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???「今日は調理実習ですね!海音さん!」???「そうだね」
ここは、トウヒガ学園。「紅緒」と「海音」の教室である。
紅緒「今回はクッキーを作るみたいですよ!みんな誰かに贈るみたいですけど、海音さんは誰かに送ることもう決めてるんですか?」
海音「一つは……紅緒に。」
紅緒「え!?ホント!?嬉しいです!私も海音さんに贈りますね!」
海音「……あとは、雨花に……」
紅緒「雨花さん?きっと喜びますよ!」
海音「……だといいけど……」
そして、家庭科室
紅緒「じゃあまずは生地を作らないといけませんね!」
海音「……えっとぉ……まずは……」
海音は卵を割る。しかし……
紅緒「あらあら……」
海音「殻も入っちゃった」
紅緒「でも、殻は取り除けば良いですから!」
次は、冷蔵庫で冷やすという作業。
紅緒「そろそろじゃないですか?」
海音「うん」
紅緒「……あの……どうして冷凍庫をひらくんです?」
海音「え?ここに入ってるからだけど?」
紅緒「何故「冷蔵」じゃなくて「冷凍」にしちゃったんですか!?」
海音「だって「固める」って言ってたから、「冷蔵」より「冷凍」の方が固まるスピードも早いと想って……」
紅緒「これだと溶けるまで時間がかかります!」
海音「じゃあ電子レンジで温めよう」
紅緒「ちょっとちょっと!それ金属トレーですよ!」
海音「でもトレーにくっついて離れないからこのまま入れるね」
紅緒「ちょっと!」
電子レンジで温めると、当然のごとく爆発した。
紅緒「…………」
海音「何で爆発したんだろう。壊れてるのかな?この電子レンジ」
紅緒「いやいや!さっき金属は爆発するって言ったじゃないですか!」
海音「そうだっけ?」
紅緒「そうですよ!……よし!今度はもっと慎重にやりましょう。一緒に!」
海音「イライラしないの?」
紅緒「何でですか?」
海音「私出来が悪いから……お母さんのことよく怒らせてて……」
《どうして言ってることが理解できないの!!》《何でそんな簡単なことが!!》《あなたは当主にならないといけないの!!》《もうあんたなんて……》
《いらない》
海音「……っ!」
海音は俯いてしまった。しかし……
紅緒「……私の知り合いの先輩が言ってたんですけど、「できる」と「できない」の差は二文字じゃない」
海音「?」
「できない」は諦めてるからじゃなく、人間が普段普通に持つ拒否反応。だって辛いことはできないと感じるのは当たり前のことです。つまり、「できない」というのは持ってて良い感性なんです。たまに少しやっただけで「できる」人もいますが、それこそ「才能」みたいなものですし、「できない」人が「できる」ようになった時の感じた気持ちととその人が力を得た時の感じた気持ちなら前者の方が絶対優しい。だから、「できない」のは素晴らしい力なんですよ!だって……」
「「「できる」に一番繋げられるの力ですから!」」
海音「それ……雨花が言ってたの?」
紅緒「よく分かりましたね!そうですよ!」
海音「雨花……」
紅緒「じゃあ続きしますか?」
海音「うんやる。」
その後もなんやかんやあって、失敗もしたが何とかクッキーを作ることを完遂した。
紅緒「じゃあ私も渡してきますね!」
海音「うん。また後で」
海音は早速雨花のいる生徒会室に向かう。
海音「よし……」
コンコン
???「どうぞ〜」
海音「失礼します」
ガチャリ
???「海音ちゃん!いらっしゃい」
???「いらっしゃいませ」
???「いらっしゃ〜い」
生徒会室にいたのは、「雨花」と「橙」、「桃時」だった。
海音「あ、雨花に渡したいもの……」
橙「あっそこにはダンボールが!」
桃時「危ない!」
海音「あっ……!」
バラバラバラバラ
橙「それは……クッキーですか?」
海音「あ……な、何でもない……ごめん……」
海音は悲しい目でクッキーを拾う。しかし……
雨花「これわざわざ持ってきてくれたの?」
海音「そ、そうだけど……」
雨花「どれどれ……」
雨花は、クッキーを口に入れた。
海音「あっちょっと!いいよ……そんな汚いもの……」
雨花「えぇ〜汚くなんてないよ〜!それに作ってくれたのかな?すごく美味しいよ!ありがとう!」
海音「……!」
海音は雨花の目から嘘は感じられなかった。
海音「…………また作るね」
雨花「うん!楽しみにしてる!」
橙「ふふっ私も食べて良いですか?」
桃時「アタシも食べたいわ」
海音「……うん」
「ん。美味しいです」「ね!すごく美味しい!」「中々良い味じゃない」「もっと食べたいです。少し下さいよ」「わたしの取り分なくなっちゃうよ〜」「あんたたちは子供か!」
海音「…………」
この子は……
こういう気持ちにもさせてくれる子なんだ
母親の膝の上で寝て
歌を歌ってもらいながら感じるあの暖かさ
あのどうしようもない優しさを
この子は感じさせてくれるんだ
海音「もう行くね」
雨花「あっもう行く?もう少しゆっくりしていいんだよ?」
海音「待ち合わせしてるから」
雨花「そっか!じゃあまたおいで!」
橙「いつでも来てくださいね!」
桃時「待ってるわね」
海音「うん」
海音は、少し泣きそうになる自分を抑えて生徒会室から出て行った。
雨花「海音ちゃん。優しい子だね」
桃時「しかもすごく美人!」
橙「そうですね。みた目も美しい方でした。性格のことも瑠璃人さんにみ習って欲しいです」
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紅緒「じゃあ帰りましょっか。海音さん」
海音「うん。帰ろう」
「あっ悪い!」
海音「え?」
海音の足にサッカーボールが転がってきた。
「お前ちょっと拾ってきてくれよ〜」
???「何でおれなんだ?全く……すぐ行くから待ってろよ」
海音「…………」
紅緒「大丈夫ですか?海音さん!」
海音「別に大丈夫」
???「ごめん。怪我しなかったか?」
海音「別に……少し足に当たっただけだし」
???「そっか。でもありがとう」
海音「何が?」
???「だってお前がここにいなかったらおれもっと校舎の奥まで探さなきゃいけなかったし」
海音「は、はぁ……」
???「じゃあな!」
若芽色の少し髪がボサっとしている桜色の目の男はサッカーボールを持つと去っていった。
海音「……変な人」
紅緒「行きましょっか!」
海音「うん」
こうして海音と紅緒は、校舎から去っていった。