…
この二人でバドエンは書けません、何故だ?
そして前作の題名が頭悪すぎたのを謝罪します。なんやねんナイトスノウの冬にて…
頭が回らなかったにしてもクソすぎる。