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フ、フラカ...フランス!
その日から俺は考えた
どうすればこの監獄から脱出することができるかを
親父は普段俺を部屋に閉じ込めている
だが逆を言えば俺が部屋で何をしているかわからない
俺の部屋には窓が一つある。でも二重になっていて開けても出れないようになってる
(そもそも2階にあるので出れたとしても真っ逆さまだ)
まず、学校からそのまま家出する手もあったが余計な荷物も増えるし、なにしろ送り迎えに親父がやってくるからすぐばれる
思いついたのが親父がいない隙に家を出る方法
そのあとはしばらく友達のメキシコの家に居候する
そのためには1日で親父がいない隙にどこからか脱出する
それに作戦のチャンスは一回きり
もし失敗したら今よりもさらに…
だからこそ綿密で完璧な計画を立てる必要があった
学校の授業は真面目に聞いていない方だったが
家出を決意したその日から真面目に受け始めた
真面目に受けたおかげでテストは9割以上取ったのがほとんどだった
周りの友達、先生までもが俺の成長に驚いた
🇧🇷「すげぇよアメリカ!俺なんか56点だ!」
🇲🇽「おい、平均点上げやがって!まぁアメだから許す!」
🇨🇺「どうしたんだよ…そんな急に頭良くなって」
🇺🇸「ああ…ちょっと志が出来て…」
彼らに俺の生活のことは一切伝えていない
🇬🇧「すごいじゃないですかアメリカ!今夜は私のスターゲイジーパイでお祝いしましょう!」
🇨🇦「えぇ…(小声)」
家に帰ってきてテストの結果を見たらこの有様だった。親父の笑顔、数年ぶりに見た気がする
🇺🇸「フッ、ありがと」
思わず笑顔で返した。その時は何も感じなかった
パイを食べ終わり、自室に戻ったあと俺はさっきの言動が気になっていた
なんで嫌いな親父に笑顔で返してしまっているんだ?いつか俺は家を出ようとしているというのに…
その日のうちに答えは出なかった
授業を真面目に受け始めて数ヶ月
俺は少しずつ家の間取り図を書いていった
どこか玄関以外に出れる場所はないかと
…見つからない
親父がいない隙に俺は隅から隅まで捜索した
カナダに何か聞かれても「学校の課題」と称して続行した
それでも窓が二重になっている、鍵のありかも
親父が自室に持って行くのでそれ以降はわからない(自室の鍵も親父しか持ってないため入れない)
「自由を手に入れることはできない」
そんなことが頭によぎったまだ翌日学校にいった
その帰り、いつも通り親父の迎えで帰っていったのだが親父は無言を貫いていた
俺が話しかけても無視していた
家に着くと親父は玄関で待ってろと俺に言ってきた。嫌な予感しかしなかった
しばらくすると親父は紙を持ってきた
🇬🇧「アメリカ…これ、なんですか?」
見せてきたのは俺が今まで書いていた家の間取り図だった
🇺🇸「…!!」
🇬🇧「こんなに家のことを調べて…一体何するつもりです?」
声の圧が怖い。 恐怖のあまり俺は声が出ない
🇬🇧「正直に答えなさい。それが1番です」
言えない。家出しようとしたなんて言えない
もし言ったら二度と…
かといってそれ以外の言い訳も思いつかない
ただ沈黙だけが続く
🇨🇦「ただいまー…兄さんとお父さん、何してるの?」
🇬🇧「お帰りなさい。カナダ、これについて何か知りませんか?」
親父は間取り図をカナダに見せつける
🇨🇦「ああ、それなら兄さんが学校の課題って言ってたよ」
🇬🇧「ふーん…ならいいのですが」
親父は間取り図を俺の手元に返してきた
🇨🇦「もう…兄さんたら」
俺は急いで自室に戻り、大きく深呼吸する
🇺🇸「(危なかった〜……)」
カナダのファイプレーに助けられた
もしあいつが帰ってくるのが遅かったら今頃どうなっていたことか…
だが、家出するための活路はまだ開けてない
難攻不落のこの家から出るためには…鍵を奪う他ない
🇺🇸「shit!」
あの繊細でいつも物を大切に親父から鍵を取るなんてほぼ不可能
万が一外へ出かけた時に逃げれたとしても警察に届出が出され、捕まる
そして今回の間取り図の件。今回はカナダのおかげで助かったが数週間後にまた見つかったら
さすがに嘘がバレる
🇺🇸「結局俺は…親父の監視下で生きて行くのか…」
数日後、友達と学校に登校していた時だった
近所の人1「ねぇ知ってる?イギリスさんが経営している⚪︎×会社、会計不正してるみたいよ」
近所の人2「えー!?あんな紳士的な会社だったのに意外だわ…」
会計不正とは、会社が財務状況を意図的に誤って報告する行為を指す
このような不正は利益の水増しや損失の隠蔽を含んでいるので会社の信頼が大幅に下がる
🇧🇷「アメ…なんか知ってる?」
🇺🇸「親父は俺たちでさえ会社のことなんて一つも話さないぞ」
特に俺は何も思わなかった。親父への関心はもうなくなっていたから
🇨🇺「ねぇ聞いたぞ、お前の父親不正してんだってな」
芸能人のスキャンダルに押し寄せるマスコミのようにクラス中の奴らは俺に聞いてくる
🇺🇸「知らんものは知らん」
でもいつしか俺への視線が冷たいものへとなっていった
🇺🇸「うわっ!」
廊下を歩いていると突然足をかけられ、転ばされた
モブ1「俺の父さんはなぁ、お前の会社を信じて投資してたのに…なんなんだよこのザマは!1000万円無駄にしたと悲しんでたぞ!」
モブ2「お前、何も知らないとか逃げだろww」
こうして俺はクラス中の奴らからいじめられるようになった
転ばされたり、仲間外れにされたり、笑われたり…
「卑怯者の息子」
いつしかそんなあだ名もついた
🇺🇸「…聞いてみるか」
ある日の夕食の時、俺は親父に聞いた
🇺🇸「なぁ親父、最近話題の不正…」
🇬🇧「私はしていません…なんでこんな目に…」
「不正」という言葉を出した瞬間否定をする
🇨🇦「お父さん…泣かないで」
🇬🇧「なぜ…なぜ…私は毎月正確に報告してるはずなのに…」
親父は悔しそうに、泣きながら話す
その後、不正疑惑のせいで辞める社員が増えたことを聞いた
🇺🇸「親父…」
その夜、窓から差し込む月光を見ながら俺はベットに横たわる
「(あれは嘘をついてない顔だ…)」
親父が無実であることを証明しないとだな…
そうすれば俺の名も…
って何考えてるんだ俺は
最近おかしい。嫌ってる親父のはずなのに
同情をかけたり、褒められたら嬉しそうにするのか…
もやもやした気持ちが残ったまま寝た
「お目覚めかな、アメリカくん」
聞き覚えのある声に起こされた
でもカナダや親父、友達ではない
🇺🇸「…お前は!」
🇫🇷「や、アメリカくん。久しいね」