テラーノベル
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VIPルームでカジノホールを眺めていると、段々ゲームに興味がわいてきた。
「市長、カジノに来たしちょっと遊んでみたいんだけど」
「どうぞどうぞ、王子ならすぐに当たるでしょう」
「別にお金はいらないから、ただ遊んでみたい」
「では、こちらへ」
俺達はドリコ市長に案内され、カジノホールへと入る。
ルーレット台やポーカー台で、ディーラーVS客の戦いが繰り広げられており、凄い熱気が伝わってくる。
「いかがなさいます? 遊技台は様々ございますが」
「スロットが良いかな。他はルールよくわかんないし」
スロットはレバー叩いて7揃えばいい。ゲーム内のミニゲームでも、非常に簡単にメダルを稼げたし。
金色に輝く一際凄そうなスロットマシンに案内されると、ドリコ市長から貰ったメダルを投入して遊ぶ。
俺の後ろでママ上とヨハンナが見守っており、二人共グルグル回るリールを珍しそうに見ている。
「おいなんで7揃えないんだよ。7揃えるゲームだろ?」
「そんな動体視力だけのゲームじゃないって。大当たりしないと7揃わないんだよ」
仕組みがよくわかってないヨハンナは、目押しで7が揃うと思っているようだ。
何分の1の確率で当たるのかは知らないが、そう簡単に当たるものではないはず。
しかし10回転ほど回すと、あっさりと台の虹色ランプが点灯。リールも勝手に7が揃い大当たり確定。
マシンから金色のメダルが怒涛の勢いで弾き出されてくる。
「うぉぉぉすげぇじゃねぇか!?」
「凄いわラウルちゃん」
「さすがです王子、こんな簡単に当たるとは! この台の大当り確率は3000分の1なんですよ!」
やっぱり持ってる男は違うんだなと思ったが、ふとドリコ市長の手を見ると明らかに怪しいスイッチを持っている。
スイッチにはこの台の番号が書かれていて、当たる直前市長が怪しい動きをしていた。
もしかして遠隔スイッチという奴では?
ままええわ、どうせ金賭けてるわけじゃないし。市長なりの楽しませようという配慮だろう。
何やっても当たるという状態で、フィーバーしまくっている。
ドル箱に入った金のメダルの枚数も凄いことになっており、換金したら一体いくらになるのか。
「こんなに大当たりしたのは初めてですよ。後で王子の写真を撮って、店の中に大きく飾っておきましょう! 伝説のスロッターとして、このカジノの殿堂入りです!」
「やめてくれ、めちゃくちゃ俺にヘイト集まりそうだ」
ただでさえ悪評が多いのに、そんなことしたら俺が遠隔を強要して店潰したとか言われそうだ。
ふと横を見ると、ヨハンナが金のメダルをそっとスカートのポケットに詰めていた。
「ダメだよヨハンナ。後で全部返すんだから」
「いいじゃねぇかちょっとくらい。このメダル、マジの純金だぜ?」
「だーめ、全部戻して」
彼女はちぇーっとメダルを戻す。
しかし、俺は彼女がまだ隠しているメダルを見逃していない。
俺はズボッと彼女の胸の谷間に手を突っ込むと、中からメダルが10枚も出てきた。
「これはなんだね?」
「クソ、見つからないと思ったのに」
するとママ上が体を寄せてくる。
「ママは調べなくて大丈夫? とってるかも?」
「絶対とってないと断言できるが、一応調べておこう」
俺はママ上の胸の谷間にも手を突っ込んでみた。入念に調べてみたが、何も出てこなかった。後で他の場所も調べよう。
スロットしてんだかイチャついてんだがわかんなくなっていると、ホールに一際大きい声が響いた。
「くそぉっなんで当たらないんだ! このカジノはインチキをしているぞ!」
スロットマシンをガシガシと叩く男性。それを無理やり止める警備員達。
「離せ! 今月もう200万もこいつに吸われてるんだぞ! 一台くらいぶっ壊したっていいだろ!」
凄い理論だ。男は警備数人に羽交い締めにされてホールを後にする。
「ドリコ市長、ちょっと絞り過ぎなのでは? 金ないとこから絞っちゃダメだよ」
「いえ、このカジノは会員制ですので、皆どこかしかの貴族や商人ですぞ」
「貧乏貴族もいるからなぁ」
カジノなんて消えてなくなればいいと思っている人が多いと思うが、実際カジノをなくせばギャンブラー達は各々自分たちで賭場を始める。
素人胴元の恐ろしいところは、レートが青天井で今持っている金以上に要求が出来る。例えば有り金がつきれば家財を賭ける、持ち家を賭ける、土地を賭ける、と財布の中身以外の物までむしりとる輩が出てくる。
債務者が最終的に行き着くのは立て直し不可能な破産。そうなった人間の末路は自殺か強盗以外にない。
あっちこっちでそんなことをされては、国も取り締まることができない為、こういった街のカジノで遊技レベルでやりましょうねと、グレーゾーンを見逃している状態だ。
「ゲームのギャンブルは絶対勝てるようになってるけど、現実はそうじゃないもんな」
財布の中身なくなったら、とっとと帰った方が良い。財布だけならギリギリ致命傷にはならないだろう。
俺はホールを見渡して、ふと見知った人物を発見する。
それは昨日見たばかりの、フリーデの旦那トニーだ。
素性を隠そうとしているのか、全身黒服で帽子まで被っている。死んだ目をしながら、スロットマシンにコインを投入してはレバーを叩いている。
「あれは……」
「いかがなさいましたか王子?」
「いや、知り合いに似てる人がいて」
「あぁ、あれは姪の夫ですな」
「知ってるの?」
「ええ、勿論。何度も顔を合わせておりますし。彼はもう何度もここに来てますよ」
「あんまりよくないんじゃない? 将軍の旦那がギャンブルばっかりしてるって」
「しかし彼だけ特に理由もなく入店拒否するのも……」
それはそうなんだが、そこは身内として言ってあげたほうがいいと思う。
注目していたトニーの台が、急に虹色に光りだす。大当たりしたのか、ジャンジャンバリバリとコインが吐き出されていく。
それまで死んだ魚みたいな顔をしていたのに、急に精気が戻り目はバッキバキ、握りこぶしを作って喜んでいる。
「やったぜ畜生め、ザマァミロ! 人の金ガバガバ飲み込んでんじゃねぇよボケが! テメェらが吸い込んだ汚い金を全部吐き出せ、吐き出せよ!!」
一体誰に言っているのかはわからないが、随分と荒い口調で勝利を叫んでいる。
う~む、あぁはなりたくない大人のトップスリーに入っているかもしれない。
「話したことはない人だけど、随分とキャラが違う気がする」
「誰しも人間抑圧された表の顔と言うものがあります。ここでは本当の顔が出ているのでしょう」
あれが本当の顔だったら、相当やばいけどな。
バルト将軍やフリーデ将軍はこのことを知っているのだろうか?
#シクフォニ
らの(腐女子)
249
5,423
#悪役
にこ
8,545
コメント
1件
わぁ、第68話、楽しく読ませていただきました! スロットであっさり大当たりする主人公・ラウル王子の強運、さすが持ってる男って感じですね✨ 市長がこっそり遠隔操作してるのに気づいた上で「まあいいか」と流す器の大きさも好きです。 ヨハンナが金メダルをこっそり隠してるシーンには思わず笑っちゃいました。胸の谷間から10枚も出てくるとは…(笑) そして後半、トニーさんのギャンブル中毒っぽい姿が急にシリアスで、ギャンブルの怖さを考えさせられました。あの人が「本当の顔」かどうかも気になりますね…!