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瑠衣は襲い掛かる快感から逃れようと、枕の両端をギュっと掴み、身体を左右にくねらせている。
『はぁっ……んあぁっ……たっ……拓人……さん…………感じちゃうぅっ』
堪らず瑠衣が『拓人さん』と無意識に呼ぶと、彼女の中で肉壁を擦り上げている肉槍が膨張したように感じた。
ニチュニチュと粘着質のある水音と肌同士がぶつかり合う鋭い音に混じり、瑠衣の艶声が部屋に響き渡る。
『瑠衣ちゃん……イキ…………そう……っ……ぐっ』
『ああぁっ……っ……だめぇ…………あうっ…………ヘンになっちゃうぅっ』
拓人は、瑠衣に密着すると、激しく腰を律動させて突き続け、瑠衣は彼の背中に両腕を回して衝撃に耐える。
『ああぁっ……っ……んああぁぁっ——』
『ヤバっ……イッ…………ぐっ——』
拓人の動きが止まり、瑠衣の中で白濁が薄い皮膜越しに注がれていくと、彼は時折身体をビクンと震わせている。
全てを放った後、彼は瑠衣の髪を撫でながら『瑠衣ちゃん、すごい可愛かったよ』と褒めてくれた。
コンドームの処理を済ませた拓人は、瑠衣の身体を抱き寄せる。
『中崎さん……ありがとうございました。する前は緊張して……怖かったけど……色々と気を遣って頂いて…………中崎さんが初めてのお相手で良かった……です……』
顔を赤らめながら微笑み、律儀に礼を言う瑠衣に、拓人の鼓動が大きく弾んだ。
今まで数多の女を抱いてきたが、こんな事は拓人にとって初めての経験だった。
『いいえ、どういたしまして』
かつて経験した事のなかった、くすぐったいような気持ちをごまかすために、拓人は緩く笑った。
ホテルを出た二人は会話もないまま、娼館へと向かう。
先ほどまでベッドの上でまぐわい、熱を帯びた身体に当たる夜風が気持ちいい。
初めてのセックスで、瑠衣は心身ともに、一皮向けたような気がした。
あっという間に娼館へと到着し、拓人と瑠衣は向かい合う。
『中崎さん、ありがとうございました。気を付けてお帰り下さいね』
『瑠衣ちゃんもこれから先、大変だろうけど…………頑張ってね』
『はい。では、失礼します』
一礼した後、瑠衣は、そのまま木製の重厚な扉の向こうへ消えていくと、拓人は、複雑な想いを抱えながら、瑠衣の背中を見送る事しかできなかった。